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法人の維持費は年間いくらか。売上ゼロでもかかる費用

久保 塁
監修:久保 塁起業・独立担当・現役経営者
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法人化を検討するとき、節税額ばかりが話題になり、維持費が見落とされます。ですが、法人には売上ゼロでも発生する費用があります。

結論から言うと、法人の維持費は、最低でも年間40万円前後、社会保険と税理士報酬を含めると年間70〜150万円規模になり得ます。この記事では、内訳と、個人事業との比較を整理します。金額は事業規模と地域で変わるため、目安として読んでください。

このコラムでわかること
  1. 売上ゼロでもかかる費用
  2. 個人事業との比較
  3. 設立時の費用も別途
  4. 維持費を抑える方法
  5. 判断の順番
  6. よくある質問
  7. 「維持できるか」から逆算する

売上ゼロでもかかる費用

①法人住民税の均等割。赤字でも必ず発生します。資本金と従業員数で区分され、福岡市で資本金1,000万円以下・従業者50人以下なら、県分2万1千円(福岡県森林環境税分を含む)+市分5万円で年7万1千円です(2026年9月時点)。

②社会保険料(会社負担分)。役員1人でも加入義務があります。役員報酬を出す場合、報酬額に応じた会社負担分が発生。役員報酬をゼロにすれば加入対象外となる場合がありますが、その場合は国民健康保険・国民年金に自分で入ることになります。

③税理士報酬。法人決算は個人の確定申告より複雑で、顧問料(月1〜5万円)+決算料(10〜25万円)が一般的な水準。自力でやることも不可能ではありませんが、実務上は依頼するケースが多い。

④その他: 法人口座の維持費、会計ソフト(法人向けは個人向けより高め)、印鑑・登記事項証明書の取得費、役員変更登記(株式会社では任期満了時の重任等に必要)。

最低ライン: ①7万円+③30〜60万円 = 年間40〜70万円。②を入れると、さらに増えます。

POINT

法人化の判断で見落とされるのは、赤字でもかかる費用。均等割と税理士報酬だけで年間40万円——この分を上回る節税効果があるかが、実際の分岐点。

個人事業との比較

個人事業の維持費: ①会計ソフト(年1〜3万円)②必要に応じて税理士(顧問なしで決算のみなら数万円〜)。赤字なら所得税・住民税の負担はほぼゼロ。

つまり、年間数万円 vs 年間40〜150万円という差があります。

この差を埋めるだけの、税負担の軽減または事業上の必要性があるか——これが法人化の判断です(法人化のタイミング)。

設立時の費用も別途

維持費とは別に、設立時の費用がかかります。株式会社で20〜25万円程度、合同会社で10万円前後(紙の定款の場合。電子定款なら印紙代4万円が不要。2026年9月時点)(法人設立の費用内訳)。

さらに、解散・清算にも費用がかかります。設立より解散のほうが手間です。

維持費を抑える方法

①合同会社を選ぶ。設立費用が安く、任期満了に伴う重任登記が不要(業務執行社員の加入・退社など、登記事項が変われば変更登記は必要。株式会社では任期満了時の重任等にも登記が必要)。②自宅を本店にする(自宅を法人登記するデメリット)。③税理士を決算のみに絞る(顧問契約なし。ただし相談の機会は減ります)。④会計ソフトで日常の記帳を自分でやる。⑤役員報酬の設計を最適化する(社会保険料に直結)。

①②④が現実的です。

判断の順番

①法人にする事業上の理由があるか(取引先の要件、許認可、採用)。あるなら、維持費に関係なく法人化。

②理由がない場合、税負担の軽減額を試算する(社会保険料込みで)。③維持費と比較する。④2年以上、その利益水準が続く見込みか。

④が重要です。単年のスポット的な利益で法人化すると、翌年に維持費だけが残ります。

必要な手取りはライフプラン逆算で確認し、法人化後に手元に残る額で比較してください。

よくある質問

Q. 役員報酬をゼロにすれば社会保険は不要ですか?

報酬が発生しない場合、被保険者とならない扱いになることがあります。ただしその場合、自分は国民健康保険・国民年金になります。判断は年金事務所に確認してください。

Q. 税理士なしで法人決算はできますか?

不可能ではありませんが、法人税申告書の作成は個人の申告より複雑です。時間コストと誤りのリスクを含めて判断してください。

Q. 休眠させることはできますか?

異動届を出して休眠状態にすることは可能ですが、均等割が免除されるかは自治体の扱いによります。確認が必要です。

Q. 個人事業に戻せますか?

法人を解散・清算すれば可能ですが、費用と手間がかかります。だから、法人化の判断は慎重に。

「維持できるか」から逆算する

法人化の判断は、節税額から入ると誤ります。赤字でも年間40〜70万円が出ていく——この前提で、それを上回る効果があるか、あるいは事業上の必要があるか。維持費から逆算すると、判断は明確になります。

自分の事業なら、法人化は適期か。福岡で会社を経営してきた立場から、無料で相談に乗ります(具体的な税額計算は税理士が前提です)。

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