合同会社と株式会社どっちにするか。後悔しない選び方

法人を作ると決めた次に来るのが、「合同会社か、株式会社か」という選択です。ネットでは「合同会社は安い」という情報が目立ちますが、費用だけで決めると後悔することがあります。
結論から言うと、判断すべきは費用ではなく、①取引先の要件 ②資金調達の構想 ③採用 ④意思決定の速さの4点です。この記事では、観点ごとに比較します。
- 制度上の違い
- 判断の4観点
- 合同会社が向くケース
- 株式会社が向くケース
- 後から変更できるか
- よくある質問
- 費用ではなく、5年後の姿で選ぶ
制度上の違い
株式会社 - 出資者(株主)と経営者(取締役)が制度上分離している - 株式の発行による資金調達が可能 - 役員に任期がある(原則2年、最長10年。任期満了ごとに登記が必要) - 決算公告の義務がある - 設立費用: 約20〜25万円
合同会社 - 出資者=経営者(社員)。所有と経営が一致 - 定款認証が不要 - 役員の任期がない(変更登記が不要) - 決算公告の義務がない - 設立費用: 約10万円(法人設立の費用内訳)
必要な手取りはライフプラン逆算で確認してください。どちらも「法人」であり、税制上の扱いは基本的に同じです。法人税率も、社会保険の扱いも変わりません。
合同会社と株式会社の違いは、税金でも責任範囲でもなく「外からどう見えるか」と「出資を受けられるか」。この2点で判断する。
判断の4観点
①取引先の要件 大手企業や官公庁の取引で、株式会社であることが実質的な条件になる場面があります。BtoBで大手と取引する構想があるなら、株式会社が無難。逆に、BtoCや小規模な取引が中心なら、合同会社で支障は少ない。
②資金調達の構想 外部から出資を受ける(VC、エンジェル)なら株式会社です。合同会社は株式を発行できないため、エクイティでの調達には向きません(VCからの資金調達の流れ)。
融資(デットファイナンス)では差がありません。公庫も制度融資も、合同会社で問題なく利用できます(公庫の創業融資)。
③採用 従業員を採用する場合、株式会社のほうが応募が集まりやすいという実感を持つ経営者は多い。求職者にとっての認知度の差です。
④意思決定の速さ・維持の手間 合同会社は役員の任期がなく、変更登記が不要。株式会社は任期満了ごとに登記(費用が発生)。維持の手間は合同会社が軽い(法人の維持費は年間いくらか)。
合同会社が向くケース
①ひとり、または少人数で運営する。②BtoCまたは小規模なBtoB。③外部出資を受ける構想がない。④費用と手間を抑えたい。⑤コンサル、制作、士業、EC、店舗など、法人格の種類が受注に影響しない業種。
近年、有名企業の日本法人が合同会社を選んでいる例もあり、「合同会社=小さい会社」という認識は薄れつつあります。
株式会社が向くケース
①大手・官公庁との取引を想定している。②外部からの出資を受ける可能性がある。③従業員を採用して規模を拡大する。④将来の事業承継や株式の譲渡を視野に入れている。⑤業界の慣習として株式会社が一般的。
後から変更できるか
合同会社 → 株式会社の組織変更は可能です。ただし、登記費用(登録免許税)、官報公告、手続きの手間が発生します。総額で十数万円〜かかります。
「とりあえず合同会社で始めて、必要になったら株式会社へ」という選択は合理的ですが、変更コストを織り込んで判断してください。
よくある質問
Q. 合同会社だと信用されませんか?
取引先によります。BtoCや小規模取引ではほぼ影響しません。大手との取引では、確認されることがあります。
Q. 税金は違いますか?
基本的に同じです。法人税、法人住民税、消費税の扱いに差はありません。
Q. 融資では不利ですか?
不利になりません。審査は事業内容と経営者の経験・自己資金で判断されます(創業計画書の書き方)。
Q. 合同会社のデメリットは?
出資による調達ができない、認知度、そして社員(出資者)が複数の場合の意思決定の仕組みに注意が必要です(合同会社のデメリット)。
費用ではなく、5年後の姿で選ぶ
合同会社と株式会社の選択は、10〜15万円の差で決めるものではありません。5年後に、誰と取引し、誰から資金を得て、何人で運営しているか——その姿から逆算すると、答えは明確になります。
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