九州の女性の働き方を県別に比べる。福岡は正社員で働く女性の割合が45.2%で九州最低

福岡は九州で最も仕事が多く、給与の水準も高い地域です。では、女性にとっても九州で最も働きやすい場所なのでしょうか。福岡で働き続けるか、地元に戻るかを考える女性にとって、県ごとの違いは気になるところです。
結論から言うと、会社などに雇われて働く女性のうち正社員の割合は、福岡が45.2%で九州7県の中で最も低い水準です(総務省 就業構造基本調査、2022年)。ただし、その一部は学生のアルバイトが多いことによるもので、学生を除くと鹿児島のほうが低くなります。年代別に見ると、福岡は20代前半と40代で正社員の割合が九州の中で低く、全国の平均に近い形をしています。一方、フルタイムで働く女性の年収は、福岡が約380万円で九州7県の中で最も高い水準です。この記事では、これらのデータを並べて、九州の女性の働き方の違いを整理します。
- 正社員で働く女性の割合は、福岡が最も低い
- 年代別に見ると、20代前半と40代で福岡が低い
- 非正規の中身も違う。福岡は派遣と契約社員が多い
- フルタイムの女性の年収は、福岡が最も高い
- 福岡で働く女性、地元に戻る女性にとっての意味
- よくある質問
- 県を選ぶ前に、働き方を選ぶ
正社員で働く女性の割合は、福岡が最も低い
就業構造基本調査(2022年10月時点)から、会社などの役員を除いて雇われて働く女性のうち、正社員(正規の職員・従業員)の割合を県別に比べます。
| 県 | 正社員の割合(全体) | 正社員の割合(学生を除く) |
|---|---|---|
| 熊本 | 50.1% | 51.5% |
| 大分 | 49.7% | 50.5% |
| 佐賀 | 48.2% | 49.5% |
| 宮崎 | 47.6% | 48.1% |
| 長崎 | 46.5% | 47.5% |
| 鹿児島 | 45.7% | 46.6% |
| 福岡 | 45.2% | 47.1% |
| 参考: 全国 | 46.8% | 48.5% |
| 参考: 東京 | 54.6% | 57.1% |
雇われて働く女性全体で見ると、福岡は45.2%で九州7県の中で最も低くなっています。熊本(50.1%)と比べると約5ポイントの差があります。
ただし、学生を除いて比べると、福岡は47.1%で、鹿児島(46.6%)のほうが低くなります。福岡は大学や専門学校が集まる街で、アルバイトで働く学生が多いためです。雇われて働く女性のうち学生が占める割合は、福岡が3.8%で、九州の他の6県(1.5〜2.7%)より高くなっています。
福岡の数字が低い理由の一部は、学生アルバイトの多さという、いわば都市の性格によるものです。それでも、学生を除いても福岡は九州の中で低いほうに入ります。
年代別に見ると、20代前半と40代で福岡が低い
次に、学生を除いた正社員の割合を年代別に見ます。
| 年齢 | 福岡 | 佐賀 | 長崎 | 熊本 | 大分 | 宮崎 | 鹿児島 | 全国 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 67.4% | 77.1% | 72.7% | 75.7% | 76.9% | 70.3% | 71.3% | 75.5% |
| 25〜29歳 | 67.7% | 72.5% | 70.0% | 73.2% | 70.9% | 67.7% | 64.2% | 73.8% |
| 30〜34歳 | 57.9% | 57.4% | 60.0% | 62.4% | 65.0% | 66.3% | 56.0% | 64.4% |
| 35〜39歳 | 55.1% | 53.5% | 54.5% | 57.4% | 54.1% | 50.0% | 49.7% | 55.2% |
| 40〜44歳 | 46.4% | 50.3% | 51.9% | 54.2% | 54.0% | 55.5% | 53.3% | 49.7% |
| 45〜49歳 | 49.2% | 55.4% | 51.1% | 53.8% | 50.9% | 50.4% | 50.5% | 46.2% |
| 50〜54歳 | 43.2% | 51.0% | 45.3% | 52.4% | 54.3% | 50.4% | 47.6% | 42.8% |
(学生を除いた値。学生を含めた値とは少し異なる。就業構造基本調査は標本調査のため、人数の少ない県の年代別の値は誤差が大きく、傾向として読む)
どの県でも、正社員の割合は20代で高く、30代に入ると下がっていきます。そのうえで、福岡には2つの特徴があります。
1つ目は、20代前半で正社員の割合が九州で最も低いことです。学生を除いても67.4%で、九州の他の県(70.3〜77.1%)や全国(75.5%)を下回ります。社会に出た最初の段階から、非正規で働く女性が多いということです。
2つ目は、40代から50代前半にかけて、九州の中で最も低いことです。40〜44歳は46.4%、50〜54歳は43.2%で、九州の他の県(40〜44歳で50.3〜55.5%、50〜54歳で45.3〜54.3%)と比べて低くなっています。ただしこの年代の福岡の値は、全国の平均(40〜44歳49.7%、50〜54歳42.8%)とほぼ同じです。福岡が特に低いというより、九州の他の県で、40代以降も正社員を続ける女性が全国より多い、と見るほうが実態に近いと言えます。
福岡でこうした形になる理由は、この統計からは断定できません。考えられるのは、小売や飲食、サービスなど、パートやアルバイト、契約社員の求人が多い都市型の働き口が豊富なことや、共働きの形の違いなどです。いずれにしても、福岡では、正社員を続けるかどうかが本人の選択に委ねられる場面が多いと考えておくのがよさそうです。
非正規の中身も違う。福岡は派遣と契約社員が多い
非正規で働く女性の割合が高いといっても、その中身は県によって違います。雇われて働く女性全体に占める、非正規の働き方ごとの割合を比べます(学生を含む全体)。
| 県 | パート | アルバイト | 派遣社員 | 契約社員 |
|---|---|---|---|---|
| 福岡 | 33.8% | 7.9% | 3.5% | 5.7% |
| 佐賀 | 35.6% | 5.5% | 2.0% | 4.6% |
| 長崎 | 36.0% | 5.4% | 1.6% | 4.5% |
| 熊本 | 32.5% | 6.3% | 2.4% | 4.6% |
| 大分 | 36.0% | 5.1% | 1.7% | 4.3% |
| 宮崎 | 35.0% | 5.0% | 2.2% | 4.7% |
| 鹿児島 | 37.3% | 6.5% | 2.0% | 4.9% |
| 参考: 全国 | 33.5% | 8.0% | 3.5% | 5.0% |
福岡は、パートの割合は九州の他の県と同じか低めですが、アルバイト、派遣社員、契約社員の割合が九州で最も高くなっています。派遣社員は3.5%で、九州の他の県(1.6〜2.4%)の約1.4〜2.1倍です。
派遣社員や契約社員は、事務などのオフィスの仕事でよく見られる働き方です。オフィスの仕事が集まる福岡では、正社員ではない形でオフィスの仕事に就く女性も多いと考えられます。福岡で事務職を目指す場合、派遣や契約社員の求人は見つけやすい一方で、正社員の求人をめぐる競争は厳しくなりやすいことも、頭に入れておくとよいでしょう。
フルタイムの女性の年収は、福岡が最も高い
一方で、フルタイムで働く女性の年収は、福岡が九州で最も高い水準です。厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2025年)から、所定内給与×12+年間賞与で計算しました(企業規模10人以上、パートを除く一般労働者)。
| 県 | 女性の平均年収 | 男性の平均年収 | 女性の年収は男性の何% |
|---|---|---|---|
| 福岡 | 約380万円 | 約523万円 | 72.5% |
| 大分 | 約364万円 | 約477万円 | 76.3% |
| 鹿児島 | 約361万円 | 約468万円 | 77.2% |
| 長崎 | 約357万円 | 約467万円 | 76.4% |
| 熊本 | 約355万円 | 約478万円 | 74.2% |
| 佐賀 | 約347万円 | 約465万円 | 74.7% |
| 宮崎 | 約337万円 | 約433万円 | 77.8% |
| 参考: 全国 | 約415万円 | 約567万円 | 73.1% |
福岡の女性の年収は約380万円で、九州の他の6県(約337〜364万円)より15〜43万円高くなっています。一方で、男性との比率は72.5%で九州の中で最も低く、男女の年収差が最も大きいのも福岡です。
つまり福岡は、フルタイムで働き続ければ九州で最も年収が高いが、男性との差も最も大きく、フルタイム(正社員)で働く女性の割合は低い地域です。福岡の女性の年収が年代や業種によってどう変わるかは、福岡の女性の年収で詳しく見ています。
福岡で働く女性、地元に戻る女性にとっての意味
このデータから、九州で働く女性にとって2つのことが言えます。
1つ目は、福岡では「正社員を続けること」の価値が大きいということです。フルタイムで働いた場合の年収は九州で最も高い一方、非正規の働き口も多く、正社員から離れる人の割合も高くなっています。結婚や出産、介護などで働き方を見直すときも、正社員のまま時短勤務や在宅勤務に切り替えられる会社かどうかは、長い目で見た年収に大きく影響します。
2つ目は、地元に戻る場合は、年収の水準は下がるが、正社員を続けやすい環境がある可能性があるということです。九州の他の県では、40代以降も正社員で働く女性の割合が全国より高くなっています。年収の額だけで比べず、正社員として長く働ける職場があるかどうかも判断材料になります。
女性が長く働ける会社かどうかは、国に届け出られた女性の活躍に関するデータで確かめられます。福岡の企業のデータは女性の働きやすさのデータにまとめています。福岡の管理職に占める女性の割合は福岡の女性管理職比率で扱っています。
よくある質問
Q. 九州で、正社員で働く女性の割合が一番高い県はどこですか?
就業構造基本調査(2022年)では、熊本県の50.1%が最も高く、大分県49.7%、佐賀県48.2%が続きます。福岡県は45.2%で最も低い水準です。
Q. 福岡は女性の正社員の割合がなぜ低いのですか?
一部は、アルバイトで働く学生が多いためです。学生を除くと福岡は47.1%で、鹿児島(46.6%)のほうが低くなります。学生を除いても、福岡は20代前半と40代以降で九州の他の県より低く、パートやアルバイトの働き口が多い都市の特徴が影響していると考えられますが、統計から理由を断定することはできません。
Q. 九州で女性の年収が一番高いのはどこですか?
フルタイムで働く女性の平均年収は、福岡県が約380万円で最も高く、大分県の約364万円、鹿児島県の約361万円が続きます(賃金構造基本統計調査2025年から計算)。
Q. 福岡の女性の年収は、男性と比べてどれくらいですか?
フルタイムで働く女性の平均年収は、男性の72.5%です。九州7県の中で最も低い比率で、男女の年収差が最も大きいのが福岡です。
県を選ぶ前に、働き方を選ぶ
九州の中で、福岡は女性の年収が最も高い一方、正社員で働く女性の割合は低く、男性との年収差も大きい地域です。どの県で働くかと同じくらい、どんな働き方を続けるかが、女性の年収と生活を左右します。
福岡に残るか、地元に戻るか。その判断をするときは、年収の額だけでなく、正社員として働き続けられる職場があるかどうかも並べて考えてみてください。

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