九州の高校生はどこで働き、どの大学へ進むのか。県外に就職する高卒の約3人に1人が福岡へ

九州で育った人の多くは、高校を出るときに一度、「地元に残るか、出るか」を決めています。出る場合、その行き先として最初に名前が挙がるのが福岡です。今、福岡で働いている人の中にも、進学や就職をきっかけに九州の他の県から来た人は少なくありません。
結論から言うと、2025年3月に高校を卒業して就職した人のうち、九州の他の6県から県外に就職した人の約34%(約3人に1人)が福岡県で就職しています。大学進学では、6県の高校から大学に入った人の約22%が福岡県の大学を選んでいます。ただし中身は県によって大きく違い、佐賀では県外就職者の約半数が福岡を選ぶ一方、宮崎では東京圏へ出る人のほうが多くなります。この記事では、文部科学省の学校基本調査から、九州の若者の「最初の行き先」を県別に見ていきます。
- 高校を出て就職する人は、九州の他県で4人に1人
- 県外に出る高卒の行き先。都道府県別では6県すべてで福岡が1位
- 男女で行き先が違う
- 大学進学でも、福岡は大きな入口
- 働く側にとっての意味
- よくある質問
- 自分がたどった道を、数字で見直す
高校を出て就職する人は、九州の他県で4人に1人
まず前提として、九州の高校生がどれくらい就職するのかを確かめておきます。学校基本調査(2025年度、2025年3月卒業者、全日制・定時制)で、卒業者に占める就職者の割合は次のとおりです。
| 県 | 卒業者 | 就職者 | 卒業者に占める就職者の割合 | 県内で就職した割合 |
|---|---|---|---|---|
| 福岡 | 38,837人 | 5,850人 | 15.1% | 82.1% |
| 佐賀 | 7,050人 | 1,895人 | 26.9% | 66.1% |
| 長崎 | 10,454人 | 2,660人 | 25.4% | 71.8% |
| 熊本 | 13,496人 | 3,113人 | 23.1% | 65.7% |
| 大分 | 8,994人 | 2,036人 | 22.6% | 72.8% |
| 宮崎 | 8,897人 | 2,255人 | 25.3% | 62.4% |
| 鹿児島 | 13,030人 | 3,029人 | 23.2% | 58.5% |
(就職者は、表の「就職者のうち県外に就職した割合」と県外就職者数から逆算した人数)
福岡県の高校生で就職するのは約15%ですが、九州の他の6県では約23〜27%、およそ4人に1人が高校を出てすぐに働き始めます。そして就職した人の6〜7割は地元に残ります。県内に残る割合が最も低いのは鹿児島(58.5%)で、宮崎(62.4%)、熊本(65.7%)と続きます。福岡県は82.1%で、就職した高校生の大半が県内で働いています。
県外に出る高卒の行き先。都道府県別では6県すべてで福岡が1位
では、県外に就職した人はどこへ行くのか。6県それぞれについて、主な行き先をまとめます。東京圏は東京・神奈川・埼玉・千葉、関西は大阪・京都・兵庫の合計です。
| 出身高校の県 | 県外就職者 | 福岡 | 東京圏 | 愛知 | 関西 | 九州の他の県 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 佐賀 | 643人 | 49.5% | 12.9% | 9.6% | 8.6% | 12.1% |
| 大分 | 554人 | 43.5% | 22.4% | 7.6% | 11.0% | 7.8% |
| 長崎 | 750人 | 41.2% | 19.7% | 8.0% | 12.4% | 9.7% |
| 熊本 | 1,069人 | 28.4% | 25.4% | 14.6% | 8.7% | 9.6% |
| 鹿児島 | 1,258人 | 28.1% | 24.4% | 11.0% | 14.8% | 14.1% |
| 宮崎 | 847人 | 24.0% | 27.3% | 11.2% | 9.4% | 17.0% |
| 6県計 | 5,121人 | 33.8% | 22.7% | 10.8% | 11.1% | 12.1% |
(九州の他の県は、福岡と出身県を除く九州5県の合計)
都道府県ごとに数えると、6県すべてで福岡県が県外就職先の1位です。6県を合わせると、県外に就職した約5,100人のうち約1,700人(33.8%)が福岡県で働き始めています。
ただし、県によって福岡への集まり方はかなり違います。佐賀・大分・長崎は、県外就職者の4〜5割が福岡です。とくに佐賀は約半数で、福岡が実質的に「隣の大都市」として機能しています。一方、熊本・鹿児島・宮崎では、福岡は3割弱にとどまり、東京圏がそれに迫ります。宮崎は、東京圏をまとめて数えると27.3%で、福岡(24.0%)を上回ります。南九州の3県では、福岡は数ある行き先の1つです。
愛知が1割前後を占めているのも特徴です。熊本からは14.6%が愛知で就職しています。製造業の大きな工場が多い愛知は、九州の高卒者にとって東京・福岡に次ぐ就職先になっています。
男女で行き先が違う
同じ表を男女に分けると、さらに違いがはっきりします。
| 出身高校の県 | 県外に就職した割合(男性) | 県外に就職した割合(女性) | 県外就職者のうち福岡(男性) | 県外就職者のうち福岡(女性) |
|---|---|---|---|---|
| 佐賀 | 38.2% | 25.8% | 45.5% | 60.7% |
| 長崎 | 33.3% | 19.6% | 39.7% | 45.4% |
| 熊本 | 39.8% | 23.9% | 28.8% | 27.2% |
| 大分 | 29.2% | 23.6% | 43.3% | 43.9% |
| 宮崎 | 43.3% | 27.5% | 24.2% | 23.2% |
| 鹿児島 | 48.7% | 28.1% | 27.8% | 29.4% |
(女性の値は、表の総数から男性の値を引いて計算)
どの県でも、男性のほうが県外に出る割合が高くなっています。鹿児島では、就職した男子高校生のほぼ半数(48.7%)が県外で働き始めます。男性の県外就職先には愛知が多く、6県から愛知に就職した554人のうち約87%が男性です。
女性は県内に残る割合が高く、県外に出る場合は福岡を選ぶ割合が男性と同じか、それより高くなります。佐賀の女性は、県外に就職した人の約6割が福岡です。
大学進学でも、福岡は大きな入口
高校卒業者の約半数は大学などに進学します。学校基本調査の「出身高校の所在地県別 入学者数」(2025年度入学者)から、6県の高校から大学に入った人がどこの大学に進んだかを見ます。
| 出身高校の県 | 大学入学者 | 地元の大学 | 福岡県の大学 | 東京圏 | 関西 | 九州の他の県 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 佐賀 | 3,606人 | 16.6% | 38.0% | 13.9% | 7.1% | 14.6% |
| 大分 | 4,383人 | 27.9% | 24.7% | 8.8% | 8.1% | 13.8% |
| 長崎 | 5,232人 | 37.5% | 21.3% | 10.1% | 6.7% | 11.9% |
| 宮崎 | 4,199人 | 27.3% | 19.6% | 13.7% | 7.9% | 20.5% |
| 鹿児島 | 6,825人 | 31.5% | 17.8% | 16.8% | 9.8% | 10.7% |
| 熊本 | 7,390人 | 48.1% | 17.0% | 11.3% | 6.8% | 9.6% |
| 6県計 | 31,635人 | 33.6% | 21.7% | — | — | — |
(大学入学者には、前年以前に高校を卒業した人を含む)
佐賀では、地元の大学(16.6%)より福岡県の大学(38.0%)に進む人のほうが2倍以上多く、大分も地元(27.9%)と福岡(24.7%)がほぼ並びます。熊本は地元に熊本大学などがあり、地元進学が約半数と九州で最も高くなっています。鹿児島は、福岡(17.8%)と東京圏(16.8%)がほぼ同じ割合です。
福岡県の大学の側から見ると、2025年度の入学者2万7,288人のうち、九州の他の6県の高校出身者は6,859人(25.1%)、4人に1人です。山口県出身が958人、沖縄県出身が605人いて、福岡の大学は九州と周辺の若者が集まる場所になっています。
なお、大学を卒業したあと、どの県で就職したかを出身県別に数えた公的統計はありません。学校基本調査の大学卒業者の統計は、大学がある県で集計されているためです。福岡の大学に来た人のうち、どれだけが福岡で就職し、どれだけが地元や東京に行くのかは、この統計からは分かりません。人の流れ全体は、住民票の移動を数えた統計で見ることができます(九州から福岡への人口移動)。
働く側にとっての意味
この数字は、すでに社会に出ている人にとっても意味があります。
1つ目は、福岡で働く人の中に、九州の他の県で育った人が多いということです。職場で同郷の人に出会うことは珍しくありません。福岡で働き続ける場合も、いずれ地元に戻る場合も、同じ経路をたどった人の経験は参考になります。
2つ目は、地元への距離感が県によって違うということです。佐賀・大分・長崎の人にとって福岡は「通える・戻れる隣の都市」、南九州の人にとっては東京や愛知と並ぶ「遠くの選択肢の1つ」です。Uターンや転職を考えるとき、地元と福岡のどちらを拠点にするかの感覚も、この距離感で変わってきます。
3つ目は、高校卒業の時点で働き始めた人が、九州には一定数いるということです。九州の他の県では、高校を出て就職した人が4人に1人います。高卒で働き始めた人が、その後に転職で年収を上げる道は、高卒からの福岡転職にまとめています。福岡の職種ごとの求人の状況は、福岡の採用市場のデータで確認できます。
よくある質問
Q. 九州の高校生は、県外に就職するときどこへ行くことが多いですか?
都道府県別に数えると、九州の他の6県すべてで福岡県が1位です。6県を合わせると、県外に就職した高卒者の33.8%が福岡県、22.7%が東京圏、10.8%が愛知県で働き始めています(学校基本調査、2025年3月卒業者)。
Q. 地元に残って就職する高校生はどのくらいいますか?
就職した高校生のうち、県内で就職した割合は、大分72.8%、長崎71.8%、佐賀66.1%、熊本65.7%、宮崎62.4%、鹿児島58.5%です。福岡県は82.1%です。
Q. 九州の大学生は、卒業後に地元へ戻っていますか?
出身県ごとに大学卒業後の就職先を数えた公的統計はないため、この統計からは分かりません。県や大学が独自に調べた結果が公表されている場合もあるので、個別の数字はそちらを確認してください。
Q. 福岡の大学には、九州の他の県からどのくらい入学していますか?
2025年度に福岡県の大学に入学した約2万7,300人のうち、九州の他の6県の高校出身者は約6,900人(25.1%)です。佐賀の高校から大学に進んだ人は、38.0%が福岡県の大学に入学しています。
自分がたどった道を、数字で見直す
九州の若者の多くが、高校卒業や大学進学のタイミングで福岡に来ています。佐賀・大分・長崎からは福岡が最も近い選択肢で、南九州からは東京や愛知と並ぶ選択肢の1つです。
今、福岡で働いている人が「このまま福岡に残るか、地元に戻るか」を考えるときも、最初にどんな理由で出てきたかを振り返ると、判断の軸が見えやすくなります。数字は、同じ道をたどった人がどれだけいるかを教えてくれます。そのうえで、自分にとっての答えを一度整理してみてください。

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