← コラム一覧

青色申告のメリット。65万円控除の要件と実際の節税額

久保 塁
監修:久保 塁起業・独立担当・現役経営者

「青色申告は得」と言われます。ただ、具体的にいくら得なのかを計算したことがある人は少ない。手間との釣り合いを判断するには、金額を知る必要があります。

結論から言うと、青色申告特別控除は最大65万円で、所得税・住民税・国民健康保険料に効きます。所得が増えるほど効果が大きくなる構造です。この記事では、要件と実際の効果を整理します。個別の税額計算は税理士または税務署に確認してください。

このコラムでわかること
  1. 3つの控除額と要件
  2. 実際の節税額
  3. 控除以外のメリット
  4. 手間との釣り合い
  5. 申請の期限
  6. よくある質問
  7. 電子申告と会計ソフトで、迷わず65万円

3つの控除額と要件

①65万円控除 - 要件: 複式簿記による記帳貸借対照表・損益計算書の添付e-Taxによる電子申告、または電子帳簿保存 - 会計ソフトを使えば、実務上ここを狙えます

②55万円控除 - 要件: 複式簿記+決算書の添付(電子申告・電子帳簿保存をしない場合

③10万円控除 - 要件: 簡易な記帳でよい(単式簿記) - 手間は軽いが、効果も小さい

①と②の差は、e-Taxを使うかどうかだけ電子申告なら10万円分多く控除されるので、やらない理由がありません[要確認: 現行の要件]。

POINT

65万円控除と55万円控除の差は、電子申告するかどうかだけ。会計ソフトから e-Tax で出せば、それだけで10万円分の控除が増える。

実際の節税額

控除65万円が、そのまま税額の減少になるわけではありません課税所得が65万円減ることによる効果です。

所得税の税率は累進なので、所得水準で効果が変わります。

必要な手取りはライフプラン逆算で先に出しておくと、控除の効果を実感しやすくなります。

課税所得300万円の場合: 所得税率10%+住民税率10%=合計20% → 65万円 × 20% ≒ 13万円の減少

課税所得500万円の場合: 所得税率20%+住民税率10%=合計30% → 65万円 × 30% ≒ 19.5万円の減少

さらに、国民健康保険料も所得に応じて計算されるため、保険料も下がります(自治体により計算が異なります)。

つまり、年間で10〜25万円規模の差になり得る。会計ソフトの費用(年1〜3万円)を大きく上回ります

控除以外のメリット

①赤字の繰越(純損失の繰越控除)。事業所得の赤字を、翌年以降3年間の黒字と相殺できます。開業初年度に赤字が出やすい事業では、この効果が大きい

②少額減価償却資産の特例30万円未満の資産を、その年に一括で経費にできます(年間の限度額あり)。PC、カメラ、工具など。

③青色事業専従者給与家族に払う給与を、全額経費にできます(要件と届出が必要)。

④貸倒引当金

⑤家事按分の適用がしやすい(記帳が整っているため、説明しやすい)。

①は「保険」として重要です。初年度に設備投資で赤字が出ても、2〜3年目の黒字と相殺できる。

手間との釣り合い

65万円控除には複式簿記が必要です。ただ、会計ソフトを使えば、実質的な作業は「取引を入力する」だけ。仕訳の知識がなくても、ソフトが処理します。

手間の実態: ①月1回、1〜2時間の入力(口座・カードを連携すれば自動取込)。②年1回の決算処理と申告

この手間で年間10〜25万円の効果なら、時給換算で見ても十分に合います。

逆に、所得が年数十万円程度なら、10万円控除(簡易記帳)でも足りる——ここは規模で判断してください。

申請の期限

所得税の青色申告承認申請書を、適用を受けたい年の3月15日まで(新規開業の場合は開業から2か月以内)に提出する必要があります。

この期限を過ぎると、その年は白色申告になります。開業届と同時に出すのが定石です(開業届の書き方個人事業主の始め方)。

よくある質問

Q. 簿記の知識がなくてもできますか?

会計ソフトを使えば可能です。勘定科目の選択に迷う程度なら、ソフトの候補から選べます。

Q. 副業でも使えますか?

事業所得として認められる場合に使えます。雑所得では使えません(副業でも開業届は必要か会社員が副業でできる節税の実際)。

Q. 途中で白色から青色に変えられますか?

申請した年からの適用です。遡れません。

Q. 法人にしたほうが得ですか?

所得水準と社会保険料、維持コストで変わります(法人化のタイミング法人の維持費は年間いくらか)。

電子申告と会計ソフトで、迷わず65万円

青色申告のメリットは、所得が増えるほど大きくなります。会計ソフトを入れて、e-Taxで申告する——この2つで65万円控除が取れます。年間10〜25万円の効果に対して、ソフト代は数万円。手間との釣り合いは、明確に取れています

自分の規模なら、どの控除を狙うべきか。福岡で実際に創業した経営者に無料で相談できます(具体的な税額計算は税理士が前提です)。

NEXT READ起業・独立バーを開業する。深夜酒類提供の届出と収支モデル起業・独立美容師の独立開業。面貸し・シェアサロン・出店の比較起業・独立カフェ開業の資金。居抜きとスケルトンの実額差