佐賀から福岡市へ通勤する人は約8,600人。鳥栖・基山は通勤圏、佐賀市からは1.4%

「福岡で働きたいけれど、住むのは地元の佐賀のままがいい」「福岡市内より家賃の安い佐賀側に住めないか」。福岡と佐賀の県境あたりで仕事や住まいを考えている人にとって、佐賀から福岡への通勤は現実的な選択肢です。
結論から言うと、国勢調査(2020年)で佐賀県に住んで福岡市で働く人は約8,600人、福岡県全体で働く人は約2万6,000人です。ただし、ほとんどは県境に近い一部の市町に集中しています。基山町では働く人の14.0%、鳥栖市では7.8%が福岡市に通っているのに対し、佐賀市からは1.4%にとどまります。また鳥栖市からは、福岡市より久留米市で働く人のほうが多くなっています。この記事では、通勤者の実数と定期代・家賃の差から、佐賀に住んで福岡で働く場合の損得を整理します。
- 佐賀から福岡へ、何人が通っているのか
- 鳥栖からは、福岡市より久留米が多い
- 福岡市のどこへ通っているのか
- 定期代はいくらかかるか
- 家賃の差と、年収の差
- お金以外で考えておきたいこと
- よくある質問
- 住む場所と働く場所を、分けて考える
佐賀から福岡へ、何人が通っているのか
総務省の国勢調査(2020年10月時点)の従業地集計で、佐賀県に住む15歳以上の就業者のうち、福岡県で働いている人を数えました。
| 住んでいる市町 | 働く人(15歳以上) | 福岡県で働く人 | うち福岡市 | うち久留米市 |
|---|---|---|---|---|
| 佐賀県 全体 | 40万264人 | 2万6,351人(6.6%) | 8,592人(2.1%) | 7,148人 |
| 基山町 | 8,401人 | 3,020人(35.9%) | 1,175人(14.0%) | 422人 |
| 鳥栖市 | 3万4,286人 | 8,876人(25.9%) | 2,662人(7.8%) | 2,891人 |
| みやき町 | 1万1,678人 | 2,553人(21.9%) | 355人(3.0%) | 1,537人 |
| 上峰町 | 4,330人 | 573人(13.2%) | 102人(2.4%) | 290人 |
| 吉野ヶ里町 | 8,103人 | 704人(8.7%) | 168人(2.1%) | 298人 |
| 神埼市 | 1万5,239人 | 1,099人(7.2%) | 218人(1.4%) | 423人 |
| 唐津市 | 5万6,466人 | 2,588人(4.6%) | 1,622人(2.9%) | 25人 |
| 佐賀市 | 11万3,388人 | 5,433人(4.8%) | 1,609人(1.4%) | 1,066人 |
(割合は、それぞれの市町に住んで働く人に占める割合)
基山町では3人に1人以上、鳥栖市では4人に1人が福岡県で働いています。この2つの市町は、実質的に福岡の通勤圏と言える水準です。ほかに、佐賀県から福岡県の学校に通う15歳以上の通学者が約4,300人います。
一方で、佐賀市に住んで働く人のうち、福岡県で働く人は4.8%、福岡市で働く人は1.4%です。「佐賀から福岡に通う」と一口に言っても、実際に通勤圏として機能しているのは鳥栖・基山を中心とした県の東の端です。
鳥栖からは、福岡市より久留米が多い
表で目を引くのは、鳥栖市から久留米市で働く人(2,891人)が、福岡市で働く人(2,662人)を上回っていることです。みやき町では久留米市が1,537人で、福岡市(355人)の4倍以上です。
県境の東側、筑後川沿いの地域は、久留米と一体の生活圏になっています。「福岡で働く」と考えたとき、行き先は福岡市だけではありません。久留米や筑紫野(佐賀県から約1,200人)など、県境の反対側にも職場はあります。久留米・筑後エリアの仕事の特徴は久留米・筑後エリアの求人動向にまとめています。
福岡市のどこへ通っているのか
佐賀県から福岡市に通う人を、行き先の区ごとに分けると次のとおりです。
| 福岡市の区 | 働きに来る人 | 学校に通う人 |
|---|---|---|
| 博多区 | 4,322人 | 752人 |
| 中央区 | 1,977人 | 347人 |
| 東区 | 646人 | 389人 |
| 西区 | 617人 | 142人 |
| 南区 | 433人 | 189人 |
| 早良区 | 392人 | 244人 |
| 城南区 | 205人 | 472人 |
| 福岡市 計 | 8,592人 | 2,535人 |
(15歳以上。学校に通う人は、佐賀県に住んで福岡市の学校に通う人)
働きに来る人の約半数(50.3%)が博多区で、中央区(23.0%)と合わせると7割を超えます。鳥栖・基山から鹿児島本線で博多駅に着き、そのまま博多区や天神のオフィスで働く、という形が中心です。唐津市からは西区で働く人が413人いて、筑肥線と地下鉄がつながる西側の路線の存在がうかがえます。
学校に通う人では、大学のある城南区が472人で、働きに来る人(205人)の2倍以上です。佐賀から福岡の大学に通い、そのまま福岡で働き始める人も少なくないと考えられます。福岡市内でどの町に会社が集まっているかは、町名別の企業の集積データで確認できます。
なお、この数字はコロナ禍の最中の2020年10月の調査です。在宅勤務が広がった時期のため、通勤者は平常時より少なく出ている可能性があります。
定期代はいくらかかるか
JR九州の通勤定期(1か月、2025年4月の運賃改定後)は次のとおりです。
| 区間 | 距離 | 通勤定期(1か月) | 年間(12か月分) |
|---|---|---|---|
| 基山〜博多 | 23.2km | 1万8,450円 | 約22万円 |
| 鳥栖〜博多 | 28.6km | 2万1,770円 | 約26万円 |
| 佐賀〜博多 | 53.6km | 3万6,790円 | 約44万円 |
鳥栖〜博多は、2025年4月の運賃改定の前は1万7,090円で、月に約4,700円上がりました。佐賀〜博多は改定前の2万8,590円から約8,200円上がっています。
所要時間は、鳥栖〜博多が快速でおおむね30〜40分台です。佐賀〜博多は特急を使えば40分前後ですが、特急料金は通勤定期とは別にかかります。在来線の快速や普通だけで通うと、さらに時間がかかります。
定期代を会社がどこまで負担してくれるかは、会社の通勤手当の規定で決まります。全額を支給する会社もあれば、上限を設けている会社もあります。佐賀から福岡の会社に通う場合は、面接の段階で通勤手当の上限を確認しておくと安心です。なお、電車やバスで通う人の通勤手当は、1か月15万円までは所得税がかかりません。鳥栖や佐賀からの定期代は、この範囲に十分収まります。
家賃の差と、年収の差
佐賀に住むいちばんの理由は、家賃の安さです。総務省の住宅・土地統計調査(2023年)の民営借家の平均家賃(1か月)は、福岡市が約5万9,200円、鳥栖市が約5万3,900円、佐賀市が約5万2,500円です。
福岡市と比べて、鳥栖市は月約5,200円、年間で約6万円安く、佐賀市は月約6,700円、年間で約8万円安い計算です。
ここに定期代を並べると、損得の分かれ目がはっきりします。定期代を会社が全額負担してくれるなら、家賃が安いぶん佐賀側に住むほうが手元に残る額は多くなります。一方、鳥栖〜博多の定期代(年約26万円)を自分で払う場合は、家賃の差(年約6万円)を大きく上回り、福岡市内に住むほうが安くなります。
年収の面では、働く場所が福岡なら、給与の水準は福岡の会社の水準です。賃金構造基本統計調査(2025年)から計算した平均年収は、佐賀県が約415万円、福岡県が約466万円で、約52万円の差があります。佐賀に住みながら福岡の会社で働くことは、平均で見れば「福岡の給与」と「佐賀の家賃」を組み合わせる選び方と言えます。九州の各県の家賃と物価の違いは九州7県の家賃相場と物価で詳しく比べています。
お金以外で考えておきたいこと
お金の面で有利でも、通勤時間は毎日の生活に直接効いてきます。鳥栖から博多まで片道30〜40分の乗車でも、駅までの移動や乗り換えを含めると、往復で1時間半前後になることもあります。
また、車が生活の足になるかどうかも大きな違いです。佐賀県内の多くの地域では、日々の買い物や子どもの送り迎えに車が欠かせません。車の維持費は家賃の差を打ち消すこともあります。一方で、実家が佐賀側にあり、親の近くに住みながら福岡の会社で働けることは、お金に換えにくい大きな利点です。
在宅勤務ができるかどうかも、通勤の負担を大きく左右します。週に何日か在宅で働ける会社なら、片道30〜40分以上の通勤でも続けやすくなります。佐賀側に住むことを前提に福岡で仕事を探すなら、在宅勤務の制度と、実際にどれくらい使われているかを確かめておくとよいでしょう。
福岡市内に住む場合でも、通勤時間と家賃の組み合わせで住む場所の選び方は変わります。福岡市内の通勤と家賃の関係は福岡で働くならどこに住むかで整理しています。
よくある質問
Q. 佐賀から福岡へ通勤している人は何人くらいいますか?
国勢調査(2020年)では、佐賀県に住んで福岡県で働く人は2万6,351人、そのうち福岡市で働く人は8,592人です。住んでいる場所別では、鳥栖市(福岡県へ8,876人)と基山町(3,020人)が特に多くなっています。
Q. 鳥栖から博多への通勤定期はいくらですか?
JR九州の通勤定期(1か月)は2万1,770円です(2025年4月の運賃改定後)。基山〜博多は1万8,450円、佐賀〜博多は3万6,790円です。特急を使う場合、特急料金は別にかかります。
Q. 佐賀に住んで福岡で働くのと、福岡市に住むのとでは、どちらが得ですか?
定期代を会社が全額負担するなら、家賃が安い佐賀側のほうが手元に残る額は多くなります(鳥栖市は福岡市より家賃が年約6万円安い)。定期代を自分で払う場合は、定期代が家賃の差を上回るため、福岡市に住むほうが安くなります。
Q. 佐賀から福岡市に通う人は、福岡市のどこで働いていますか?
約半数(4,322人)が博多区で、中央区(1,977人)が続きます。この2つの区で福岡市に通う人の7割以上を占めます。唐津市からは西区で働く人も多くなっています。
Q. 鳥栖に住んでいる人は、どこで働いていることが多いですか?
鳥栖市内で働く人が多数ですが、県外では久留米市(2,891人)が福岡市(2,662人)より多くなっています。筑紫野市で働く人も約560人います。
住む場所と働く場所を、分けて考える
佐賀から福岡への通勤は、鳥栖・基山のあたりでは日常的な選択です。家賃の安さと福岡の給与水準を組み合わせられる一方で、定期代の負担や通勤時間、車の要否によって、損得は簡単に入れ替わります。
住む場所と働く場所を一度切り離して、「どこに住み、どこで働くか」の組み合わせを並べてみると、自分に合う形が見えてきます。福岡での仕事探しと住まいの両方で迷っているなら、ひとりで抱えずに相談するのも1つの方法です。

「辞めるべきか、残るべきか。その手前の整理から一緒にやります。」
寺木に相談する(無料)