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会社設立の流れ。自分でやるか専門家に頼むかの判断

久保 塁
監修:久保 塁起業・独立担当・現役経営者

会社設立は、手続きとしては驚くほど定型的です。難しいのは手続きそのものではなく、設立の前に決めておくべきことを決めきれていない状態で着手してしまうこと。商号や事業目的は登記後に変えると費用がかかります。

結論から言うと、設立は7ステップで終わり、実費は合同会社なら約10万円前後、株式会社なら約20〜25万円が目安です[要確認: 現行の登録免許税・認証手数料]。自分でやるか専門家に頼むかは、急ぎかどうかと、許認可があるかどうかでほぼ決まります。この記事では流れと分岐、そして設立後に期限が決まっている届出を整理します。

このコラムでわかること
  1. 設立前に決めること(ここが本番)
  2. 株式会社と合同会社、どちらにするか
  3. 設立の7ステップ
  4. 自分でやるか、頼むか
  5. 設立後、期限のある届出
  6. よくある質問
  7. 手続きは3週間、判断は3ヶ月

設立前に決めること(ここが本番)

登記の前に確定させる項目です。後から変えると費用と手間がかかるので、ここに時間を使ってください。

商号(会社名)。同一住所の同一商号は登記できません。ドメインとSNSアカウントの空き状況も同時に確認します。事業目的。将来やる可能性のある事業も入れておく。許認可が必要な事業は、許認可側の要求する文言に合わせる必要があります(建設業・宅建業・人材紹介・古物商など)。ここを外すと定款変更のやり直しになります。本店所在地。自宅か、賃貸オフィスか、バーチャルオフィスか。許認可によっては実体のある事務所が要件です。資本金。1円でも設立できますが、取引先の与信と融資審査では見られます。許認可の要件になっている業種もあります。決算期。設立月から最も離れた月にすると、初年度が長く取れて資金繰りに余裕が出ます。

株式会社と合同会社、どちらにするか

違いは3点に集約できます。

費用: 合同会社のほうが安い。定款認証が不要で、登録免許税も低い。信用: 取引先や採用の場面では株式会社のほうが通りが良い場面があります。BtoB で大手と取引する予定なら考慮が必要。機関設計: 合同会社は出資者=経営者で、意思決定が速い。外部から出資を受けて拡大する構想があるなら株式会社。

ひとりで始めて当面は自己資金と融資で回すなら、合同会社は合理的な選択です。後から株式会社へ組織変更もできます(費用はかかります)。

設立の7ステップ

①基本事項の決定(前述)。②印鑑の作成(代表者印。銀行印・角印も同時に作ることが多い)。③定款の作成。株式会社は公証役場で認証が必要(合同会社は不要)。電子定款にすると収入印紙4万円が不要になります——個人が自分でやる場合は電子定款の環境を整えるコストがかかるため、ここが専門家に頼む金銭的な分岐点になります。④出資金の払込。発起人個人の口座に払い込み、通帳のコピーを証明書類にします。⑤登記申請。法務局へ。申請日が会社の設立日になります。⑥登記完了後、登記事項証明書・印鑑証明書の取得⑦各種届出(次章)。

期間はおおむね、準備を含めて2〜4週間。急げば1週間台も可能ですが、公証役場と法務局の予約状況に左右されます。

POINT

設立で本当に難しいのは登記ではなく、事業目的と許認可の突き合わせ。ここを間違えると、開業の直前で「この目的では許可が下りない」と分かる。

自分でやるか、頼むか

自分でやるのが向くのは、許認可が不要で、時期に余裕があり、費用を抑えたい場合。手続き自体は公開情報とテンプレートで完結します。電子定款を自分で扱えないなら、株式会社の場合は印紙4万円が上乗せになる点だけ計算に入れてください。

司法書士に頼むのが向くのは、許認可がある、開業日が決まっている、融資の申込と並行している場合。報酬の目安は数万円〜10万円程度[要確認: 福岡の相場]。融資と許認可がある事業では、専門家に頼んだほうが結果的に早くて安いことが多いです。

なお、税理士との関係を先に作っておくと、決算期の設定や役員報酬の決め方など、設立時点の判断が変わることがあります。設立してから相談すると、直せない決定が既にできています。

設立後、期限のある届出

ここを落とすと不利益が出ます。税務署: 法人設立届出書、青色申告の承認申請書(期限に注意——遅れるとその期は青色になりません)、給与支払事務所等の開設届出書、源泉所得税の納期の特例。都道府県税事務所・市町村: 法人設立届。年金事務所: 健康保険・厚生年金の新規適用(社長ひとりでも加入義務があります)。労働基準監督署・ハローワーク: 従業員を雇う場合。

そして法人口座の開設。近年は審査が厳格化しており、実体の説明を求められます。バーチャルオフィスや事業実体の説明が弱いと通らないことがあります。事業内容・取引先・資金の流れを説明できる資料を準備してください。

よくある質問

Q. 資本金はいくらにすべきですか?

事業の初期費用をまかなえる額、かつ許認可の要件を満たす額。1,000万円以上にすると初年度から消費税の課税事業者になるなど税務上の分岐があるため、税理士に確認してから決めてください。

Q. 自宅を本店にできますか?

可能です。ただし賃貸契約で事業利用が禁止されている場合や、許認可で事務所要件がある場合は注意。住所を公開したくない場合はバーチャルオフィスという選択肢もありますが、許認可と法人口座で不利になることがあります

Q. 設立日は選べますか?

登記申請日が設立日になります。縁起の良い日や、決算期との関係で選ぶ人もいます。法務局の閉庁日は申請できません。

Q. 一人でも会社を作れますか?

作れます。株式会社も合同会社も、発起人・社員が1名で設立可能です。

Q. どの形の会社にするかは、いつ決めますか?

定款を作る前です。福岡市の新設法人の27.3%は合同会社で、2016年の14.3%から比率が倍近くになりました(福岡市 会社設立データ)。費用と手続きが変わるため、合同会社と株式会社の違い法人設立の費用を先に確認してください。設立時期に季節性はほとんどないので(会社設立に良い時期はあるのか)、準備が整った時点で進めて構いません。

手続きは3週間、判断は3ヶ月

会社設立でつまずくのは、書類ではなく判断です。何の事業をどの形態でやるのか、許認可はいるのか、資金はどう調達するのか。ここが決まっていれば手続きは数週間で終わります。逆に、手続きを始めてから判断を始めると、決めきれないまま会社だけができる

自分の事業の場合、形態はどれが妥当か、いつ登記すべきか。福岡で実際に会社を作った経営者に無料で相談できます。設立前の段階のほうが、相談する価値は大きいです。

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