バーを開業する。深夜酒類提供の届出と収支モデル

バーの開業は、内装や酒の仕入れより先に、届出の要件で物件が決まるという特徴があります。ここを知らずに契約すると、深夜営業ができない物件を借りてしまうことがあります。
結論から言うと、深夜0時以降も酒を提供するなら「深夜酒類提供飲食店営業」の届出が必要で、この届出は用途地域の制限を受けます。つまり、物件を決める前に、そこで深夜営業ができるかを確認するのが第一手順です。この記事では、届出、物件、費用、収支の順に整理します。要件は所轄警察署・自治体で運用が異なるため、必ず事前に相談してください。
- 届出と許可の線引き
- 物件選びで先に確認すること
- 初期費用の内訳
- 収支モデル
- 資金調達
- よくある質問
- 法規 → 物件 → 内装の順で決める
届出と許可の線引き
①飲食店営業許可(保健所)。すべての飲食店に必要。厨房・シンク・手洗いなどの設備基準があります。
②深夜酒類提供飲食店営業の届出(所轄警察署)。深夜0時から日の出までの時間帯に、主として酒類を提供する場合に必要。営業開始の10日前までに届け出るのが原則です。
③風俗営業の許可(風営法)。客に接して歓談する接客をともなう場合(いわゆる接待)は、こちらの許可が必要になり、そもそも深夜営業ができません。カウンター越しの通常の接客と「接待」の線引きは運用があるため、業態を決める段階で警察署に相談してください。
多くのバーは①+②です。③に踏み込むと、営業時間の制約と要件が大きく変わります。
物件選びで先に確認すること
①用途地域。深夜酒類提供飲食店営業は、住居系の用途地域では営業できないのが原則です。物件の所在地の用途地域を、契約前に必ず確認してください。ここを外すと、物件契約が丸ごと無駄になります。
②建物の構造と設備。客室の床面積、見通しを妨げる設備の制限、照度など、届出の要件があります。居抜きでも、前のテナントと業態が違えば要件を満たさないことがあります。
③近隣の状況。学校・病院などの保護対象施設との距離制限が問題になる場合があります。
④賃貸借契約。深夜営業が契約上禁止されていないか。オーナーの承諾。
順番は「用途地域の確認 → 警察署に事前相談 → 契約」。逆にすると取り返しがつきません。
バーの開業でいちばん高くつくミスは、内装の失敗ではなく、深夜営業ができない物件を契約すること。物件は法規から選ぶ。
初期費用の内訳
小規模なバー(10〜15席程度)の目安です[要確認: 福岡市内の直近相場]。
物件取得(保証金・礼金・仲介手数料): 100〜300万円。内装工事: 居抜きで100〜300万円、スケルトンで400万円〜。厨房・製氷機・冷蔵設備: 50〜150万円。什器・グラス・備品: 30〜80万円。初期の酒類仕入れ: 30〜80万円。届出・許可の費用、保険、看板、POS: 30〜60万円。
総額の目安は400〜1,000万円程度。居抜き物件を使えるかどうかで、数百万円が動きます。
これに加えて、開業後の運転資金が必要です。バーは認知が積み上がるまで時間がかかる業態なので、固定費の6〜12ヶ月分を見ておくのが安全です(運転資金は何ヶ月分必要か)。
収支モデル
席数と客単価から逆算します。
12席、客単価4,000円、1日の回転1.5回転 = 1日18人 → 売上72,000円。月25日営業で売上180万円。
原価率30% → 54万円。家賃25万円。人件費(自分+アルバイト1名): 自分の役員報酬を別として、アルバイト20万円。水道光熱・通信・消耗品: 15万円。その他(カード手数料、音楽著作権、清掃): 10万円。
残り = 約56万円。ここから借入返済と自分の報酬、税・社会保険を引きます。自分の報酬がいくら必要かはライフプラン逆算で先に出しておくと、席数と単価の設計が決まります。
注意すべきは回転率の前提です。開業初期は1日の来客が数人という日もあります。「席数×回転」の数字が積み上がるまでの期間をどう食いつなぐかが、事業の生死を分けます。
資金調達
初期投資が数百万円以上になるため、公庫の創業融資と福岡県・福岡市の制度融資の併用が現実的です。
審査で見られるのは、①飲食・バーでの実務経験(もっとも重視されます)②物件と工事の見積書(資金使途の裏づけ)③売上計画の根拠(席数×単価×回転×営業日で分解する)。詳細は創業計画書の書き方にまとめました。
よくある質問
Q. 深夜営業をしなければ届出は不要ですか?
0時までの営業なら②の届出は不要です(①の飲食店営業許可は必要)。ただし売上の相当部分を深夜帯に依存する業態なら、営業時間の設計そのものを見直す必要があります。
Q. 居抜き物件なら安く始められますか?
大幅に安くなりますが、前のテナントの業態と、届出の要件が一致しているかを必ず確認してください。
Q. 一人で営業できますか?
小箱なら可能です。ただし休みが取れない構造になるため、体調不良時の対応を先に考えておいてください。
Q. 未経験から開業できますか?
制度上は可能ですが、融資審査では経験年数が見られます。バーでの勤務経験を積んでからのほうが、資金調達も運営も安定します。
法規 → 物件 → 内装の順で決める
バーの開業で最初に決めるべきは、コンセプトでも内装でもなく、「この場所で、この時間まで、この業態で営業できるか」です。ここを警察署と保健所に確認してから物件を契約すれば、致命的なやり直しは避けられます。
自分の構想だと、どの届出が要るのか。福岡で実際に創業した経営者に無料で相談できます。

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