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大分と福岡、どちらで働くか。平均年収の差は約37万円、福岡から移っても移住支援金の対象になりうる

寺木 健人
監修:寺木 健人転職・キャリア担当・人材業界出身
公開

大分と福岡は、特急ソニックで最短2時間1分(JR九州の案内による)。九州の県庁所在地の中でも、福岡と行き来しやすい街のひとつです。大分出身で福岡で働く人、大分で働きながら福岡への転職を考える人にとって、「どちらで働くか」は身近な問いだと思います。

結論から言うと、大分と福岡の平均年収の差は約37万円です(2025年、賃金構造基本統計調査からの推計)。ただし会社の規模で差の大きさが違い、100〜999人の会社どうしでは約17万円、10〜99人の会社どうしでは約15万円にとどまります。さらに、正社員の求人倍率は九州7県で大分が最も高く、県の移住支援金は福岡から移る人も対象になりえます(年齢などの条件あり)。九州の中でも、大分は「戻る」を選びやすい条件がそろった県です。

このコラムでわかること
  1. 大分は、福岡へ「就職で」出ていく県
  2. 年収の差は、中くらいの会社で小さく、大企業で大きい
  3. コンビナートと工場の県。業種によっては大分が上
  4. 正社員の求人倍率は、九州で最も高い
  5. 福岡から移る人も、移住支援金の対象になりうる
  6. 生活費は、家賃も物価も大分がやや安い
  7. 相談できる窓口
  8. よくある質問
  9. 大分は、「戻る」を選びやすい県

大分は、福岡へ「就職で」出ていく県

総務省の住民基本台帳人口移動報告(2025年)では、大分県から福岡県へ移った人は7,076人、福岡県から大分県へ移った人は5,815人で、差し引き1,261人が福岡へ移っています(外国人を含む。日本人に限ると1,551人)。

年齢で見ると、日本人の差し引きは15〜19歳が311人、20〜24歳が701人です。進学より、就職の時期に福岡へ移る人が多い県です。高校を出て就職する人でも、県外で就職した人の43.5%が福岡県を選んでいます(学校基本調査、2025年3月卒業)。

一方、20代後半になると、大分から福岡へ987人、福岡から大分へ815人(25〜29歳、日本人)と、行き来がほぼ釣り合ってきます。福岡で数年働いてから大分に戻るという動きは、数字の上でも珍しくありません。九州全体の人の流れは九州から福岡への人口移動で詳しく見ています。

年収の差は、中くらいの会社で小さく、大企業で大きい

厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2025年、企業規模10人以上・フルタイムの一般労働者)から、所定内給与×12+年間賞与で年収を推計します。

大分県の平均は約429万円、福岡県は約466万円で、差は約37万円です。これを会社の規模に分けると、差の大きさが変わります。

会社の規模大分福岡差
1000人以上約495万円約546万円約52万円
100〜999人約437万円約453万円約17万円
10〜99人約391万円約405万円約15万円

中小企業どうしなら、大分と福岡の差は15〜17万円です。差が大きいのは1000人以上の大企業どうしで、約52万円あります。熊本や長崎では大企業どうしの差のほうが小さいので、大分はその逆の形です。

年代別の差は、20代で約22万円、30代で約35万円、40代で約36万円、50代で約59万円です。20代から40代までは差が比較的小さく、50代で開きます。

男女別では、男性の差が約46万円(大分 約477万円、福岡 約523万円)、女性の差が約15万円(大分 約364万円、福岡 約380万円)です。女性の場合、大分と福岡の差は九州の中でも小さい部類に入ります。パートやアルバイトの目安になる最低賃金は、2026年度の改定の答申で、大分県が1,096円(11月1日発効予定)、福岡県が1,114円(10月4日発効予定)。差は1時間あたり18円です。

コンビナートと工場の県。業種によっては大分が上

大分は、九州の中でも製造業の比重が高い県です。経済センサス(2024年)で見ると、大分県で働く人の14.3%が製造業で、福岡県(10.9%)を上回ります。経済産業省の経済構造実態調査(2024年実績)では、製造品出荷額は約5兆7,448億円で、非鉄金属21.7%、鉄鋼15.1%、化学12.0%と、大分コンビナートを中心とする素材型の産業が並びます。大分市の製造業では、働く人の26.2%が東京に本社がある会社の事業所で働いています。

業種別の年収(所定内給与×12+年間賞与)を比べると、次のとおりです。

業種大分福岡福岡との差
医療・福祉約426万円約416万円大分が約10万円高い
電気・ガス・熱供給・水道約654万円約671万円約17万円
学術研究・専門・技術サービス約572万円約590万円約17万円
製造業約445万円約467万円約23万円
情報通信約499万円約569万円約70万円
卸売・小売約398万円約473万円約76万円
金融・保険約531万円約627万円約96万円

(男女計・企業規模計。県・業種別の表には働く人の数が載っていないため、働く人の少ない業種では値がぶれることがあります。目安として見てください)

医療・福祉では大分のほうが高く、製造業、電気・ガス、技術系の専門サービスでも差は20万円前後です。一方、情報通信、卸売・小売、金融・保険では70〜100万円近い差があります。製造・技術・医療の仕事なら、大分に戻る年収面の負担は小さいと言えます。

正社員の求人倍率は、九州で最も高い

厚生労働省の職業安定業務統計(2025年度平均)で、働く場所の県で数えた有効求人倍率は、大分県が1.36倍で、佐賀県と並んで九州7県で最も高い水準です。福岡県は1.01倍です。

正社員の求人に限って計算すると、大分県は1.16倍で九州7県の中で最も高く、福岡県(0.88倍)を大きく上回ります。求職者1人あたりの正社員の求人が多い、つまり正社員として働く口を見つけやすい県だということです。

ただし、求人の中身は福岡と違います。事務・企画・ITの求人は福岡に多く、大分では製造・技術・医療福祉の求人の比重が大きくなります。自分の職種の求人が大分にあるかは、先に確かめてください。福岡側の求人の状況は福岡の採用市場のデータで見られます。

福岡から移る人も、移住支援金の対象になりうる

大分県の移住支援金は、大分県外から移住する人すべてが対象です。移住元を東京圏に限っている県もある中で、福岡から大分へ移る人も対象になりえます。大分県出身者も対象です。

支給額は、2人以上の世帯で100万円、単身で60万円が基本ですが、市町村によって違い、たとえば大分市は世帯60万円、単身40万円です。子育て世帯には市町村によって加算があります。

東京圏以外から移る場合は条件があり、2025年10月1日以降の申請では、申請する年度の4月1日時点で39歳以下であるか、18歳未満の世帯員を連れて移る子育て世帯であることが必要です。就職で申請する場合は、県の求人サイト「おおいたジョブナビ」に移住支援金の対象として掲載された求人に、掲載日以降に応募して、週20時間以上の無期雇用で就職することが条件です。転勤や進学など一時的な転入や、転入後5年以内に県外へ出る可能性が高い転入は対象外です。

移住支援金の対象にならなかった人には、「移住応援給付金」があります。基本は1世帯20万円で、18歳未満の子どもがいる世帯か、18〜39歳の人がいる世帯には10万円が加算されます(どちらか一方)。2026年4月からは、県が指定する業種に就職した場合の加算(10万円)も始まっています。いずれも、短い期間で転出すると返還が必要になるので、条件は申請前に移住先の市町村で確認してください。

生活費は、家賃も物価も大分がやや安い

住宅・土地統計調査(2023年)の民営借家の家賃は、大分市が月約4万8,900円、福岡市が月約5万9,200円で、年間にすると約12万円の差があります。

家賃以外の物価も、大分のほうがやや安い水準です。総務省の消費者物価地域差指数(2025年、全国=100)は、家賃を除いた総合で大分県98.6、福岡県99.1。家賃を含めた総合では大分県97.4、福岡県98.5です。

中小企業どうしの年収差(15〜17万円)と、家賃の差(年約12万円)は、ほぼ同じ大きさです。中小企業で働くなら、大分と福岡の手元に残る額の差はかなり小さい計算になります。家賃と物価の比べ方は九州7県の家賃相場と物価にまとめています。

相談できる窓口

大分での仕事探しの相談は、県の「おおいたジョブステーション」が窓口です。2025年9月にJR大分駅直結の「アミュプラザおおいた」へ移転し、月曜から土曜の9時30分から18時まで開いています(祝日・年末年始を除く)。帰省のついでに立ち寄りやすい場所です。

求人は「おおいたジョブナビ」に集まっていて、移住支援金の対象求人もここで探せます。

もうひとつの選択肢として、福岡に本社がある会社に勤めて、大分の事業所で働くという道もあります。経済センサス(2024年)で見ると、大分県で働く人の6.9%が、福岡県に本社がある会社の事業所で働いています。九州全体に拠点を持つ福岡の会社に入り、転勤や配属で大分に戻る、あるいは大分の拠点で採用されるという形です。いきなり大分の会社を探すより、今いる会社や業界の中で大分に拠点がないかを確かめるほうが、年収を大きく下げずに戻れる場合があります。

よくある質問

Q. 大分から福岡に出ると、年収はいくら上がりますか?

平均では約37万円の差があります(2025年、賃金構造基本統計調査からの推計)。ただし、100〜999人の会社どうしでは約17万円、10〜99人の会社どうしでは約15万円です。医療・福祉では大分のほうが高い水準です。

Q. 福岡から大分に移っても、移住支援金はもらえますか?

対象になりえます。大分県の移住支援金は県外すべてからの移住者が対象です。ただし東京圏以外からの場合は、申請年度の4月1日時点で39歳以下か、18歳未満の子どもを連れて移る世帯であることなどの条件があり、金額も市町村で違います(大分市は世帯60万円、単身40万円)。

Q. 大分と福岡は通勤できますか?

特急ソニックで最短2時間1分なので、毎日の通勤は現実的ではありません。ただ、週末に行き来する、出張で往復する、といった形なら負担は大きくありません。

Q. 大分で正社員の仕事は見つかりますか?

正社員の求人倍率は1.16倍(2025年度平均、職業安定業務統計からの計算)で、九州7県の中で最も高い水準です。ただし求人は製造・技術・医療福祉に厚いので、自分の職種の求人があるかを先に確かめてください。

大分は、「戻る」を選びやすい県

大分と福岡の年収差は、平均で約37万円。しかし中小企業どうしでは15〜17万円まで縮み、家賃の差を差し引くと、手元に残る額の差はかなり小さくなります。正社員の求人は九州で最も見つけやすく、福岡から移る人も移住支援金の対象になりえます。

大企業や、事務・IT・金融の仕事なら、今も福岡の有利ははっきりしています。自分の業種と会社の規模をそろえて比べ、支援金の条件を確かめれば、「戻る」「残る」のどちらが自分に合うかが具体的に見えてきます。

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