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ゴーストレストランの開業。デリバリー専業の損益構造

久保 塁
監修:久保 塁起業・独立担当・現役経営者

客席を持たず、デリバリー専業で運営する「ゴーストレストラン」。初期投資が小さいことから、飲食で独立する入口として注目されました。

結論から言うと、初期投資は軽い一方、プラットフォーム手数料が利益を大きく削る構造です。だから、手数料を前提にした価格設計ができるかどうかが分岐点になります。この記事では、損益構造と成立条件を整理します。

このコラムでわかること
  1. 初期投資の軽さ
  2. 手数料という最大の論点
  3. 損益モデル
  4. 必要な許可
  5. 続く店と閉じる店の違い
  6. 資金と収支の設計
  7. よくある質問
  8. 手数料を織り込んで、価格を先に決める

初期投資の軽さ

客席・接客スペースが不要なため、次の費用が消えます。①路面の好立地の家賃(キッチンだけなら家賃の安い場所でよい)②客席の内装(テーブル、椅子、装飾)③ホールスタッフの人件費

総額の目安は100〜400万円程度(設備の状態と物件による)[要確認: 直近の相場]。カフェ開業の資金が600〜1,200万円規模であることと比べると、桁が違います

さらに、シェアキッチン・間借りを使えば、初期投資はさらに下がります

手数料という最大の論点

デリバリープラットフォームの手数料は、注文金額の30%前後が一般的な水準とされます[要確認: 各社の現行料率]。

これは損益に決定的に効きます。客単価2,000円の注文で、手数料600円。原価率30%(600円)を引くと、残り800円。ここから、家賃・人件費・水道光熱・容器代を賄う必要があります。

容器代も無視できません。デリバリーは使い捨て容器が必須で、1注文あたり50〜150円程度かかります。

つまり、店内飲食と同じ価格設定では成立しません。デリバリー価格を店内より高く設定する(多くの店がそうしています)か、客単価を上げる商品設計が必要です。

POINT

ゴーストレストランの損益は「手数料30%+容器代」を前提に組む。店内飲食と同じ価格表を使った瞬間に、利益は消える。

損益モデル

1日30件、客単価2,200円 → 売上66,000円。月25日で売上165万円

プラットフォーム手数料30% → 49.5万円。原価率30% → 49.5万円。容器代(1件100円×750件) → 7.5万円。家賃(キッチンのみ)15万円。人件費(自分+1名)25万円。水道光熱・通信 8万円。

残り 10.5万円。ここから借入返済と自分の報酬。

1日30件は簡単な数字ではありません。エリア内の競合、レビュー評価、露出(プラットフォーム内の順位)に左右されます。

改善の方向は、①自社注文の比率を上げる(手数料を回避)②客単価を上げる ③複数ブランドを1キッチンで運営する(同じ設備で売上を積む)。

③がこの業態の本来の強みです。1つのキッチンで、カレー・丼・弁当など複数の業態を展開し、設備の稼働率を上げる。

必要な許可

①飲食店営業許可(保健所)。デリバリー専業でも必要です。②シェアキッチンを使う場合、その施設が許可を取得しているか、自分の名義で取れるかを確認。③食品表示(アレルギー表示など)。

保健所への事前相談は必須です。デリバリー専業でも、施設の基準は通常の飲食店と同様に判断されます。

続く店と閉じる店の違い

続く店: ①手数料込みの価格設計をしている ②複数ブランドで設備稼働率を上げている ③レビュー評価を管理している ④自社注文(電話、自社サイト、LINE)の導線を持っている ⑤商品が配達に耐える(時間が経っても品質が落ちない設計)。

閉じる店: ①店内価格のまま出している ②1ブランドのみで稼働率が低い ③レビューが低く露出が下がる ④プラットフォームに全面的に依存している ⑤配達で品質が崩れる商品。

⑤は見落とされがちです。揚げ物の食感、麺の伸び、温度。配達20分後の状態を基準に商品を設計する必要があります。

資金と収支の設計

初期投資が軽くても、運転資金は必要です(運転資金は何ヶ月分必要か)。とくに、プラットフォームからの入金サイクル(週次・隔週など)を資金繰りに織り込んでください。

必要な手取りはライフプラン逆算で先に出し、そこから逆算して必要な注文件数を計算する。この順番でないと、成立しない件数を目標に置いてしまいます

調達は公庫の創業融資。審査では、手数料を織り込んだ収支計画が説得力を持ちます(創業計画書の書き方)。

よくある質問

Q. 自宅のキッチンでできますか?

営業許可の要件を満たす必要があり、通常の家庭用キッチンでは認められません。保健所に確認してください。

Q. プラットフォームを使わない方法は?

自社サイト・LINE・電話注文。手数料は消えますが、集客と配達を自分で担う必要があります。併用が現実的です。

Q. 福岡で需要はありますか?

都市部の人口密度とデリバリーの普及状況から、中心部では需要があります。ただし競合も多い。

Q. 副業として始められますか?

営業許可と衛生管理の責任があるため、片手間では難しい業態です(会社員のまま起業するの検証としては、間借りでの週末営業が現実的)。

手数料を織り込んで、価格を先に決める

ゴーストレストランは、初期投資の軽さが最大の利点です。ただし、手数料30%と容器代を織り込まない価格設計では、いくら注文が入っても利益が残りません。価格を先に決めて、そこから逆算する。この順番が成否を分けます。

自分の商品なら成立するか。福岡で実際に創業した経営者に無料で相談できます。

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