開業届の書き方。職業欄・屋号・提出のポイント

開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)は、A4用紙1枚です。ただ、書き方で迷う欄がいくつかあります。
結論から言うと、迷うのは「職業」「屋号」「事業の概要」の3欄で、とくに職業欄は個人事業税の税率に影響することがあります。この記事では、欄ごとの書き方を整理します。個別の判断は税務署に確認してください。
- 提出先と期限
- 欄ごとの書き方
- 同時に出すべき書類
- 控えを必ず取る
- 提出後にやること
- よくある質問
- 1枚だが、職業欄と控えだけは丁寧に
提出先と期限
提出先: 納税地を所轄する税務署(原則、自宅の住所地。事業所を納税地にすることも可能)。
期限: 事業開始から1か月以内。ただし、遅れても提出は受け付けられ、罰則はありません(開業届を出さないとどうなるか)。
提出方法: ①窓口 ②郵送 ③e-Tax。②の場合、返信用封筒を同封すると控えが返ってきます。
欄ごとの書き方
①納税地。自宅の住所が基本。事業所がある場合は「事業所等」を選び、その住所を記載することも可能。
②氏名・生年月日・個人番号(マイナンバー)。
③職業。ここが実務的に重要です。個人事業税は業種によって税率が異なり(法定業種と税率が定められています)、業種によっては課税されない場合もあります。実態に合った職業名を書くことが原則です。迷う場合は税務署に確認してください。
記入例: 「Webデザイン業」「経営コンサルタント業」「飲食業」「小売業」「文筆業」。「フリーランス」は職業名ではありません。
④屋号。任意。空欄でも受理されます(屋号の決め方)。
⑤届出の区分: 「開業」を選択。
⑥所得の種類: 事業所得、不動産所得、山林所得から選択。多くは「事業所得」。
必要な収入規模はライフプラン逆算で先に出しておくと、事業の概要欄も書きやすくなります。
⑦開業日。実際に事業を開始した日。青色申告の申請期限がここから起算されます。
⑧「開業・廃業に伴う届出書の提出の有無」。青色申告承認申請書を同時に出す場合は「有」にチェック。
⑨事業の概要。具体的に。「Webサイトの企画・制作・運用」「衣料品のインターネット販売」。税務署が事業内容を把握するための欄なので、簡潔かつ具体的に。
⑩給与等の支払いの状況。従業員や家族に給与を払う場合に記載。
開業届で本当に注意すべきは職業欄。個人事業税の業種区分に関わるので、実態に合った名称を、迷ったら税務署に確認してから書く。
同時に出すべき書類
①所得税の青色申告承認申請書。これが本命です。開業から2か月以内(または適用を受けたい年の3月15日まで)。忘れると、その年は白色申告になります(青色申告のメリット)。
②給与支払事務所等の開設届出書(給与を払う場合)。
③源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(給与の源泉徴収を年2回にまとめる制度。事務負担が減ります)。
④青色事業専従者給与に関する届出書(家族に給与を払う場合)。
控えを必ず取る
開業届の控え(受付印付き)は、後で使います。
使う場面: ①屋号名義の銀行口座の開設 ②融資の申込み ③補助金の申請 ④保育園の入園申請(就労証明として)⑤事業用のクレジットカードの申込み。
e-Taxの場合は受信通知、郵送の場合は返信用封筒を同封、窓口の場合は控えに受付印をもらう——必ず控えを確保してください。
提出後にやること
①事業用の口座を開設する。②会計ソフトを導入し、初月から記帳する。③国民健康保険・国民年金の切り替え(会社を辞めた場合)。④インボイスの登録を検討(個人事業主はインボイス登録すべきか)。
全体の流れは個人事業主の始め方にまとめました。
よくある質問
Q. 開業日を過去の日付にできますか?
実態に合っていれば可能です。ただし、青色申告の申請期限が開業日から起算されるため、遡りすぎると期限切れになります。
Q. 職業欄を後から変更できますか?
事業内容が変わった場合、変更の届出を出します。
Q. 副業でも出せますか?
出せます。ただし、失業給付や扶養との関係を先に確認してください(副業でも開業届は必要か)。
Q. 費用はかかりますか?
無料です。
1枚だが、職業欄と控えだけは丁寧に
開業届の記入自体は10分で終わります。ただし、職業欄は個人事業税に関わり、控えは後で何度も使う。この2点だけ丁寧にやれば、あとは難しくありません。そして、青色申告承認申請書との同時提出を忘れないこと——これが最も重要です。
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