会社設立を司法書士に頼む費用。自分でやる場合との差

会社設立は、自分でもできます。ただ、「できる」と「やったほうがいい」は別です。
そして混乱しやすいのが、司法書士・行政書士・税理士のどれに頼めばいいのかという点。この3つは役割が違い、頼める範囲も違います。この記事では、費用と役割を整理します。報酬額は事務所ごとに差があるため、必ず見積もりで確認してください。
- 3つの専門家の役割の違い
- 費用の内訳
- 電子定款という論点
- 自分でやるべきケース・頼むべきケース
- 時間で考える
- よくある質問
- 判断は「定款の設計が必要か」で決まる
3つの専門家の役割の違い
司法書士: 登記の代理ができる唯一の専門家(弁護士を除く)。設立登記の申請を代行します。会社設立の本体部分。
行政書士: 定款の作成、電子定款の認証代行、許認可申請。登記そのものは代理できません。
税理士: 設立後の税務(青色申告の届出、税務署への各種届出、記帳、決算)。設立と同時に顧問契約を結ぶと、設立費用を割り引く事務所があります。
つまり: 登記まで丸ごと任せたいなら司法書士、定款作成と許認可が中心なら行政書士、設立後の税務が主目的なら税理士経由——という整理になります。
登記を代理できるのは司法書士だけ。「会社設立代行」を名乗るサービスでも、登記部分は司法書士が行っている。
費用の内訳
会社設立の費用は、「法定費用」と「専門家報酬」に分かれます。
法定費用(誰がやっても同額) - 登録免許税(株式会社と合同会社で額が違う) - 定款の認証手数料(株式会社は必要、合同会社は不要) - 定款の印紙代(紙の定款のみ。電子定款なら不要) - 謄本代・印鑑作成費
専門家報酬(事務所ごとに差がある) - 司法書士報酬 - 行政書士報酬(定款作成のみの場合)
具体的な額は法人設立の費用にまとめています。株式会社と合同会社で法定費用が大きく違う——これが最初の分岐です(合同会社と株式会社の違い)。
電子定款という論点
紙の定款には印紙税がかかりますが、電子定款なら不要です。
ただし、電子定款を自分で作るには、電子証明書と対応ソフトの環境が必要です。一度きりの設立のためにこれを揃えると、印紙代を上回ることがあります。
専門家に頼む場合、電子定款で処理されるのが一般的——この差額が、報酬の一部を相殺します。
「専門家報酬 − 印紙代の節約分」が、実質的な追加負担という見方ができます。
自分でやるべきケース・頼むべきケース
自分でやってよい - 合同会社で、発起人が1名、出資が金銭のみ - 定款が標準的な内容でよい - 時間に余裕がある - 登記所や法務局のサイトで手順を追える
頼んだほうがいい - 株式会社で、発起人が複数いる - 現物出資がある(財産の評価が絡む) - 定款に独自の条項を入れたい(種類株式、役員の任期、譲渡制限の設計) - 設立の期限が決まっている(取引先との契約、許認可の申請期限) - 許認可が必要な業種(定款の目的の書き方が許認可に影響します)
特に最後の点は重要です。定款の「目的」の記載が不適切だと、許認可が下りないことがあります。建設業、宅建業、人材紹介、飲食、運送など、許認可のある業種は先に確認してください(定款の作り方)。
時間で考える
自分でやる場合、調べる時間を含めて数日〜2週間程度かかることが多い。やり直しが発生すると、さらに延びます。
その時間を事業の準備に使えるか——ここが判断基準になります。
創業期は、やることが多い。資金調達、物件、仕入れ、集客の準備(開業資金の内訳・創業融資の使い分け)。設立手続きは、事業の成否に直接効かない作業です。
必要な資金と手取りはライフプラン、生活費の水準は都市別データで確認してから、費用配分を決めてください。
よくある質問
Q. 「設立費用0円」の代行サービスは何ですか?
税理士の顧問契約を前提に、設立報酬を無料にする形が多い。法定費用は別途かかります。顧問料の総額を含めて比較してください。
Q. 行政書士に登記まで頼めますか?
登記の代理はできません。定款作成までが行政書士、登記は司法書士です(行政書士として独立する)。
Q. 合同会社なら自分でできますか?
構成がシンプルなら現実的です(会社設立の流れ)。ただし合同会社特有の制約は先に確認してください(合同会社のデメリット)。
Q. どこで見積もりを取ればいいですか?
複数の事務所に、①依頼範囲 ②法定費用と報酬の内訳 ③追加費用の条件を明示して依頼してください。内訳が分かれていない見積もりは比較できません。
判断は「定款の設計が必要か」で決まる
会社設立は、構成がシンプルなら自分でもできます。頼むべきなのは、定款の設計が必要な場合、許認可がある業種、期限がある場合。そして見積もりは、法定費用と報酬を分けて比較する——この2点を押さえれば、過剰な支出も、手戻りも避けられます。
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