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学習塾を開業する。個人塾の生存戦略と収支

久保 塁
監修:久保 塁起業・独立担当・現役経営者

学習塾は、教える経験があれば始めやすい一方、大手チェーンとの競合が意識される業態です。ただ、個人塾が大手と同じ土俵で戦う必要はありません。

結論から言うと、個人塾は「商圏の狭さ」と「対象の絞り込み」で成立します。徒歩・自転車圏の生徒に、特定の学年・科目・レベルで深く対応する。この記事では、収支と、絞り込みの設計を整理します。

このコラムでわかること
  1. 収支の構造
  2. 絞り込みの設計
  3. 物件と設備
  4. 集客のサイクル
  5. オンライン併用という選択肢
  6. 個人塾のリスク
  7. よくある質問
  8. 狭い商圏で、一番になる

収支の構造

モデル: 月謝2万円 × 生徒30名 = 月商60万円

固定費: 家賃10〜15万円、水道光熱・通信4万円、教材費3万円、広告5万円 → 22〜27万円。講師が自分だけなら、残り33〜38万円

生徒30名は、1コマ5名×週6コマ程度。1人で運営できる範囲です。

この業態の特徴は、①月謝制で収入が読める ②原価が小さい ③繁忙が季節で動く(春の新学期、夏期・冬期講習)。

季節性は資金繰りに影響します講習期に売上が跳ね、通常期に戻る。年間の資金繰り表を作ってください(運転資金は何ヶ月分必要か)。

必要な手取りはライフプラン逆算から逆算すると、必要生徒数が決まります。

POINT

個人塾の勝ち筋は、大手より安いことでも設備が良いことでもない。「この地域の、この学年の、この科目なら、あの先生」という狭い一番になること。

絞り込みの設計

①学年で絞る(中学生専門、高校受験専門、小学生の基礎固め)。②科目で絞る(数学・英語のみ、理科専門)。③レベルで絞る(難関校対策、あるいは学校の授業についていくための補習)。④形式で絞る(個別指導、少人数、自習室型)。

③の「補習寄り」は、実は市場が大きい。難関校対策は競合が多く、大手が強い。一方、「学校の授業についていけない」層は、個別の対応が必要で、大手の集団指導では拾いきれません

福岡の場合、公立高校の入試制度と学区の事情を押さえていることが、地域密着の強みになります。

物件と設備

広さ: 15〜30坪程度(生徒数と形式による)。立地: 中学校・小学校からの動線、保護者の送迎スペース、自転車置き場。駅近より、学校と住宅地からの通いやすさが重要です。

設備: 机・椅子、ホワイトボード、教材、コピー機、Wi-Fi、空調。総額50〜150万円程度。内装は簡素で構いません。

物件取得を含めた総額は200〜500万円程度。テナントではなく、自宅の一室やマンションの一室から始める形もあります(用途と契約の確認は必要。自宅ネイルサロンの開業の物件確認の論点と同じ)。

集客のサイクル

学習塾の集客は、季節が決まっています

①2〜3月(新学年前): 最大の獲得期②7月(夏期講習)。③11〜12月(受験直前、冬期講習)。

この時期に合わせて広告を打つ必要があります。年間を通じて平均的に出すより、山に集中させるほうが効率的です。

経路: チラシ(学習塾では依然として有効)、Googleビジネスプロフィール、口コミ・紹介、学校前での認知。

紹介が最も強い業態です。成績が上がった生徒の保護者からの紹介が、獲得コストゼロで最も確度の高い経路になります。

オンライン併用という選択肢

①商圏を広げる(対面の徒歩圏を超えて生徒を取れる)。②振替の柔軟性(部活や体調で来られない日に対応)。③講習期の稼働を上げる

一方、小中学生は対面の管理があるほうが成果が出やすいという実態もあります。対面を主に、オンラインを補助として使う設計が現実的です。

個人塾のリスク

①自分が倒れると止まるひとり起業に向く業種)。②生徒の卒業で毎年一定数が抜ける(受験学年が中心だと、毎年入れ替わる)。③成績という成果が求められる④保護者対応

②への対策として、低学年から受け入れて在籍期間を長くする設計があります。

よくある質問

Q. 教員免許は必要ですか?

法的な要件ではありません。指導経験と実績のほうが、保護者への説明材料になります教員を辞めて転職するからの独立というルートもあります)。

Q. フランチャイズはどうですか?

ブランドと教材が使える一方、ロイヤリティが固定費になりますフランチャイズをおすすめしない理由)。

Q. 資金調達はできますか?

公庫の創業融資が使えます。指導経験と、商圏の生徒数の根拠が計画の説得力になります(創業計画書の書き方)。

Q. 副業として始められますか?

夜間・週末の時間帯が中心なので、会社員との両立は他業態より現実的です(会社員のまま起業する)。

狭い商圏で、一番になる

個人塾は、大手と競合する必要がありません。徒歩・自転車圏という狭い商圏で、特定の学年・レベルに深く対応する。この形なら、生徒30名で1人分の事業が成立します。広く浅くではなく、狭く深く——それが個人塾の生存戦略です。

自分の指導経験なら、どこを絞れるか。福岡で実際に創業した経営者に無料で相談できます。

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