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福岡の20代の年収は約362万円。前半と後半で約56万円違う理由と、中央値・東京との差

寺木 健人
監修:寺木 健人転職・キャリア担当・人材業界出身
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「同い年の友だちは、いくらもらっているんだろう」。20代で働いていると、一度は気になる問いです。ただ、20代の年収は5歳違うだけで大きく変わるうえ、会社の規模でも差が開きます。「20代の平均」と自分をそのまま比べても、答えは出ません。

結論から言うと、賃金構造基本統計調査(2025年・福岡県・男女計)をもとにすると、福岡の20代の年収は約362万円です。内訳は20代前半(20〜24歳)で約329万円、20代後半(25〜29歳)で約385万円。前半と後半で約56万円違います。そして20代のうちから、会社の規模による差がはっきり出ます。25〜29歳で見ると、1000人以上の企業と10〜99人の企業では約80万円の開きがあります。この記事では、その数字の読み方と、20代で年収を上げる動き方を順に整理します。

このコラムでわかること
  1. 福岡の20代年収データ——前半と後半で約56万円違う
  2. 平均と中央値——正社員の「真ん中」は約307万円
  3. 正社員かどうかで、中央値は約161万円違う
  4. 20代で差をつくるのは「会社の規模」
  5. 業種で見る20代の年収——差は小さく、伸び方が違う
  6. 東京・全国・九州の他県との差
  7. 男女差は、20代ではまだ小さい
  8. 20代で年収を上げる動き方
  9. よくある質問
  10. 20代の年収は、現在地より「伸び方」を見る

福岡の20代年収データ——前半と後半で約56万円違う

年収は、所定内給与(残業代を含まない月給)×12+年間賞与で出した推計です。対象はフルタイムの一般労働者(短時間労働者を除く。パートやアルバイトという呼び名でも、所定の労働時間・日数が職場の通常の人と同じなら含まれます)、企業規模10人以上の民間企業です。

年齢年収(男女計)男性女性月給(所定内)年間賞与
20〜24歳約329万円約333万円約324万円約23.9万円約42万円
25〜29歳約385万円約397万円約368万円約26.4万円約68万円
20代全体約362万円約373万円約348万円約25.4万円約57万円

(「20代全体」は、2つの年齢階級を労働者数で重みづけして平均した独自計算です)

前半と後半の差の約56万円のうち、約26万円は賞与の差です。20代前半は入社して間もない人が多く、賞与の算定期間が短かったり、賞与の水準そのものが低かったりします。月給の差は約2.5万円、年間にすると約30万円です。つまり20代前半の年収が低く見えるのは、月給の低さに加えて、賞与がまだ本格的に出ていないことが大きいのです。

平均の勤続年数は、20〜24歳で約2.1年、25〜29歳で約4.1年です。同じ会社で2年ほど働くと賞与が満額に近づき、年収が一段上がる、というのが平均的な姿です。入社1〜2年目の年収だけを見て「この会社は安い」と判断するのは早い、ということでもあります。

平均と中央値——正社員の「真ん中」は約307万円

もうひとつ、別の統計から「真ん中の人」の年収を見ておきます。総務省の就業構造基本調査(2022年)は、主な仕事から得た年間収入を、本人の回答で集計しています。これを使うと、福岡県の20代の正社員(正規の職員・従業員)の年収の中央値は約307万円と推計できます(収入の階級ごとの人数から計算した推計値です)。

同じ調査で、福岡県の20代の正社員を年収の帯ごとに見ると、次のようになります。

年齢(正社員)年収の中央値(推計)300万円以上400万円以上500万円以上
20〜24歳約267万円約35%約7%約1%
25〜29歳約332万円約62%約23%約6%
20代全体約307万円約52%約17%約4%

20代で年収400万円を超えている人は、正社員の中でも6人に1人程度です。20代後半に限っても400万円以上は約23%。「20代で年収500万円」は、正社員の20人に1人もいない水準です。SNSなどで見かける「20代で年収500万円は普通」という話は、東京の一部の業種か、分布の上のほうの話だと考えてください。

男女別の中央値は、男性が約329万円、女性が約279万円。全国の20代の正社員の中央値は約323万円、東京都は約373万円です。

先ほどの賃金構造基本統計調査の数字(平均)とは、調査の年も集め方も違うため、2つを直接比べることはできません。平均は高い年収の人に引っぱられて高めに出るので、「普通の人」の水準を知りたいときは中央値のほうが実感に近い、と覚えておいてください。

正社員かどうかで、中央値は約161万円違う

20代の年収を考えるうえで、会社の規模より先に効いてくるのが、正社員かどうかです。

同じ就業構造基本調査(2022年)で、福岡県の25〜29歳を見ると、正社員の年収の中央値は約332万円、非正規(パート・アルバイト・契約社員・派遣社員など)は約171万円でした。差は約161万円です。非正規には短時間で働く人も含まれるので、単純に時給の差ではありませんが、年収としてはこれだけ開きます。25〜29歳で雇われて働く人のうち、非正規は約4人に1人です。

20代前半の非正規には学生のアルバイトが多く含まれるため、ここでは25〜29歳で比べました。

20代で非正規として働いている場合、年収を上げるいちばん大きな一歩は、業種や会社を変えることより先に、正社員になることです。20代は、未経験からでも正社員として採用されやすい年代です。

20代で差をつくるのは「会社の規模」

20代の年収を左右する大きな要素が、会社の規模です。

年齢1000人以上の企業100〜999人10〜99人大企業と小規模の差
20〜24歳約351万円約325万円約307万円約44万円
25〜29歳約426万円約375万円約347万円約80万円
20代全体約395万円約354万円約330万円約65万円

注目したいのは、規模による差が、20代前半の約44万円から後半の約80万円へと、5年で倍近くに開いていることです。大きな会社ほど、入社後の昇給と賞与の伸びが大きいためです。賞与だけを見ても、20代全体で1000人以上の企業は約67万円、10〜99人の企業は約44万円です。

この差は、30代・40代になるとさらに開いていきます。福岡の40代では、1000人以上の企業と10〜99人の企業の差は約181万円です。20代でどの規模の会社にいるかは、その後の年収カーブの傾きを決めると言えます。

ただし、規模だけで会社を選ぶのは早計です。小さな会社のほうが早く責任ある仕事を任され、それが次の転職で評価されることもあります。規模は「年収の伸び方の平均」を示すもので、個々の会社の条件は別に確かめる必要があります。

業種で見る20代の年収——差は小さく、伸び方が違う

会社の規模と並んで気になるのが業種です。福岡の20代の年収を業種別に並べると、次のようになります。

業種20代の年収40代の年収20代から40代への伸び
金融・保険約439万円約734万円約295万円
建設約405万円約629万円約224万円
学術研究・専門サービス約398万円約664万円約265万円
運輸・郵便約379万円約485万円約105万円
不動産・物品賃貸約373万円約548万円約175万円
医療・福祉約365万円約423万円約58万円
教育・学習支援約364万円約575万円約212万円
製造約359万円約518万円約159万円
情報通信約354万円約721万円約366万円
卸売・小売約354万円約522万円約168万円
生活関連サービス・娯楽約316万円約469万円約153万円
その他のサービス約316万円約404万円約88万円
宿泊・飲食約293万円約377万円約85万円
全業種約362万円約504万円約143万円

(賃金構造基本統計調査2025年、福岡県。短時間労働者を除く一般労働者・企業規模10人以上。年収は所定内給与×12+年間賞与の推計で、20代・40代は5歳ごとの年齢階級を労働者数で重みづけした独自計算。推計の労働者数が20代で3,000人に満たない業種(鉱業、電気・ガス、複合サービス)は値がぶれやすいため除いています)

20代の段階では、業種による差は思ったほど大きくありません。13業種のうち8業種が約350〜400万円の範囲に収まり、最も高い金融・保険と最も低い宿泊・飲食の差は約146万円です。

差が出るのは、その後の伸び方です。情報通信は20代では約354万円と全業種の平均(約362万円)を下回りますが、40代では約721万円になり、伸びは約366万円で最も大きい業種です。反対に、医療・福祉は20代では約365万円と平均を上回る一方、40代は約423万円で、伸びは約58万円と最も小さくなっています。

つまり、20代の年収だけで業種を比べると、判断を誤りやすいということです。今の年収が同じくらいでも、10年後・20年後の年収は業種によって大きく違います。ただし、表の40代の値は「今の40代の年収」で、今の20代が20年後に同じ金額になる保証はありません。業種の中でも、職種や会社によって差があります。福岡の業種別の水準は福岡の業種別年収ランキングでも確認できます。

東京・全国・九州の他県との差

20代の年収を地域で比べると、次のようになります(同じ計算方法の平均)。

地域20代の年収
東京約425万円
全国約378万円
福岡約362万円
九州の他の6県約318〜347万円

福岡は全国平均より約16万円、東京より約64万円低い水準です。一方、九州の他の県よりは14〜44万円高くなっています。九州7県の比較は九州7県の平均年収ランキングで年代別にまとめています。

20代の地域差は、30代以降と比べると小さめです。福岡と東京の差は、40代では約236万円まで広がります。20代で東京に出るかどうかを年収だけで考えるなら、目先の差より、その後の伸び方の差のほうが大きいことを知っておくとよいでしょう。

男女差は、20代ではまだ小さい

20代の男女の年収差は、福岡では約24万円(男性約373万円、女性約348万円)です。これが30代では約117万円(男性約494万円、女性約377万円)、40代では約171万円(男性約572万円、女性約401万円)に広がります。

20代のうちは男女でほとんど同じ水準で働き始めていて、差が開くのは30代以降だということです。差が開く理由には、業種や職種の違い、管理職になる割合、出産・育児を機にした働き方の変化などが重なっています。女性の場合、20代のうちに「30代以降も年収が伸びる職場か」を見ておくことが、後々の差を小さくすることにつながります。

20代で年収を上げる動き方

ここまでの数字を踏まえると、20代で年収を上げる動き方は大きく3つに整理できます。

1つ目は、昇給と賞与が伸びる会社にいること。20代前半と後半の差の半分近くは賞与です。今の会社で、先輩の年収が5年後・10年後にどうなっているかを見れば、自分の伸び方の見当がつきます。

2つ目は、会社の規模や業種を変える転職。規模による差は20代後半で約80万円あり、業種による差はさらに大きくなることがあります(福岡の業種別の水準は福岡の業種別年収ランキングにまとめています)。20代は経験が浅いぶん、未経験の業種にも挑戦しやすい時期です。福岡での20代の転職の進め方は20代の福岡転職で詳しく解説しています。

3つ目は、転職しなくても、自分の相場を知っておくこと。同じ年齢・業種・規模の相場がわかれば、評価面談で昇給を相談する根拠になります。自分と同じ条件の中での位置は、賃金チェッカーで確かめられます。

よくある質問

Q. 福岡の20代で年収300万円は低いですか?

低すぎる水準ではありません。就業構造基本調査(2022年)からの推計では、福岡県の正社員の年収の中央値は、20代前半で約267万円、20代後半で約332万円です。20代前半で300万円なら真ん中より上です。20代後半で300万円前後の場合は真ん中よりやや下なので、昇給の見込みや会社の規模を一度確かめてみる価値があります。

Q. 20代で年収400万円は高いほうですか?

高いほうです。福岡県の20代の正社員で年収400万円以上は約17%で、6人に1人程度です。20代後半の平均(約385万円)も上回ります。

Q. 手取りだといくらですか?

税金と社会保険料を引いた手取りは、額面のおおむね75〜80%が目安です。年収約362万円なら、手取りは280万円前後です(扶養や住民税の状況で変わります)。

Q. 福岡市と福岡県で違いはありますか?

就業構造基本調査(2022年)で見ると、福岡市の20代の正社員の年収の中央値は約317万円で、福岡県全体(約307万円)より約10万円高くなっています。福岡市には大きな会社や本社・支社が集まっているためです。

20代の年収は、現在地より「伸び方」を見る

まとめます。福岡の20代の年収は約362万円で、前半約329万円、後半約385万円。正社員の真ん中は約307万円(2022年)。そして20代のうちから、会社の規模で年収の伸び方に差がつき始めます。

20代の年収は、今の金額以上に「これからどう伸びるか」が大切な時期です。今の職場で伸びていけそうか、環境を変えたほうがよいか。迷ったときは、数字を並べて一度整理してみると、焦りの中身が見えやすくなります。

出典
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