← コラム一覧

昇給額の平均はいくらか。自分の会社が低いかを判定する

寺木 健人
監修:寺木 健人転職・キャリア担当・人材業界出身

毎年の昇給が数千円。「こんなものなのか」と思いつつ、他社と比べようがない——昇給額は、周囲に聞きにくい情報です。

結論から言うと、判定は「額」ではなく「率」で行い、さらに「10年後にいくらになるか」で見ます。月3,000円の昇給は小さく見えますが、率で見ると1%程度。この記事では、判定の基準と、上げる手段を整理します。

このコラムでわかること
  1. 定期昇給とベースアップの違い
  2. 判定の基準
  3. 昇給が止まる会社の見分け方
  4. 昇給の限界と、年収の天井
  5. 上げるための3つの手段
  6. 昇給が少なくても残る判断
  7. よくある質問
  8. 率と10年後で判定する

定期昇給とベースアップの違い

①定期昇給(定昇): 年齢や勤続年数、評価に応じて、個人の給与が上がる仕組み。会社の給与テーブル自体は変わりません

②ベースアップ(ベア): 給与テーブル全体を引き上げること。物価や業績を反映します。

「昇給あり」と書かれていても、①のみで②がない会社は多い①だけだと、物価上昇に追いつかないことがあります。

確認すべきは、「過去3年で、ベースアップがあったか」です。

POINT

昇給の判定は「いくら上がったか」ではなく「率」と「10年後の到達点」。月3,000円の昇給を10年続けても、月3万円しか変わらない。

判定の基準

①率で見る昇給額 ÷ 現在の月給。月給25万円で3,000円なら1.2%

②物価上昇と比べる物価上昇率を下回る昇給は、実質的には減給です。

③10年後を計算する現在の昇給ペースが続いた場合、10年後の月給はいくらか。月3,000円なら、10年で月3万円増。これが自分の想定と合っているか

④同業・同規模と比べる賃金チェッカーで自分の業種・年齢・企業規模の水準を確認し、現在の年収がその水準に対してどこにいるかを見る。昇給額そのものより、到達している水準のほうが重要です。

昇給が止まる会社の見分け方

①業績が数年低迷している②昇給の基準が明示されていない③評価制度が形骸化している(全員が同じ評価)。④若手の離職が続いている⑤役職に空きがない(昇格による昇給が見込めない。同期が先に出世して焦る)。

②が実務的に重要です。「次の等級に上がる条件」を上司に聞いたことがあるか——聞いていないなら、まず聞いてください。基準がない会社なら、それ自体が情報です。

昇給の限界と、年収の天井

多くの会社で、昇給には天井があります。等級ごとの上限、役職に紐づく給与レンジ。

だから、「昇給を積み重ねて年収を上げる」には限界がある大きく上げるには、①昇格 ②業種・企業規模の変更 ③職種の変更のいずれかが必要です(業種別年収マップ大企業 vs 中小企業)。

上げるための3つの手段

①社内で昇格を目指す基準を聞き、成果を可視化し、手を挙げる同期が先に出世して焦る)。

②社内で交渉する評価面談で、市場水準の資料を持って相談する。日本の職場では珍しいが、不可能ではありません

③転職するもっとも上げ幅が大きい手段です。ただし、現職が相場より高い場合は下がるので、まず自分の市場価値の調べ方で実測してください。

判断の順番: ①相場を測る → ②現職が相場より低ければ③、相場並みなら①②

昇給が少なくても残る判断

昇給が少なくても、残る合理性がある場合もあります。

①労働時間が短い(時間あたりでは高い)。②退職金・企業年金が手厚い③安定性が高い④通勤が近い⑤仕事の内容に価値を感じている

年収だけで判断せず、時間あたりと、金銭以外の要素も含めて判断してください(残業の実態データライフプラン逆算)。

よくある質問

Q. 昇給がない年があるのは普通ですか?

業績連動の会社では起こり得ます。数年続くなら、構造の問題です。

Q. 昇給額を人事に聞いてもいいですか?

平均や基準を聞くのは自然な質問です。個人の額を他人と比較するのは避けてください。

Q. 転職すると必ず上がりますか?

上がりません。現職が相場より高ければ下がります。まず実測を(賃金チェッカー)。

Q. 中小企業だから仕方ないのでは?

企業規模による差はありますが、同じ規模の中でも差があります大企業 vs 中小企業)。規模で諦める前に、相場を確認してください。

率と10年後で判定する

昇給が少ないかどうかは、額では判断できません。率で見て、10年後の到達点を計算し、業界水準と比べる。この3つで判定すれば、いまの会社に残るべきか、動くべきかが数字で見えてきます。

自分の水準がどこにあるか。転職ありきではない立場で、無料で相談に乗ります。

NEXT READ悩み・キャリア退職代行を使うべきケース・使わなくていいケース悩み・キャリア手取りが少なくて一人暮らしがきつい。福岡の家計モデルと打ち手悩み・キャリア適応障害と診断されたら。休職・復職・転職の考え方