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福岡で合同会社が増えている。新設の27%という実数

久保 塁
監修:久保 塁起業・独立担当・現役経営者
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会社を作るときの最初の分岐が、株式会社にするか、合同会社にするかです。

そして、福岡市ではこの選択が10年で大きく変わっています。国税庁の法人番号データで、2026年3月末に福岡市にある法人を設立年ごとに数えたところ、合同会社の比率は2016年の14.3%に対し、2025年は27.3%でした。この記事では、その実数と、選び方の判断軸を整理します。

このコラムでわかること
  1. 実数:比率は14.3%から27.3%へ
  2. なぜ選ばれるのか
  3. それでも株式会社を選ぶべき場合
  4. 「安いから」だけで決めない
  5. そもそも法人にする必要があるか
  6. よくある質問
  7. 変わってきているのは、会社の形

実数:比率は14.3%から27.3%へ

2026年3月31日時点で福岡市に本店を置き、登記記録が閉鎖されていない法人(82,967社)を、法人番号が指定された年(おおむね設立年)ごとに数えた件数と、そのうちの合同会社の数・比率は次のとおりです。

年法人数合同会社比率
20162,468社352社14.3%
20192,683社497社18.5%
20223,160社779社24.7%
20253,577社976社27.3%

比率は約2倍です。ただし、途中で閉鎖したり市外へ移ったりした法人は入らず、市外から移ってきた法人は入る数え方で、古い年ほど抜けた法人が多くなります。社数の差(352社→976社、全体では2,468社→3,577社)を、そのまま設立の伸びとは読めません。比率も、いま残っている法人の中での比率です。

それでも、残っている法人の中で合同会社の比率がここまで上がっていることから、会社の「形」の選ばれ方は変わってきていると見てよいでしょう。全年次は福岡市 会社設立データに掲載しています。

POINT

残っている法人で見ると、合同会社の比率は14.3%から27.3%へ。目立つのは、合同会社という選択肢が広がったこと。

なぜ選ばれるのか

①設立費用が明確に安い。株式会社は定款の認証手数料が必要ですが、合同会社は不要です。登録免許税も株式会社より低い。資本金の小さい会社なら、この差はおおむね10〜14万円になります(法人設立の費用)。

②維持コストが低い。役員に任期がなく、重任登記が不要。決算公告の義務もありません。10年単位で見ると、この差が積み上がります。

③意思決定が速い。株主総会・取締役会という機関設計が要りません。ひとり社長・少人数では、これが実務上ラクです(ひとり起業に向く業種)。

④知名度の問題が薄れてきた。大手企業の日本法人が合同会社を選ぶ例が増え、「格が低い」という見方が弱まりました。

①が最大の理由と考えられます。創業期は現金が最も貴重だからです(開業資金の内訳の作り方)。

それでも株式会社を選ぶべき場合

比率が上がっているからといって、合同会社が常に正解ではありません。

①外部から出資を受ける予定がある。株式による資金調達は、株式会社でないとできません。将来のベンチャーキャピタルからの調達を想定するなら株式会社(クラウドファンディングという選択)。

②取引先が株式会社を条件にしている。業界によっては、実際にあります。大企業の調達要件、行政の入札など。

③許認可や業界慣行。業種によって、株式会社が前提になっている場合があります。

④将来の上場を目指す。

確認の順番: まず取引先の要件と資金調達の予定を確認 → 制約がなければ合同会社で始める——これが実務的です。合同会社から株式会社への組織変更も可能です(費用と手間はかかります)。

合同会社固有の制約は事前に確認してください(合同会社のデメリット・合同会社と株式会社の違い)。

「安いから」だけで決めない

設立費用の差は、事業の総額から見れば小さい——これも事実です。

運転資金、仕入れ、広告費、人件費を積み上げると、設立費用の差は誤差の範囲になることがあります(運転資金は何ヶ月分必要か)。

だから、判断の順番は「取引先の要件 → 資金調達の予定 → 費用」。費用を最初に置くと、後で組織変更が必要になって余計にかかります。

必要な資金と手取りはライフプランで先に計算しておいてください。

そもそも法人にする必要があるか

もう一段手前の分岐があります。個人事業で始めるか、最初から法人にするかです。

取引先が法人格を求めないなら、個人事業で始めて、利益が出てから法人化する——これが最も損失の少ない順番です(個人事業主の始め方・法人化のタイミング)。

合同会社の比率が上がっている背景には、「法人にはしたいが、コストは抑えたい」という需要があります。その需要の一部は、そもそも個人事業で足りることがあります。

よくある質問

Q. 合同会社だと信用されませんか?

取引先によります。BtoCではほぼ影響なし、BtoBでは相手の調達要件次第。事前に確認できる項目です。

Q. 後から株式会社に変更できますか?

組織変更の手続きで可能です。ただし登記費用と官報公告が必要なので、最初から株式会社にするより総額は増えます。

Q. 融資で不利になりますか?

法人格による差は基本的にありません。見られるのは事業計画と自己資金です(創業融資の自己資金・公庫の創業融資)。

Q. このデータはどこから取りましたか?

国税庁の法人番号公表サイトの基本3情報(gBizINFO 経由)。福岡市の82,967社が対象で、断面は2026年3月31日です。

変わってきているのは、会社の形

いま福岡市にある法人を設立年ごとに数えると、合同会社の比率は2016年の14.3%に対し、2025年は27.3%です。主な理由は設立費用と維持コストと考えられます。ただし、外部出資の予定と取引先の要件を先に確認すること。そして、そもそも個人事業で足りないかを一段手前で検討する——この順番なら、後戻りの費用が発生しません。

自分の事業ならどの形が合うか。福岡で実際に創業した経営者に無料で相談できます。

出典
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