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合同会社のデメリット。安さだけで選ぶと困るケース

久保 塁
監修:久保 塁起業・独立担当・現役経営者

合同会社は設立費用が安く、維持の手間も軽い。ひとりで始めるなら合理的な選択です。ただ、選ぶ前に知っておくべき制約があります。

結論から言うと、困るのは①外部出資を受けたくなったとき ②社員(出資者)が複数のとき ③大手との取引が発生したときの3場面です。この記事では、具体的に何が起きるかを整理します。

このコラムでわかること
  1. ①出資による資金調達ができない
  2. ②社員が複数の場合の意思決定
  3. ③持分の譲渡に制限がある
  4. ④認知度と取引上の扱い
  5. ⑤役職名の違い
  6. デメリットにならないケース
  7. 変更するコスト
  8. よくある質問
  9. ひとりなら問題なく、複数人なら設計が要る

①出資による資金調達ができない

合同会社は株式を発行できません。だから、VCやエンジェル投資家からのエクイティ調達には向きませんVCからの資金調達の流れエンジェル投資家の探し方)。

出資を受けるには、新たな社員として加入してもらう形になりますが、合同会社では出資者=経営者(業務執行社員)が原則なので、投資家が経営に関与する構造になります。これを避けたい投資家が多い。

融資(デットファイナンス)には影響しません。公庫も制度融資も、合同会社で問題なく利用できます(公庫の創業融資)。

つまり、困るのは「株式で資金を集めて拡大する」構想がある場合だけです。

POINT

合同会社の制約が効くのは、外部から出資を受けたくなった瞬間。融資だけで回す事業なら、この制約はほぼ問題にならない。

②社員が複数の場合の意思決定

合同会社では、原則として社員(出資者)全員の同意が必要な事項があります(定款の変更など)。出資比率にかかわらず、1人1議決権が原則です(定款で別途定めることは可能)。

これが問題になる場面: ①共同創業者と意見が対立した ②一方が離脱したい ③出資額に差があるのに、議決権が同じ

株式会社なら、出資比率に応じた議決権が基本なので、出資額の大きい人が意思決定を主導できます

対策: 定款で議決権の割合や業務執行社員の範囲を定めておく合同会社は定款自治の幅が広いので、設立時に設計しておけば回避できます。逆に、何も定めずに複数人で作ると、後から揉めます

③持分の譲渡に制限がある

社員の持分を譲渡するには、原則として他の社員全員の承諾が必要です。

これが問題になる場面: ①共同創業者が抜けたい ②相続が発生した ③事業を売却したい

とくに③M&Aで会社を売却する場合、株式会社のほうが手続きが単純です。将来の出口(事業承継という選択肢)を視野に入れるなら、株式会社のほうが扱いやすい

④認知度と取引上の扱い

大手企業や官公庁の取引で、株式会社であることが実質的な条件になる場面があります。取引先の与信基準に、法人形態が含まれていることがあるためです。

また、採用でも差が出ることがあります。求職者にとって「合同会社」の認知は、株式会社ほど高くありません。

ただし、近年は有名企業の日本法人が合同会社を選ぶ例もあり、この差は縮まりつつあります

⑤役職名の違い

株式会社の「代表取締役」に対し、合同会社は「代表社員」です。名刺や契約書で使う名称が変わります。

「CEO」「代表」といった対外的な呼称は使えるため、実務上の支障は限定的です。

デメリットにならないケース

必要な手取りはライフプラン逆算で確認したうえで判断してください。

①ひとりで運営する ②融資のみで資金を回す ③BtoCまたは小規模なBtoB ④売却を想定していない——この場合、上記のデメリットはほぼ発生しません

だから、フリーランスの法人化、小規模なコンサル・制作・EC・店舗では、合同会社は合理的な選択になります(法人化のタイミング)。

変更するコスト

合同会社から株式会社への組織変更は可能ですが、登録免許税・官報公告・手続きで十数万円〜かかります(合同会社と株式会社どっちにするか)。

「必要になったら変える」は成立しますが、コストを織り込んでください。

よくある質問

Q. 融資で不利になりますか?

なりません。審査は事業内容と経営者の経験・自己資金で判断されます。

Q. 補助金の申請はできますか?

できます。法人形態による制限は通常ありません(補助金・助成金)。

Q. 共同創業でも合同会社にできますか?

できますが、定款で議決権と業務執行の設計を必ずしておいてください。ここを曖昧にすると、後で揉めます。

Q. 税金は不利ですか?

同じです。法人税、住民税、消費税の扱いに差はありません(法人の維持費は年間いくらか)。

ひとりなら問題なく、複数人なら設計が要る

合同会社のデメリットは、外部出資・複数社員・売却という3つの場面に集中しています。ひとりで、融資だけで回す事業なら、実質的なデメリットはほぼありません。逆に、共同創業や拡大を想定するなら、設立時の設計か、株式会社の選択が必要です。

自分の構想なら、どちらが妥当か。福岡で実際に会社を作った経営者に無料で相談できます。

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