定款の作り方。事業目的の書き方で将来が変わる

定款は「会社の憲法」と呼ばれます。ただ、実務で本当に効くのは、そのうちの数項目です。
結論から言うと、設立時にもっとも注意すべきは「事業目的」です。許認可の要件に合っていないと、設立後に事業を始められない。この記事では、記載事項の押さえどころを整理します。許認可がある場合は、必ず許可の窓口に文言を確認してください。
- 定款に書く3種類の事項
- 事業目的の書き方
- 商号(会社名)
- 本店所在地
- 事業年度(決算期)
- 認証の要否
- 変更にかかるコスト
- よくある質問
- 事業目的だけは、窓口に確認してから
定款に書く3種類の事項
①絶対的記載事項(記載がないと定款そのものが無効) - 目的(事業内容) - 商号(会社名) - 本店の所在地 - 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額 - 発起人の氏名または名称および住所 - (株式会社の場合)発行可能株式総数
②相対的記載事項(記載しないと効力が生じない事項) - 株式の譲渡制限、役員の任期の伸長、現物出資など
③任意的記載事項(記載してもしなくてもよい) - 事業年度、役員の員数など
実務で判断が必要なのは、①の「目的」「商号」「本店」と、②のいくつかです。
定款で失敗するのは、法律の理解不足ではなく事業目的の文言。許認可の要件に合っていないと、会社はできても事業が始められない。
事業目的の書き方
①許認可がある場合、要件に合った文言にする。これが最重要です。
例: 建設業許可、宅地建物取引業、有料職業紹介、労働者派遣、旅館業、古物商、酒類販売、産業廃棄物、飲食業。それぞれ、定款の目的に特定の文言が求められる場合があります。
「一般的な表現で書いておけば大丈夫」ではありません。許可の窓口(県庁、警察署、保健所など)に、事前に文言を確認してください(古物商許可の取り方・民泊・バーの開業)。
②将来やる可能性のある事業も入れておく。後から追加するには定款変更と登記が必要で、登録免許税と手間がかかります。設立時に入れておけば無料です。
③最後に「前各号に附帯関連する一切の事業」を入れる。定型の文言で、周辺業務をカバーします。
④多すぎるのも問題。20項目も並ぶと、法人口座の審査や取引先の与信で「何をする会社か分からない」と見られることがあります(法人口座の審査に落ちる理由)。5〜10項目程度が実務的なバランスです。
商号(会社名)
①同一住所に同一商号は登記できません。②法人格を示す文字(株式会社、合同会社)を含める必要があります。③使えない文字(記号の制限)があります。④既存の商標と紛らわしい名称は、後でトラブルになり得ます。
⑤ドメイン・SNSアカウントの空きも同時に確認(屋号の決め方の考え方が法人名にも使えます)。
本店所在地
定款には「最小行政区画まで」(例: 福岡市中央区)で記載できます。この書き方なら、同じ区内での移転は定款変更が不要です(登記は必要)。
番地まで書くと、区内の移転でも定款変更が必要になります。最小行政区画までにしておくのが実務的です。
自宅にするかどうかは自宅を法人登記するデメリットを参照してください。
事業年度(決算期)
任意的記載事項ですが、実務的に重要です。
設立月から最も離れた月を決算期にすると、初年度が長く取れます(最長1年)。免税期間を長く使える、決算作業の準備期間が取れるという利点があります。
繁忙期と決算作業が重ならない月を選ぶのも実務的な判断です。事業の必要売上はライフプラン逆算から逆算しておくと、初年度の計画が立てやすくなります。
認証の要否
株式会社は、公証役場での定款認証が必要です(手数料が発生)。合同会社は認証不要(合同会社と株式会社どっちにするか)。
電子定款なら収入印紙4万円が不要になります(法人設立の費用内訳・設立サービスで会社をつくる)。
変更にかかるコスト
定款変更には、株主総会(社員総会)の決議と、登記事項なら登記が必要です。登録免許税(登記事項の変更で3万円程度)と手間がかかります。
だから、設立時に将来を織り込んでおく価値がある——とくに事業目的です。
よくある質問
Q. テンプレートをそのまま使っていいですか?
許認可がない標準的な事業なら、実務上は使えます。ただし、事業目的だけは自分の事業に合わせてください。
Q. 事業目的は何個まで書けますか?
制限はありませんが、多すぎると実体が分かりにくくなります。5〜10項目程度が目安。
Q. 定款はどこに保管しますか?
会社で原本を保管します。電子定款なら電子データで。融資や許認可の申請で提出を求められます。
Q. 後から事業を追加したくなったら?
定款変更と登記が必要です。附帯関連の文言でカバーできる範囲なら、変更不要な場合もあります。
事業目的だけは、窓口に確認してから
定款は形式的な書類に見えますが、事業目的の文言ひとつで、事業が始められるかどうかが変わります。許認可がある業種なら、設立前に許可の窓口に文言を確認する——この一手間が、後の大きなやり直しを防ぎます。
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