← コラム一覧

九州の最低賃金2026。福岡は1,114円、佐賀は全国最大の65円上げで福岡との差が縮まる

山田 敏碁
監修:山田 敏碁経営・事業売却担当・創業→売却の経験者
公開

毎年秋、各都道府県の最低賃金が引き上げられます。2026年度も、九州の7県すべてで最低賃金が上がり、10月から12月にかけて順番に新しい額に切り替わります。

結論から言うと、2026年度の九州7県の最低賃金は1,085〜1,114円です。福岡が1,114円で九州最高、宮崎の1,085円は全国で最も低い額です。引き上げ額では佐賀が65円で全国最大となり、福岡以外の6県はいずれも国の目安(56円)と同じか、それを上回って引き上げました。その結果、福岡と他の県の差は多くの県で縮まっています。この記事では、県別の金額と発効日、月給に直したときの差、そして差が縮まっている理由を整理します。

このコラムでわかること
  1. 九州7県の最低賃金(2026年度)
  2. 月給に直すと、福岡と他県の差はいくらか
  3. 福岡との差は、ほとんどの県で縮まった
  4. 県をまたいで働く人は、どの県の額が適用されるか
  5. 働く人にとっての意味
  6. よくある質問
  7. 最低賃金の差より、その上の差を見る

九州7県の最低賃金(2026年度)

厚生労働省が2026年9月3日に公表した各都道府県の答申状況と、各労働局・県の発表をもとにまとめました。

県最低賃金(時給)前年度引上げ額発効日9月28日時点の状況
福岡1,114円1,057円57円10月4日決定(福岡県の案内で確認)
大分1,096円1,035円61円11月1日(予定)答申額
佐賀1,095円1,030円65円11月15日決定(佐賀労働局の発表で確認)
熊本1,092円1,034円58円12月1日(予定)答申額
鹿児島1,090円1,026円64円10月25日決定(鹿児島労働局の案内で確認)
長崎1,087円1,031円56円11月2日(予定)答申額
宮崎1,085円1,023円62円10月24日決定(宮崎労働局の案内で確認)
参考: 全国加重平均1,177円1,121円56円——
参考: 東京1,280円1,226円54円10月1日(予定)答申額

(「答申額」は、地方の最低賃金審議会が労働局長に答申した額。異議申出の手続きを経て労働局長が決定し、官報で公示されます。9月28日時点で決定の発表を確認できなかった県は答申額と書いています)

福岡の1,114円は全国47都道府県の中で20番目で、九州では最も高い額です。宮崎の1,085円は、47都道府県の中で最も低い額です。九州の7県の差は、最も高い福岡と最も低い宮崎で29円です。

もうひとつの特徴は、発効日が10月4日から12月1日まで、県によって約2か月ばらついていることです。福岡は10月4日から新しい額になりますが、熊本は12月1日(予定)まで前年度の1,034円のままです。

月給に直すと、福岡と他県の差はいくらか

時給の差は小さく見えますが、月給に直すとどうなるか。1か月の所定労働時間を160時間として計算します。

県最低賃金月160時間で計算した月額福岡との差(月額)
福岡1,114円17万8,240円—
大分1,096円17万5,360円2,880円
佐賀1,095円17万5,200円3,040円
熊本1,092円17万4,720円3,520円
鹿児島1,090円17万4,400円3,840円
長崎1,087円17万3,920円4,320円
宮崎1,085円17万3,600円4,640円

月160時間のフルタイムで働いた場合、福岡と他の県の最低賃金の差は月2,880〜4,640円、年間では約3万5,000〜5万6,000円です。

これは、あくまで「最低ラインの差」です。実際の給与の平均で比べると、福岡と他の県の差はもっと大きく、平均年収では37〜78万円の開きがあります(九州7県の平均年収ランキング)。最低賃金の差が小さいからといって、実際に受け取る給与の差が小さいとは限りません。

福岡との差は、ほとんどの県で縮まった

前年度と比べると、福岡と他の県の差がどう動いたかが見えてきます。

県福岡との差(前年度)福岡との差(2026年度)変化
大分22円18円4円縮小
佐賀27円19円8円縮小
熊本23円22円1円縮小
鹿児島31円24円7円縮小
長崎26円27円1円拡大
宮崎34円29円5円縮小

長崎を除く5県で、福岡との差が縮まりました。とくに佐賀は8円、鹿児島は7円縮まっています。

理由は、引き上げ額の違いです。国の中央最低賃金審議会は、都道府県をA・B・Cの3つのランクに分けて引き上げ額の目安を示します。2026年度は、福岡を含むBランクと、九州の他の6県が入るCランクの目安がどちらも56円でした。そのうえで各県の審議会が上乗せを決め、福岡は目安より1円多い57円だったのに対し、佐賀は9円、鹿児島は8円、宮崎は6円、大分は5円、熊本は2円上乗せしました。長崎は目安と同じ56円です。

報道によると、目安を上回る引き上げの理由として、各地の審議会では地域間の賃金格差の縮小や、若い人材を県内に確保することが挙げられています。九州の他の県から福岡へは毎年多くの若者が移っており(九州から福岡への人口移動)、最低賃金の引き上げは、その流れを少しでも抑えようとする動きの1つと見ることができます。

政府は、2020年代のうちに最低賃金の全国加重平均を1,500円に引き上げる目標を掲げています。2026年度の全国加重平均は1,177円で、目標までにはまだ300円以上の開きがあります。今後も大きな引き上げが続けば、九州の各県の最低賃金も毎年上がっていくと考えられます。

県をまたいで働く人は、どの県の額が適用されるか

佐賀に住んで福岡の会社に通う人や、福岡に本社がある会社の支店で働く人は、どの県の最低賃金が適用されるのでしょうか。

原則は、働いている事業所がある県の最低賃金です。住んでいる県ではありません。佐賀県に住んで福岡市の会社で働く人には福岡県の1,114円が、福岡に本社がある会社の熊本支店で働く人には熊本県の額が適用されます。派遣社員の場合は、派遣元ではなく派遣先の事業所がある県の額が適用されます。

2026年度は発効日が県によって違うため、同じ会社の中でも、県ごとに切り替わる時期がずれます。たとえば福岡と熊本に拠点がある会社では、10月4日から11月30日までの約2か月、福岡の拠点は新しい額、熊本の拠点は前年度の額という状態になります。

参考に、九州の周辺の地域の2026年度の最低賃金も並べておきます(厚生労働省の答申状況から。福岡と宮崎は決定済み)。

地域最低賃金(時給)引上げ額ランク
広島1,141円56円B
福岡1,114円57円B
山口1,101円58円B
沖縄1,086円63円C
宮崎1,085円62円C

九州・山口の中で福岡と同じBランクは山口だけで、九州の他の6県はすべてCランクです。福岡は、ランクの上でも九州の中で1つ上の位置づけになっています。

働く人にとっての意味

最低賃金は、パートやアルバイトだけに関係するものではありません。月給で働く人も、基本給と毎月決まって支払われる手当を1時間あたりに直した額が、最低賃金を下回ってはいけません。最低賃金が上がると、若手の正社員や、固定残業代を含む月給で働く人の給与にも影響することがあります。自分の月給を時給に直す方法は、福岡県の最低賃金の記事で詳しく解説しています。

九州で働く人にとっては、次の2つの見方ができます。

1つ目は、時給で働く場合、福岡に出る理由は小さくなりつつあるということです。最低賃金に近い時給の仕事では、福岡と他の県の差は月数千円にとどまり、しかもその差は縮まっています。家賃の差(福岡は他の県より年6〜12万円高い)を考えると、時給の仕事だけを比べれば地元で働くほうが手元に残る場合もあります。

2つ目は、給与の差は最低ラインではなく、その上で生まれているということです。福岡と他の県の平均年収の差が大きいのは、賃金の高い業種や大きな会社が福岡に多いためです。年収を上げることを考えるなら、最低賃金ではなく、業種や職種ごとの給与水準を比べる必要があります。自分の条件での給与の位置は、賃金チェッカーで確かめられます。

よくある質問

Q. 九州で最低賃金が一番高い県はどこですか?

福岡県です。2026年度は1,114円(10月4日から)で、九州の他の6県は1,085〜1,096円です。

Q. 最低賃金が一番低いのはどこですか?

2026年度は宮崎県の1,085円が全国で最も低い額です。九州では、長崎1,087円、鹿児島1,090円がこれに続きます。

Q. 新しい最低賃金はいつから適用されますか?

県によって違います。福岡は10月4日、宮崎は10月24日、鹿児島は10月25日、佐賀は11月15日から適用されます。大分は11月1日、長崎は11月2日、熊本は12月1日からの予定です(9月28日時点で答申額の段階)。発効日の前日までは、前年度の額が適用されます。

Q. 佐賀に住んで福岡の会社で働いています。どちらの最低賃金が適用されますか?

働いている事業所がある県の額が適用されるため、福岡の事業所で働いていれば福岡県の最低賃金(1,114円)です。派遣社員の場合は、派遣先の事業所がある県の額になります。

Q. 最低賃金は、月給の人にも関係ありますか?

関係があります。基本給と毎月決まって支払われる手当を、1か月の平均所定労働時間で割った額が最低賃金以上である必要があります。通勤手当、残業代、賞与などは計算に含めません。

最低賃金の差より、その上の差を見る

2026年度の九州の最低賃金は、福岡が最も高く、他の県との差は多くの県で縮まっています。時給で見た「最低ライン」では、福岡に出る意味は小さくなってきています。

一方で、実際の給与の差は、最低ラインの上で生まれています。福岡で働くか地元で働くかを考えるときは、最低賃金ではなく、自分の業種や職種の給与水準、そして家賃などの生活費まで含めて比べることが大切です。

NEXT READデータ九州7県の家賃相場と物価を比べる。福岡の年収の高さは、家賃を引いても残るのかデータ福岡の大手企業年収ランキングの読み方。有価証券報告書ベースデータ福岡の人口増加はなぜ続くのか。データで見る若者流入の構造
GUIDEまとめ福岡で起業する。手続き・支援制度・エコシステムの全体像