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九州から福岡へ、差し引き年約8,600人。県別・年齢別に見る人口移動と、20代前半で東京へ出ていく流れ

山田 敏碁
監修:山田 敏碁経営・事業売却担当・創業→売却の経験者
公開

「九州の若い人は、みんな福岡に出てくる」。福岡で働いていると、同僚や取引先に九州の他の県の出身者が多いことに気づきます。実際のところ、毎年どれくらいの人が、どの県から、何歳で福岡に来ているのでしょうか。

結論から言うと、2025年に九州の他の6県から福岡県へ移った人は、福岡から6県へ出ていった人を差し引きで約8,600人上回りました(外国人を含む。日本人に限ると約1万400人)。年齢で見ると、18歳前後の進学期と、20代前半の就職期に大きく流れ込んでいます。一方で、福岡県は同じ20代前半で東京圏へ差し引き約4,000人を送り出しています。九州から若い人を集め、その一部を東京へ送り出す。これが数字から見える福岡の位置です。

このコラムでわかること
  1. 九州6県から福岡へ、県別の出入り
  2. 何歳で来ているのか——18歳と22歳の2つの山
  3. 進学と就職、それぞれの入口
  4. 福岡は、20代前半で東京へ送り出している
  5. 30代以降は、東京からも戻ってくる
  6. 働く側にとっての意味
  7. よくある質問
  8. 流れの中の自分の位置を知る

九州6県から福岡へ、県別の出入り

数字は総務省の住民基本台帳人口移動報告(2025年)です。住民票の異動にもとづく集計で、同じ市区町村の中での引っ越しと、海外との出入りは含みません。「全体」は外国人を含む数、「日本人」は日本人だけの数です。

県福岡県へ移った人福岡県から来た人差し引き(全体)差し引き(日本人)
長崎8,057人5,685人+2,372人+2,550人
鹿児島6,049人4,155人+1,894人+2,169人
大分7,076人5,815人+1,261人+1,551人
熊本8,484人7,295人+1,189人+1,519人
宮崎3,952人2,913人+1,039人+1,398人
佐賀7,115人6,275人+840人+1,239人
6県計40,733人32,138人+8,595人+10,426人

6県すべてで、福岡へ移る人のほうが多くなっています。差し引きで最も多いのは長崎で、約2,400人です。

注目したいのは、差し引きの数と、出入りの量が一致しないことです。熊本から福岡へ移った人は約8,500人と6県で最多ですが、福岡から熊本へ移った人も約7,300人いて、差し引きは約1,200人にとどまります。佐賀も出入りはそれぞれ6,000〜7,000人台と多いのに、差し引きは約840人です。熊本・佐賀と福岡の間には、一方通行ではなく行き来の流れがある。佐賀は福岡への通勤圏でもあり、転勤や住み替えで双方向に動く人が多いと考えられます。

一方、長崎・鹿児島・宮崎は出ていく人に対して戻る人が少なく、福岡への片道の流れが強い県です。

なお、全体と日本人の数字の差は外国人の動きです。外国人に限ると、福岡県は九州6県すべてに対して転出のほうが多く、6県計で約1,800人の転出超過でした。記事の以下では、断りがない限り「日本人」の数字で年齢の動きを見ていきます。

何歳で来ているのか——18歳と22歳の2つの山

九州6県と福岡県との差し引きを、年齢別に見ます(日本人)。

年齢九州6県から福岡へ(差し引き)福岡から東京圏へ(差し引き)
15〜19歳+3,037人−1,002人
20〜24歳+3,897人−4,046人
25〜29歳+1,113人−1,152人
30〜34歳+607人+59人
35〜39歳+159人+65人
40〜64歳+651人+808人

(東京圏は東京・神奈川・埼玉・千葉。マイナスは福岡から東京圏へ出ていく人のほうが多いことを表します)

九州から福岡への流れは、15〜19歳(進学)と20〜24歳(就職)の2つの山でできています。この2つの年代だけで約6,900人、九州6県からの差し引きの約3分の2を占めます。30代以降になると、流れはぐっと細くなります。

県によって、山の形が違うのも特徴です。

県15〜19歳20〜24歳
鹿児島+999人+494人
長崎+712人+903人
宮崎+492人+522人
大分+311人+701人
熊本+299人+630人
佐賀+224人+647人

鹿児島は18歳前後の進学期に福岡へ来る人が多く、熊本・大分・佐賀は20代前半の就職期のほうが多くなっています。同じ「福岡へ出る」でも、進学で出るのか、就職で出るのかは県によって違う、ということです。

進学と就職、それぞれの入口

2つの山を、学校の側のデータでも確かめておきます。

進学については、文部科学省の学校基本調査(2025年度)によると、福岡県内の大学に入学した約2万7,300人のうち、九州の他の6県の高校を出た人は約6,900人(25.1%)でした。4人に1人が九州の他県出身です。県別では、佐賀の高校から大学に進んだ人の38.0%が福岡県の大学に入学していて、地元佐賀の大学(16.6%)の2倍以上です。

就職については、高校を卒業して就職した人のうち、県外で就職した人の行き先として、福岡県が占める割合は、佐賀49.5%、大分43.5%、長崎41.2%、熊本28.4%、鹿児島28.1%、宮崎24.0%です(学校基本調査、2025年3月卒業)。佐賀・大分・長崎では、県外に就職する高校生のほぼ半数が福岡を選んでいます。

大学卒業後にどの県で就職したかを、出身県別に集計した公的統計はありません。ただ、20〜24歳の差し引きが約3,900人あることから、大学・専門学校の卒業時にも福岡へ移る流れがあることが読み取れます。

福岡は、20代前半で東京へ送り出している

ここまで見ると「福岡は若い人が集まる街」ですが、福岡県全体の年齢別の差し引きを見ると、少し違う姿が見えます。

年齢福岡県(全体)福岡県(日本人)福岡市(日本人)
15〜19歳+1,520人+1,993人+2,453人
20〜24歳−1,694人−82人+5,439人
25〜29歳−908人+372人+1,333人
30〜34歳+804人+1,179人+337人

(すべて他の都道府県との出入りの差し引き。福岡市の数字は、県内の他の市町村との出入りを含みません)

福岡県全体で見ると、20〜24歳は転出のほうが多く(全体で約1,700人の転出超過)、日本人に限ってもほぼ差し引きゼロです。九州から約3,900人を集める一方で、東京圏へ約4,000人、大阪圏へ約660人を送り出しているためです。全体と日本人の差(約1,600人)は外国人の転出超過で、留学や就労で福岡に来た外国人が、他の地域へ移っていく動きと考えられます。

「20代が大きく流れ込んでいる」と言えるのは、福岡市です。福岡市は20〜24歳で日本人が約5,400人の転入超過でした。つまり、若い人を集めているのは福岡市で、福岡県全体としては、九州から集めた若い人の一部を東京へ送り出している。福岡の人口増加がどんな構造で続いているかは福岡の人口増加はなぜ続くのかでも扱っています。

30代以降は、東京からも戻ってくる

もう一つの特徴は、30代以降の動きです。

東京圏との差し引きは、25〜29歳までは福岡からの転出が多いのに対し、30代からは福岡への転入がわずかに上回り、40〜64歳では約800人の転入超過になります。20代で東京に出た人が、30代・40代で福岡に戻る、あるいは東京から福岡へ移る流れがあることがうかがえます。

九州6県からの流れも、30代以降は細いながら続いています。30〜64歳の合計で約1,400人が、差し引きで福岡に移っています。

この年代の移動は、進学や新卒就職ではなく、転職や転勤、家族の事情によるものが中心です。30代以降に福岡へ移る人にとっては、地元と福岡の年収や家賃の差が、判断の材料になります(九州7県の平均年収ランキング・九州7県の家賃相場と物価)。

働く側にとっての意味

この数字から、福岡で働く人・福岡に移ろうとしている人が読み取れることは3つあります。

1つ目は、福岡の職場は、九州各県の出身者が集まる場所だということです。進学から就職までに九州から集まった人が、福岡の企業の働き手の大きな部分を支えています。九州の他の県の出身であることは、福岡では珍しいことではありません。

2つ目は、20代前半は、福岡からも東京へ出ていく年代だということです。福岡は「九州の中では出ていく先」ですが、「全国の中では送り出す側」でもあります。福岡で就職するか、東京に出るかという選択は、九州の他の県で「地元か福岡か」を考えるのと同じ構造です。

3つ目は、30代以降にも、福岡へ移る流れがあることです。転職で福岡に移る、東京から戻る、という選択をする人は毎年一定数いて、珍しい動きではありません。九州各県の求人の特徴は九州の転職市場に、福岡と東京・大阪の比較は福岡と他都市の比較データにまとめています。

よくある質問

Q. 九州で、福岡へ移る人が一番多い県はどこですか?

福岡へ移った人数(転入者数)が最も多いのは熊本県で、2025年に約8,500人でした。ただし福岡から熊本へ移る人も多く、差し引きでは約1,200人です。差し引きで最も多いのは長崎県の約2,400人です(外国人を含む)。

Q. 福岡県は若い人が増えているのですか?

年代によります。15〜19歳は転入のほうが多い一方、20〜24歳は福岡県全体では転出のほうが多く(外国人を含めて約1,700人、日本人ではほぼ差し引きゼロ)、東京圏への転出が大きいためです。20代前半で大きく増えているのは福岡市で、日本人で約5,400人の転入超過でした。

Q. この数字には外国人も含まれますか?

「全体」の数字には含まれ、「日本人」の数字には含まれません。外国人の動きは日本人と向きが違うことがあり、たとえば福岡県は、外国人に限ると九州の他の6県すべてに対して転出のほうが多くなっています。この記事では、どちらの数字かを表ごとに明記しています。

Q. 福岡から地元へ戻る人はどれくらいいますか?

2025年に福岡県から九州の他の6県へ移った人は約3万2,100人いました(外国人を含む)。福岡へ移る人の約8割に相当する人数が、逆方向にも動いています。ただし、この統計では、戻った人が地元の出身者かどうかまではわかりません。

流れの中の自分の位置を知る

九州から福岡へ、そして福岡から東京へ。人の流れは、年代ごとにはっきりした形を持っています。

いま自分がどの流れの中にいるのか。地元から福岡に出てきたところなのか、東京に出るか迷っているのか、30代で地元や福岡に戻ることを考えているのか。流れの全体を知っておくと、自分の選択が特別なものではなく、毎年多くの人が通っている道のひとつだとわかります。そのうえで、年収・家賃・仕事の中身を、自分の条件で比べてみてください。

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