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九州7県の平均年収ランキング。福岡は約466万円、他県との差は年齢とともに開く

山田 敏碁
監修:山田 敏碁経営・事業売却担当・創業→売却の経験者
公開

九州で働く人にとって、「福岡に出るか、地元に残るか」は一度は考える問いです。実際、九州の他の6県から福岡県へは、2025年の1年間で差し引き約8,600人が移っています(住民基本台帳人口移動報告。外国人を含む。日本人に限ると約1万400人)。その判断材料の中心になるのが、年収の差です。

結論から言うと、九州7県の平均年収は福岡県が約466万円で最も高く、他の6県は約388〜429万円です。福岡との差は37〜78万円。ただしこの差は一律ではなく、20代では小さく、年齢が上がるほど開いていきます。また差の一部は、福岡に大きな会社で働く人が多いことから生まれています。この記事では、県ごとの数字を年代・男女・企業規模に分けて、差がどこで生まれているのかを整理します。

このコラムでわかること
  1. 九州7県の平均年収ランキング
  2. 差は年齢とともに開く
  3. 差の一部は「大きな会社で働く人の割合」から生まれている
  4. 東京本社の拠点と求人の数。多いが、ライバルも多い
  5. 男女で見ると、女性の差は小さい
  6. 年収差は、生活費でどこまで埋まるか
  7. 自分の場合を見積もる手順
  8. よくある質問
  9. 県ではなく、条件で比べる

九州7県の平均年収ランキング

数字はすべて、厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2025年、2026年3月公表)から計算しています。対象は民間企業の一般労働者(フルタイム。パート・アルバイトは含まない)で、企業規模10人以上です。年収は、サイト内の他のデータ記事と同じく所定内給与(残業代を含まない月給)×12+年間賞与で出した推計値です。

順位県平均年収男性女性
1福岡約466万円約523万円約380万円
2大分約429万円約477万円約364万円
2熊本約429万円約478万円約355万円
4鹿児島約424万円約468万円約361万円
5長崎約419万円約467万円約357万円
6佐賀約415万円約465万円約347万円
7宮崎約388万円約433万円約337万円
参考全国約510万円約567万円約415万円
参考東京約642万円約713万円約522万円

福岡が頭ひとつ抜けていて、大分・熊本・鹿児島・長崎・佐賀の5県は415〜429万円の狭い範囲に並び、宮崎が少し離れる、という形です。福岡と2位の大分・熊本の差は約37万円、宮崎との差は約78万円あります。

一方で、福岡も全国平均(約510万円)より約43万円低く、東京(約642万円)の7割程度です。九州の中では高いけれど、全国で見れば平均より下。この2つの位置を同時に押さえておくと、「福岡に出れば給料が上がる」という話を過大にも過小にも受け取らずに済みます。福岡が東京より低い理由は、福岡の給料はなぜ安いのかで「支店経済」の構造から説明しています。

なお、このサイトの他の記事では2023年調査の数字(福岡県 約438万円)を使っているものがあります。2025年調査では同じ計算で約466万円です。数字の違いは調査年の違いで、この2年で福岡の平均は約28万円上がっています。

差は年齢とともに開く

県の平均だけを見ると「福岡は他県より40〜80万円高い」と受け取りがちですが、年代別に分けると景色が変わります。

県20代30代40代50代
福岡約362万円約448万円約504万円約545万円
大分約339万円約413万円約469万円約486万円
熊本約335万円約406万円約468万円約507万円
鹿児島約347万円約417万円約461万円約476万円
長崎約337万円約418万円約452万円約478万円
佐賀約337万円約408万円約454万円約486万円
宮崎約318万円約389万円約417万円約432万円

(各年代は、5歳ごとの年齢階級を労働者数で重みづけして平均した独自計算です)

20代では、福岡と他県の差は14〜44万円です。鹿児島との差は約14万円、熊本との差は約26万円にとどまります。ところが50代になると差は38〜113万円に広がります。宮崎とは100万円以上の開きです。

これは、福岡では年齢とともに年収が上がり続けるのに対し、他の県では40代以降の伸びが緩やかになることを示しています。20代から50代にかけての上がり幅は、福岡が約184万円、宮崎は約114万円です。

働く側にとっての意味は2つあります。第一に、20代で「福岡のほうが給料がいいから」と県を移っても、目先の年収差は思ったほど大きくないということ。差が効いてくるのは、同じ会社や業界で年数を重ねた後です。第二に、地元に戻る(Uターン)判断は、年齢が上がるほど年収面の影響が大きくなるということ。40代・50代で福岡から他県へ移るなら、年収が下がる幅を具体的に見積もっておく必要があります。

差の一部は「大きな会社で働く人の割合」から生まれている

なぜ福岡の平均が高いのか。理由のひとつは、単純に大きな会社で働く人の割合が多いことです。

県1000人以上の企業100〜999人10〜99人1000人以上で働く人の割合
福岡約546万円約453万円約405万円30.1%
熊本約537万円約421万円約374万円22.9%
長崎約524万円約395万円約375万円25.1%
鹿児島約512万円約423万円約380万円19.9%
大分約495万円約437万円約391万円22.4%
宮崎約486万円約397万円約351万円15.9%
佐賀約468万円約414万円約379万円25.6%

どの県でも、1000人以上の企業と10〜99人の企業では、年収に約90〜160万円の差があります。そして福岡では、この表の対象者の約3割が1000人以上の企業で働いています。宮崎は約16%です。高い層の割合が多ければ、平均は上がります。

もうひとつ見えるのは、同じ規模どうしで比べると、差の大きさは県によってかなり違うことです。1000人以上の企業で比べると、福岡と熊本の差は約9万円しかありません。長崎とも約22万円です。熊本の大企業の水準は、福岡とほぼ変わりません。一方で、佐賀や宮崎とは大企業どうしでも60〜80万円の差があります。

つまり「福岡は給料が高い」の中身は、大きな会社の多さと、同じ規模でも福岡のほうが高い部分の組み合わせです。自分が地元の大きな会社で働けるなら、福岡との差は平均で見るほど大きくないかもしれません。逆に地元では中小企業が中心になるなら、差は平均以上に開く可能性があります。福岡の企業規模別の待遇差は大企業と中小企業の待遇差にまとめています。

東京本社の拠点と求人の数。多いが、ライバルも多い

福岡に大きな会社が多い背景には、東京などに本社がある会社の支社・支店が福岡に集まっていることがあります。総務省の経済センサス(2024年6月時点)で、民間の事業所で働く人のうち、東京に本社がある会社の事業所で働く人の割合を比べると、次のとおりです。

県東京本社の会社で働く人の割合人数求人数(ハローワーク、2025年度平均)有効求人倍率
福岡15.2%約34万2,000人約9万5,500件1.01倍
熊本11.4%約7万7,000人約3万7,000件1.29倍
佐賀10.6%約3万6,000人約2万500件1.36倍
長崎10.6%約5万1,000人約2万7,900件1.24倍
大分10.2%約4万6,000人約2万5,400件1.36倍
宮崎8.1%約3万3,000人約2万6,600件1.30倍
鹿児島7.7%約4万7,000人約3万8,500件1.14倍

(求人数と求人倍率は、働く場所の県で数えた値。厚生労働省 職業安定業務統計)

東京本社の会社で働く人の割合は、福岡が15.2%で、他の6県(7.7〜11.4%)を大きく上回ります。福岡市に限ると22.6%です。差が大きいのは、卸売(福岡22.6%、他県7.7〜11.0%)や情報通信(福岡26.5%、他県9.7〜21.7%)といった、いわゆるオフィスの仕事です。求人の数も、福岡は他の県の2.5〜4.6倍あります。選べる会社と職種の幅は、九州の中で福岡が抜けて広いと言えます。

ただし、見落としやすい点がもうひとつあります。求人倍率(求職者1人あたりの求人数)は、福岡が九州7県で最も低いのです。働く人1,000人あたりの求人数も、福岡は約42件で、他の6県(約45〜54件)より少なくなります。正社員の求人に限って計算しても、福岡は0.88倍で、他の6県(1.04〜1.16倍)を下回ります。求人が多いぶん、仕事を探している人も多いからです。

つまり福岡は、「仕事が見つかりやすい街」ではなく、「選べる仕事の種類は多いが、1つの求人をめぐる競争は九州でいちばん激しい街」です。とくにオフィスの仕事を目指すなら、準備の差が結果に出やすいと考えておいたほうが現実的です。なお、この求人数はハローワークに出された求人だけで、民間の求人サイトや転職エージェントの求人は含みません。福岡で働く人のうち、県外に本社がある会社で働く人の割合は支店経済のデータ、職種ごとの求人の状況は福岡の求人倍率のデータで詳しく見られます。

男女で見ると、女性の差は小さい

男女別に見ると、福岡と他県の差は男性で約45〜90万円、女性で約15〜43万円です。女性のほうが県による差が小さく出ます。

女性の年収は、どの県でも340〜380万円の範囲に収まっています。これは、女性の賃金が年齢とともにあまり上がらないという、九州に限らない構造によるところが大きいと考えられます。福岡県で見ると、女性は30〜34歳の約371万円から50〜54歳でも約411万円と、20年で約40万円しか上がりません。男性は同じ期間に約465万円から約627万円へ、約160万円上がります。

「福岡に出れば年収が上がる」という見込みは、女性の場合は男性より控えめに見積もるのが現実的です。そのうえで、職種や働き方(正社員かどうか、管理職を目指すか)の選び方のほうが、県の選び方より年収への影響が大きくなりやすいと言えます。

年収差は、生活費でどこまで埋まるか

年収が高くても、生活費が高ければ手元に残るお金は変わりません。九州の中で差が大きいのは家賃です。

住宅・土地統計調査(2023年)の民営借家の1か月あたりの家賃は、福岡県が約5万6,000円、他の6県は約4万6,000〜5万1,000円です。年間にすると、福岡のほうが約6〜12万円高くなります。

一方、家賃以外の物価(総務省の消費者物価地域差指数、2025年)は、九州の中でそれほど変わりません。熊本や長崎は、家賃を除いた物価が全国平均並みかそれ以上です。

年収の差(37〜78万円)に対して、家賃の差は年6〜12万円。家賃を差し引いても、平均で見れば福岡のほうが手元に残る額は多い計算です。ただし、地元なら実家から通える、車がないと生活できない地域に住むかどうか、といった事情で結論は変わります。自分の条件での比較は、福岡と他都市の比較データも参考にしてください。

自分の場合を見積もる手順

県の平均は、自分の年収を決めるものではありません。福岡に出るか地元に残るかを考えるときは、次の順番で絞り込むと判断がぶれにくくなります。

1. 自分の年代の差を見る。県の平均ではなく、上の年代別の表で比べる。20代なら差は小さく、40代以上なら大きい。

2. 働く会社の規模をそろえる。地元で働ける会社と、福岡で狙う会社の規模が同じなら、差は平均より小さくなることが多い。

3. 業種をそろえる。業種による年収差は、県による差より大きいことがあります。福岡の業種別の水準は福岡の業種別年収ランキングで確認できます。

4. 家賃と通勤を足し引きする。実家の有無、車の要否まで含めて、年間の手元残りで比べる。

自分と同じ条件(年代・業種・企業規模)の中での位置は、賃金チェッカーで確かめられます。九州各県の求人の特徴は、九州の転職市場にまとめています。

よくある質問

Q. 九州で一番平均年収が高い県はどこですか?

福岡県です。賃金構造基本統計調査(2025年)から計算すると約466万円で、次が大分県・熊本県の約429万円です。最も低いのは宮崎県の約388万円でした。

Q. 地元から福岡に移ると、年収はいくら上がりますか?

県の平均どうしの差は37〜78万円ですが、20代では14〜44万円にとどまります。実際にいくら変わるかは、年代・業種・企業規模でほぼ決まります。同じ業種・同じ規模の会社どうしで比べると、差は平均より小さくなることが多いです。

Q. この年収は手取りですか?

いいえ、税金や社会保険料を引く前の額面です。手取りはおおむね額面の75〜80%が目安です(扶養や控除の状況で変わります)。

Q. 他のサイトで見た数字と違うのはなぜですか?

出典と計算の条件が違うためです。この記事は賃金構造基本統計調査(2025年)の、企業規模10人以上・フルタイムの一般労働者を対象に、所定内給与×12+年間賞与で計算しています。残業代を含めたり、パートを含む統計を使ったりすると数字は変わります。このサイトの他の記事には2023年調査の数字(福岡 約438万円)を使っているものがあります。

Q. 平均年収は「普通の人」の年収ですか?

平均は高い年収の人に引っぱられて高めに出るため、真ん中の人の年収(中央値)より高くなります。福岡の年収の詳しい読み方は福岡の平均年収で解説しています。

県ではなく、条件で比べる

九州7県の年収は、福岡が頭ひとつ抜けていて、他の県は近い範囲に並んでいます。ただしその差は、年齢が上がるほど開き、大きな会社で働くかどうかでも変わります。

「福岡に出るか、地元に残るか」を年収で考えるなら、県の平均ではなく、自分の年代・業種・会社の規模をそろえて比べることが出発点です。条件をそろえてみると、差が思ったより小さいこともあれば、大きいこともあります。どちらを選ぶにしても、数字を並べて一度整理してみると、迷いの中身が見えやすくなります。

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