福岡の新卒は3年以内に大卒38.0%・高卒42.2%が離職。全国より約4ポイント高く、差は1年目に集中している

「新卒の3割が3年で辞める」という話はよく聞きます。では、福岡ではどうなのか。入社して1〜2年目で「このまま続けていいのか」と迷っている人や、これから就職先を選ぶ人にとって、地元の実際の数字は判断の材料になります。
結論から言うと、福岡県の新卒の3年以内離職率は、大卒で38.0%、高卒で42.2%です(2022年3月卒、福岡労働局)。どちらも全国(大卒33.8%、高卒37.9%)より約4ポイント高く、この差は3年続けて出ています。そして差の大部分は、入社1年目の離職で生まれています。この記事では、学歴・年次・男女の数字を並べたうえで、業種や会社の規模による違い(全国の数字)と、辞めにくい職場を見分ける方法を整理します。
- 福岡の新卒の3年以内離職率
- 全国より高いのは、この3年ずっと
- 差は入社1年目に集中している
- 業種と会社の規模で、離職率は大きく変わる
- 辞めにくい職場を見分ける方法
- もう辞めたい、と思ったときに
- よくある質問
- 数字を知ったうえで、自分の職場を見る
福岡の新卒の3年以内離職率
数字は、福岡労働局「新規学校卒業者の採用の手引」に載っている、ハローワークに出された雇用保険の届出をもとにした集計です。2022年3月に卒業して就職した人が、2025年3月までに離職した割合を示しています。
| 学歴 | 福岡の就職者 | 福岡の3年以内離職率 | 全国の3年以内離職率 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 大学 | 15,944人 | 38.0% | 33.8% | +4.2ポイント |
| 短大等 | 7,043人 | 47.9% | 44.5% | +3.4ポイント |
| 高校 | 6,363人 | 42.2% | 37.9% | +4.3ポイント |
大卒では、3年以内に約5人に2人が最初の職場を離れている計算です。短大等は47.9%で、ほぼ半数です。中学卒は福岡で70.4%ですが、就職者が27人と少ないため、ここでは比較の対象から外しています。
なお、この統計には注意書きがあります。離職率は「離職した都道府県」で計上されるため、福岡県で採用された人の離職だけを数えたものとは限りません。たとえば、県外の会社に採用されて福岡の事業所に配属され、そこで辞めた人も福岡に数えられます。数字は「福岡で働いていた新卒が、どれだけ辞めたか」と読むのが正確です。
全国より高いのは、この3年ずっと
1年だけの数字なら、たまたまということもありえます。そこで、卒業年ごとに並べてみます。
| 卒業 | 大学・福岡 | 大学・全国 | 高校・福岡 | 高校・全国 |
|---|---|---|---|---|
| 2020年3月卒 | 35.7% | 32.3% | 40.3% | 37.0% |
| 2021年3月卒 | 40.2% | 34.9% | 43.4% | 38.4% |
| 2022年3月卒 | 38.0% | 33.8% | 42.2% | 37.9% |
大卒・高卒とも、3年続けて福岡のほうが3〜5ポイント高いという結果です。福岡の新卒の離職率が全国より高いのは、一時的な現象ではなく、続いている傾向と言えます。
男女別に見ると、2022年3月卒の大卒は男性34.9%、女性41.1%、高卒は男性37.1%、女性50.8%です。どちらも女性のほうが高く、高卒の女性は約半数が3年以内に離職しています。女性の離職率が高いのは全国でも同じで(大卒37.4%、高卒45.4%)、福岡だけの傾向ではありません。
差は入社1年目に集中している
在職期間別の数字を見ると、福岡と全国の差がどこで生まれているかがわかります。
| 大卒(2022年3月卒) | 福岡 | 全国 | 差 |
|---|---|---|---|
| 1年目に離職 | 14.9% | 12.1% | +2.8ポイント |
| 2年目に離職 | 12.7% | 11.9% | +0.8ポイント |
| 3年目に離職 | 10.4% | 9.9% | +0.5ポイント |
| 3年以内の合計 | 38.0% | 33.8% | +4.2ポイント |
大卒の差4.2ポイントのうち、2.8ポイントが1年目で生まれています。2年目・3年目の離職率は全国とあまり変わりません。高卒も同じ形で、1年目の離職率は福岡20.1%・全国17.9%と2.2ポイント差があり、2年目以降の差は約1ポイントです。
この傾向は、最新の卒業年でも変わっていません。2024年3月卒の1年以内の離職率は、大卒で福岡13.0%・全国10.1%、高卒で福岡18.7%・全国16.6%です。2023年3月卒の2年以内の離職率も、大卒で福岡25.4%・全国21.8%と、同じくらいの差があります。
つまり福岡の新卒は、入社して最初の1年で「合わない」と判断して動く人が、全国より多いということです。1年目を越えると、辞める割合は全国並みに落ち着きます。
業種と会社の規模で、離職率は大きく変わる
では、どこに就職すると辞めやすいのか。業種別・規模別の離職率は、福岡県の数字が公表されていないため、ここからは全国の数字(厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」、2022年3月卒)で見ます。
| 業種(大卒) | 3年以内離職率 | 業種(大卒) | 3年以内離職率 |
|---|---|---|---|
| 宿泊・飲食サービス | 55.4% | 運輸・郵便 | 31.5% |
| 生活関連サービス・娯楽 | 54.7% | 建設 | 30.5% |
| 教育・学習支援 | 44.2% | 卸売 | 30.0% |
| 医療・福祉 | 40.8% | 情報通信 | 27.2% |
| 小売 | 40.4% | 金融・保険 | 25.0% |
| サービス(他に分類されないもの) | 38.8% | 製造 | 21.2% |
| 不動産・物品賃貸 | 36.5% | 電気・ガス・水道 | 12.4% |
(厚生労働省が公表した就職者数と離職者数から計算)
大卒では、最も高い宿泊・飲食サービス(55.4%)と最も低い電気・ガス・水道(12.4%)で、4倍以上の開きがあります。高卒でも傾向は同じで、宿泊・飲食サービスは64.7%、製造は28.6%です。
会社の規模による差も大きく、大卒では従業員5人未満の事業所で57.5%、1,000人以上で27.0%です。高卒では5人未満63.2%、1,000人以上26.3%で、規模が小さいほど離職率は高くなります。
ここから、福岡の離職率が全国より高い理由のひとつが考えられます。総務省の経済センサス(2024年)で福岡県の民間の従業者の内訳を見ると、離職率が低い製造業の割合は10.9%で、全国(15.0%)より約4ポイント低く、離職率が高めの医療・福祉は17.8%で、全国(14.9%)より約3ポイント高くなっています。働く場の業種の構成そのものが、辞めやすい側に寄っているわけです。ただし、この統計から新卒がどの業種に就職したかまではわからないため、差のすべてをこれで説明できるわけではありません。
辞めにくい職場を見分ける方法
離職率は、就職先を選ぶ段階である程度確かめることができます。
1. 若者雇用促進法の職場情報を確認する。新卒や、卒業して間もない既卒者の採用では、企業が「青少年雇用情報」を提供する仕組みが法律で定められています。項目には、直近3年間の新卒者などの採用者数・離職者数、平均勤続年数、研修の内容、月平均の残業時間、有給休暇の取得日数などがあります。求人票や会社のホームページに載っていないときは、応募を考えている段階で問い合わせることができ、問い合わせたことを理由に不利な扱いをしないよう国が求めています。
2. 認定マークを手がかりにする。厚生労働省の「ユースエール」は、若者の採用・育成に積極的な中小企業を認定する制度です。認定の条件には、直近3事業年度に新卒などで正社員として就職した人の離職率が20%以下であることや、正社員の月平均の残業が20時間以下であることなどが含まれます。福岡の新卒の3年以内離職率(大卒38.0%)と比べると、かなり厳しい基準です。
3. 同じ業種・同じ規模の中で比べる。上の表のとおり、業種と規模だけで離職率は大きく変わります。「離職率10%」と言われても、それが製造業の大企業なら普通の水準で、宿泊・飲食なら非常に低い水準です。会社の数字は、同じ業種・同じ規模の平均と並べて読むと意味がわかります。福岡の大企業と中小企業の待遇の違いは大企業と中小企業の待遇差にまとめています。
働きやすい会社を見分ける指標は、福岡のホワイト企業の見つけ方でも詳しく扱っています。
もう辞めたい、と思ったときに
すでに働いていて「1年目で辞めたい」と感じているなら、この数字は2つのことを示しています。ひとつは、福岡では1年目に離職する新卒が珍しくないということ。大卒の約7人に1人が、1年目のうちに最初の職場を離れています。もうひとつは、1年目を越えると離職は全国並みに落ち着くということです。入社直後の違和感は、慣れや配置の変化で薄れることもあります。
どちらが自分に当てはまるかは、辞めたい理由が「今の職場に固有の問題」なのか、「どこでも起こりうる慣れの問題」なのかで変わります。判断の基準は新卒3年以内で辞めるのは逃げかで整理しています。辞めたあとの転職は「第二新卒」として受け入れる企業も多く、福岡での進め方は第二新卒で福岡転職にまとめています。
よくある質問
Q. 福岡の新卒の3年以内離職率はどれくらいですか?
2022年3月卒で、大卒38.0%、短大等47.9%、高卒42.2%です(福岡労働局)。いずれも全国より3.4〜4.3ポイント高い水準です。
Q. 福岡は全国より離職率が高いのですか?
はい。大卒・高卒とも、2020年3月卒から2022年3月卒まで3年続けて、全国より3〜5ポイント高くなっています。ただし、この統計は離職した都道府県で数えるため、福岡で採用された人だけの数字ではありません。
Q. 離職率が低いのはどんな業種ですか?
全国の大卒では、電気・ガス・水道(12.4%)、製造(21.2%)、金融・保険(25.0%)などが低く、宿泊・飲食サービス(55.4%)や生活関連サービス・娯楽(54.7%)が高くなっています。福岡県の業種別の数字は公表されていません。
Q. 応募する会社の離職率を知る方法はありますか?
新卒や卒業後まもない既卒者の採用では、若者雇用促進法にもとづき、企業が採用者数・離職者数などの職場情報を提供する仕組みがあります。求人票などに載っていなければ、問い合わせることができます。厚生労働省の「ユースエール」認定企業は、直近3事業年度の新卒などの離職率が20%以下であることが認定の条件です。
数字を知ったうえで、自分の職場を見る
福岡の新卒は、全国より少し多く、そして早く辞めています。ただ、その差の多くは入社1年目に集中していて、業種や会社の規模でも大きく変わります。「福岡だから辞めやすい」のではなく、「どの業種・どの規模の職場を選んだか」「1年目をどう越えるか」で結果が分かれる、と読むのが実態に近いはずです。
これから就職先を選ぶなら、職場情報とその業種の平均を並べて確かめる。いま辞めるかどうか迷っているなら、辞めたい理由がその職場に固有のものかを一度切り分ける。どちらの場面でも、数字は判断を急がせるためではなく、落ち着いて考えるための材料として使えます。

「辞めるべきか、残るべきか。その手前の整理から一緒にやります。」
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