福岡市役所・福岡県庁の年収は平均約659万円・約654万円。民間から転職すると給与はどうなるか

「今の会社より、市役所や県庁のほうが安定していて給料もいいのでは」。福岡で働く人が転職を考えるとき、公務員は一度は頭に浮かぶ選択肢です。最近は、民間での経験を条件にした「社会人経験者採用」も広がり、30代・40代からでも受けられるようになっています。
結論から言うと、福岡市と福岡県の行政職の平均年間給与は、2025年の給与勧告後の試算で福岡市が約659万円、福岡県が約654万円です(平均年齢は38〜42歳前後)。ただしこれは長く勤めた人も含む平均で、民間から転職した場合の年収は、前職の経験年数がどう評価されるかで決まります。福岡市の公表例では、大学卒業後に民間で8年働いた30歳の初任給は月約32万円(給料と地域手当)です。この記事では、福岡市・福岡県が公表している資料から、公務員の給与の仕組みと、転職したときの給与の目安を整理します。
- 平均の年間給与は約659万円(福岡市)、約654万円(福岡県)
- 公務員の給与は「民間並み」に合わせて決まる
- 新卒で入った場合の初任給
- 経験年数ごとの給料と、年収の試算
- 民間から転職した場合の初任給
- 受験できる条件と、競争の厳しさ
- 民間と比べるときの3つの注意
- よくある質問
- 平均ではなく、自分の経験がどう評価されるかで考える
平均の年間給与は約659万円(福岡市)、約654万円(福岡県)
福岡市・福岡県の人事委員会は、毎年、職員の給与を民間の給与と比べて改定するよう勧告しています。2025年の勧告に合わせて公表された、行政職の職員の平均年間給与(月例給+ボーナス)の試算は次のとおりです。
| 勧告前 | 勧告後 | 増えた額 | |
|---|---|---|---|
| 福岡市(行政職) | 約635.1万円 | 約659.4万円 | 約24.3万円 |
| 福岡県(行政職) | 約633.4万円 | 約654.4万円 | 約21.1万円 |
(福岡市人事委員会・福岡県人事委員会「職員の給与等に関する報告及び勧告の概要」2025年。福岡市は行政職給料表を適用する職員7,077人・平均38.9歳の平均給与月額をもとにした試算)
月々の給与で見ると、2025年4月1日時点の一般行政職の平均は次のとおりです。
| 平均年齢 | 平均給料月額(基本給) | 平均給与月額(手当込み) | |
|---|---|---|---|
| 福岡市 | 39.6歳 | 320,100円 | 426,414円 |
| 福岡県 | 41.7歳 | 327,929円 | 425,678円 |
(福岡市・福岡県「給与・定員管理等の状況」2025年4月1日現在。平均給与月額は、給料に扶養手当・地域手当・住居手当・時間外勤務手当などすべての手当を足した額)
ボーナスにあたる期末手当・勤勉手当は、2025年の勧告で年4.60か月分から4.65か月分に引き上げられました。
公務員の給与は「民間並み」に合わせて決まる
公務員の給与は、人事委員会が県内・市内の民間事業所の給与を調べ、それとの差を埋めるように毎年改定されます。2025年は、民間のほうが福岡市で月13,278円(3.41%)、福岡県で月11,226円(2.97%)高かったため、その差を埋める引き上げが勧告されました。福岡市の調査対象は、常勤の従業員が50人以上の市内の民間事業所です。
つまり、公務員の給与は、地元の中堅以上の民間企業の水準に合わせて設計されていると考えるとわかりやすくなります。大企業の高い水準より低く、小さな会社より高い、というのが仕組みから来る位置づけです。
新卒で入った場合の初任給
比べる基準として、新卒で採用された場合の初任給(給料月額)も見ておきます。
| 福岡市 | 福岡県 | |
|---|---|---|
| 大学卒 | 220,000円(総合職は230,000円) | 225,600円 → 勧告後 237,600円 |
| 高校卒 | 188,000円 | 194,500円 → 勧告後 206,700円 |
(2025年4月1日現在の一般行政職。福岡県の「勧告後」は2025年の給与勧告による改定後の額。地域手当などの手当は含まない)
福岡県の人事委員会は、2025年の勧告で大学卒・高校卒の初任給をそれぞれ約1万2,000円引き上げています。福岡県は、職員の初任給の水準を県内の民間事業所と釣り合うようにしている、と説明しています。民間の初任給の水準は福岡の初任給のデータと比べてみてください。
経験年数ごとの給料と、年収の試算
「何年勤めると、いくらになるのか」。福岡市・福岡県は、大学卒の一般行政職について、経験年数ごとの平均の給料月額を公表しています。これに年間の支給月数(12か月+ボーナス4.65か月)を掛けて年収を試算すると、次のようになります。
| 経験年数 | 福岡市 給料月額 | 福岡市 試算年収 | 福岡県 給料月額 | 福岡県 試算年収 |
|---|---|---|---|---|
| 10年 | 285,977円 | 約476万円 | 281,614円 | 約469万円 |
| 20年 | 369,837円 | 約616万円 | 364,938円 | 約608万円 |
| 25年 | 400,672円 | 約667万円 | 391,619円 | 約652万円 |
| 30年 | 441,413円 | 約735万円 | 411,057円 | 約684万円 |
(給料月額は2025年4月1日現在、給与勧告による改定前。試算年収=給料月額×16.65で、地域手当・扶養手当・住居手当・時間外勤務手当は含まない)
この試算は公式に公表された年収ではなく、手当を含まない控えめな目安です。実際には、ここに地域手当などの手当が加わります。福岡市の社会人経験者採用の案内では地域手当は給料の10%とされていて、これを加えると試算年収は経験10年で約524万円、20年で約677万円、30年で約808万円になります。福岡県の地域手当の率は勤務地によって違うため、ここでは加えていません。
表からわかるのは、公務員の給与は経験年数に応じて着実に上がるということです。福岡市の大卒は、経験10年から30年までの20年間で、給料月額が約15.5万円上がります。
民間から転職した場合の初任給
では、民間から社会人経験者として採用された場合はどうなるか。初任給は、前職の経験年数を一定のルールで換算して決まります。福岡市と福岡県は、募集案内で初任給の例を公表しています。
| 採用時の年齢・経験 | 初任給(月額) | 年収の試算 | |
|---|---|---|---|
| 福岡市 | 30歳・民間経験8年 | 320,760円 | 約534万円 |
| 福岡市 | 40歳・民間経験18年 | 371,910円 | 約619万円 |
| 福岡市 | 50歳・民間経験28年 | 398,420円 | 約663万円 |
| 福岡県 | 30歳・民間経験8年(本庁勤務) | 約297,000円 | 約495万円 |
(福岡市は2026年度の社会人経験者採用の募集案内。給料と地域手当の合計で、2026年4月1日現在。福岡県は2026年度の民間企業等職務経験者採用の案内。年収の試算=月額×16.65で、扶養・住居・通勤・時間外の手当は含まない)
注意したいのは、これが前職の経験がすべて公務の仕事に役立つと認められた場合の例だということです。福岡市の案内には、職務経験によってはこれを下回ることがあり、民間での経験年数のすべてが初任給に反映されるわけではない、と明記されています。
また、福岡県の案内には、60歳に達した後の最初の4月1日以降は給与の月額が7割の水準になる、と書かれています。50代で転職する場合は、この点も含めて考える必要があります。
受験できる条件と、競争の厳しさ
社会人経験者採用の受験資格は、2026年度の試験では次のとおりでした。
福岡市は、1964年4月2日から1997年4月1日までに生まれた人で、行政(一般)は民間企業などでの職務経験が直近10年のうち7年以上、ICT・福祉・技術系の区分は直近8年のうち5年以上が必要です。福岡県は、1964年4月2日以降に生まれ、民間企業などでの職務経験が5年以上ある人が対象で、行政の採用予定は60人程度でした。
競争は激しめです。福岡市の2026年度の社会人経験者採用は、行政(一般・ICT・福祉)の採用予定10人に対して833人が申し込みました。社会人経験者の全区分では、採用予定27人に対して927人です。
2026年度は、どちらも4〜5月に申込を受け付け、第1次試験は民間の就職試験に近いテストセンター方式で行われました。福岡市の案内は「公務員試験用の特別な対策は不要」とうたっていますが、倍率を考えると、職務経歴書と面接の準備が合否を分けると考えておくのが現実的です。
民間と比べるときの3つの注意
自分の今の給与と比べるときは、次の3点に気をつけてください。
1. 平均年間給与は「長く勤めた人を含む平均」。約659万円・約654万円は、新人から管理職までを含む職員の平均です。転職した人の給与は、上の初任給の例から始まります。
2. 手当の中身が違う。公務員の平均給与月額には時間外勤務手当も含まれます。民間の年収と比べるなら、自分の年収も残業代を含めた額で比べる必要があります。
3. 退職金や福利厚生、働き方は年収に表れない。年次休暇は福岡県の場合年20日です(4月採用の年は15日)。一方で、公務員は一般に数年ごとの部署異動があり、担当する仕事を自分で選べる範囲は限られます。年収とは別に考えておきたいところです。
自分の今の年収が、同じ年代・業種の中でどの位置にあるかは賃金チェッカーで確かめられます。福岡の転職全体の進め方は福岡で転職するならに、逆に公務員から民間へ移る場合の考え方は公務員から民間への転職にまとめています。
よくある質問
Q. 福岡市役所の平均年収はいくらですか?
2025年の給与勧告後の試算で、行政職の平均年間給与は約659.4万円です(行政職給料表を適用する職員7,077人・平均38.9歳)。福岡県は約654.4万円です。どちらも福岡市・福岡県の人事委員会が公表した試算です。
Q. 30代で民間から転職すると、年収はいくらになりますか?
福岡市の公表例では、大学卒業後に民間で8年働いた30歳の初任給が月320,760円(給料と地域手当)です。ボーナスを含めて単純に計算すると年約534万円ですが、これは前職の経験がすべて評価された場合の例で、実際にはこれを下回ることもあります。
Q. 何歳まで受験できますか?
2026年度の試験では、福岡市の社会人経験者採用は1964年4月2日から1997年4月1日までに生まれた人、福岡県の民間企業等職務経験者採用は1964年4月2日以降に生まれた人が対象でした。年齢の条件は年度によって変わるので、受験する年の募集案内を確認してください。
Q. 倍率はどのくらいですか?
福岡市の2026年度の社会人経験者採用では、行政(一般・ICT・福祉)の採用予定10人に対して833人が申し込みました。申込ベースで80倍を超える計算です。
平均ではなく、自分の経験がどう評価されるかで考える
福岡市役所・福岡県庁の平均年間給与は650万円台で、地元の中堅以上の民間企業の水準に合わせて決まっています。ただし、民間から転職した場合の給与は、平均ではなく、前職の経験がどれだけ認められるかで決まります。
公務員への転職を考えるなら、まず募集案内の初任給の例と自分の経験年数を照らし合わせ、今の年収と比べてみてください。そのうえで、年収だけでなく、働き方や異動のあり方も含めて、自分に合うかを考えることが大切です。

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