福岡で正社員として働く人は60.4%。全国より低いのは25〜34歳で、業種によって約24%〜83%まで開く

「福岡は正社員の仕事が少ない」という声を聞くことがあります。パートや契約社員で働きながら、正社員を目指すべきか迷っている人にとって、実際にどれくらいの人が正社員として働いているのかは気になるところです。
結論から言うと、福岡県で雇われて働く人(会社の役員を除く)のうち、正社員は60.4%、非正規は39.6%です(総務省「就業構造基本調査」2022年)。全国(正社員63.1%)より2.7ポイント低い水準です。ただし、この差は全世代に同じようにあるわけではなく、25〜34歳で最も大きく、45〜54歳ではほぼ全国並みです。また、正社員の割合は業種によって約24%から約83%まで開きます。この記事では、年代・男女・業種に分けて福岡の正社員と非正規の割合を見たうえで、非正規で働く理由と、正社員を目指すときの考え方を整理します。
- 福岡の正社員と非正規の割合
- 全国との差は、25〜34歳で最も大きい
- 業種によって、正社員の割合は大きく違う
- 非正規で働く理由。「正社員の仕事がないから」は約1割
- 正社員を目指すときの考え方
- よくある質問
- 割合を知ることは、自分の位置を知ること
福岡の正社員と非正規の割合
就業構造基本調査は、総務省が5年に1度行う大規模な調査で、都道府県や大きな市ごとの働き方の内訳がわかります。最新は2022年10月時点の調査です。
| 区分 | 正社員 | 非正規 | 正社員の割合 |
|---|---|---|---|
| 福岡県 | 約138万2,000人 | 約90万6,000人 | 60.4% |
| 福岡県・男性 | — | — | 75.5% |
| 福岡県・女性 | — | — | 45.2% |
| 福岡市 | — | — | 60.4% |
| 全国 | — | — | 63.1% |
(役員を除く雇用者に占める割合。標本調査のため、人数は100人単位の推計値です)
福岡県で非正規で働く約90万6,000人の内訳は、パートが約43万9,000人、アルバイトが約18万2,000人、契約社員が約12万9,000人、派遣社員が約6万5,000人などです。
男女で見ると、男性の正社員の割合は75.5%、女性は45.2%で、女性は半数以上が非正規で働いています。福岡市も県全体と同じ60.4%です。
全国との差は、25〜34歳で最も大きい
福岡の正社員の割合が全国より低い理由を、年代別に見てみます。学生のアルバイトを除くため、学校を卒業した人に限った数字です。
| 年代 | 福岡・全体 | 全国・全体 | 福岡・男性 | 全国・男性 | 福岡・女性 | 全国・女性 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 25〜34歳 | 73.2% | 78.9% | 83.4% | 87.5% | 63.1% | 69.2% |
| 35〜44歳 | 70.9% | 72.7% | 90.2% | 90.6% | 50.6% | 52.3% |
| 45〜54歳 | 68.3% | 68.9% | 90.4% | 91.4% | 46.2% | 44.5% |
| 55〜64歳 | 52.3% | 55.3% | 69.0% | 74.0% | 35.2% | 34.3% |
(役員を除く雇用者のうち、卒業者に占める正社員の割合)
全国との差は、25〜34歳で約6ポイントと最も大きく、35〜44歳では約2ポイント、45〜54歳では1ポイント未満に縮まります。45〜54歳の女性では、福岡(46.2%)のほうが全国(44.5%)を上回っています。
つまり、福岡の正社員の割合が低いのは、主に20代後半から30代前半の若い世代の話です。この年代は、転職や最初の就職で正社員になるかどうかが決まる時期でもあります。福岡には若い人が集まる一方で、正社員の求人との釣り合いが取れていない可能性があります。
女性は、どの地域でも年代が上がるにつれて正社員の割合が下がります。福岡県では25〜34歳の63.1%が、35〜44歳で50.6%、45〜54歳で46.2%になります。出産や子育てで一度離れたあと、非正規で復帰する人が多いためと考えられます。
業種によって、正社員の割合は大きく違う
正社員の割合は、どの業種で働くかで大きく変わります。福岡県で雇われて働く人が2万人以上いる業種を並べました。
| 業種 | 福岡 | 全国 | 業種 | 福岡 | 全国 |
|---|---|---|---|---|---|
| 公務 | 83.0% | 82.5% | 不動産・物品賃貸 | 63.1% | 63.5% |
| 建設 | 81.7% | 83.0% | 医療・福祉 | 62.6% | 62.1% |
| 情報通信 | 81.3% | 85.8% | 教育・学習支援 | 61.8% | 60.4% |
| 金融・保険 | 78.8% | 79.3% | 卸売・小売 | 48.8% | 49.7% |
| 学術研究・専門サービス | 73.1% | 77.1% | サービス(他に分類されないもの) | 44.7% | 49.4% |
| 製造 | 70.8% | 75.3% | 生活関連サービス・娯楽 | 43.6% | 43.2% |
| 運輸・郵便 | 67.0% | 69.3% | 宿泊・飲食サービス | 23.9% | 25.0% |
(役員を除く雇用者に占める正社員の割合。就業構造基本調査2022年)
公務・建設・情報通信では8割以上が正社員なのに対し、宿泊・飲食サービスでは約4人に1人しか正社員がいません。福岡の非正規で働く人の約3分の2(68.1%)は、卸売・小売、医療・福祉、サービス業、宿泊・飲食サービス、製造の5つの業種に集まっています。
全国と比べると、多くの業種で福岡はほぼ同じか、やや低い水準です。差が目立つのは、製造(約5ポイント低い)、サービス業(約5ポイント低い)、情報通信(約5ポイント低い)などです。
正社員を目指すなら、今いる業種で正社員の枠がどれくらいあるかは重要な手がかりになります。宿泊・飲食で正社員を目指すより、同じ接客の経験を生かせる別の業種を探すほうが、正社員の枠そのものは大きいことがあります。
非正規で働く理由。「正社員の仕事がないから」は約1割
非正規で働いている人は、望んでそうしている人ばかりではありません。就業構造基本調査では、今の働き方を選んだ主な理由を聞いています。
| 非正規で働いている主な理由(福岡県) | 割合 |
|---|---|
| 自分の都合のよい時間に働きたいから | 27.2% |
| 家計の補助・学費などを得たいから | 20.4% |
| 家事・育児・介護などと両立しやすいから | 11.3% |
| 正社員の仕事がないから | 10.4% |
| 専門的な技能などを生かせるから | 8.2% |
| 通勤時間が短いから | 5.2% |
| その他 | 12.3% |
(非正規の職員・従業員が答えた主な理由。理由を答えなかった人がいるため、合計すると95.0%です)
最も多いのは「都合のよい時間に働きたい」で、非正規の多くは自分の生活に合わせて働き方を選んでいます。一方で、「正社員の仕事がないから」という人は10.4%、約9万4,000人です。全国(9.4%)よりやや高い水準です。
年代・男女で分けると、この割合は大きく変わります。福岡県の25〜34歳では15.1%(全国12.8%)と、若い世代ほど高くなります。そして25〜54歳の男性の非正規では25.8%、約4人に1人が「正社員の仕事がないから」と答えています。働き盛りの男性で非正規の人は、望んで非正規を選んでいるとは限らない、ということです。
正社員を目指すときの考え方
ここまでの数字を、正社員を目指す人の立場から整理します。
その前に、福岡の正社員の求人の状況を確かめておきます。ハローワークの統計(厚生労働省 職業安定業務統計、2025年度平均)で、正社員の求人数を、パートを除く仕事を探している人の数で割ると、福岡県は0.88倍です。正社員の求人1件に対して、仕事を探している人が1人以上いる計算で、九州の他の6県(1.04〜1.16倍)や全国(1.01倍)を下回ります。正社員の求人の数そのものは九州で最も多いものの、探している人も多いため、1件あたりの競争は激しくなります(ハローワークの求人だけの数字で、民間の求人サイトは含みません。倍率はこの記事での計算値です)。
1. 年代で考える。全国との差が最も大きいのは25〜34歳です。裏を返せば、この年代で正社員になれるかどうかが、その後の働き方を大きく左右します。フリーターから正社員を目指すなら、20代のうちに動くほうが選択肢は広くなります(フリーターから正社員へ)。
2. 業種で考える。上の表のとおり、業種によって正社員の枠の大きさはまったく違います。今の業種で正社員が難しければ、経験を生かせる別の業種を候補に入れると、枠は広がります。
3. 入り方で考える。派遣社員として働きながら正社員を目指すなら、一定期間の派遣のあとに直接雇用を前提とする「紹介予定派遣」という方法もあります(派遣から正社員になる3つのルート)。
4. 年収の差を知っておく。福岡の非正規で働く人の年収は、真ん中の人で約124万円(推計)で、正社員とは大きな差があります。働く時間の違いもありますが、長く働くほど差は開きます。年収の分布は福岡の年収分布にまとめています。
福岡の正社員の求人がどれくらいあるかは、福岡の採用市場のデータで確かめられます。
よくある質問
Q. 福岡で正社員として働く人の割合はどれくらいですか?
役員を除く雇用者のうち60.4%です(就業構造基本調査2022年)。全国は63.1%で、福岡は2.7ポイント低い水準です。男性は75.5%、女性は45.2%です。
Q. 福岡は正社員になりにくいのですか?
全国との差が大きいのは25〜34歳で、卒業者に限ると福岡73.2%、全国78.9%です。45〜54歳ではほぼ差がありません。若い世代では、全国より正社員になりにくい傾向があると言えます。
Q. 正社員の割合が高い業種はどこですか?
福岡県では、公務(83.0%)、建設(81.7%)、情報通信(81.3%)、金融・保険(78.8%)などが高く、宿泊・飲食サービス(23.9%)、生活関連サービス・娯楽(43.6%)、サービス業(44.7%)などが低くなっています。
Q. 非正規で働く人は、望んで非正規なのですか?
多くは「都合のよい時間に働きたい」「家計の補助のため」といった理由で選んでいます。一方で「正社員の仕事がないから」という人も10.4%いて、25〜54歳の男性では約4人に1人にのぼります。
割合を知ることは、自分の位置を知ること
福岡で正社員として働く人は6割。この数字は、全国より少し低く、とくに若い世代でその差が出ています。業種によっても、正社員の枠の大きさはまったく違います。
いま非正規で働いていて、正社員を目指すかどうか迷っているなら、まずは「自分の年代」と「自分の業種」で、正社員がどれくらいいるのかを確かめてみてください。望んで非正規を選んでいるなら、それもひとつの働き方です。望まずに非正規でいるなら、業種や入り方を変えることで、道が開けることがあります。

「辞めるべきか、残るべきか。その手前の整理から一緒にやります。」
寺木に相談する(無料)