昇給額の平均はいくらか。自分の会社が低いかを判定する

毎年の昇給が数千円。「こんなものなのか」と思いつつ、他社と比べようがない——昇給額は、周囲に聞きにくい情報です。
結論から言うと、判定は「額」ではなく「率」で行い、さらに「10年後にいくらになるか」で見ます。月3,000円の昇給は小さく見えますが、率で見ると1%程度。この記事では、判定の基準と、上げる手段を整理します。
- 定期昇給とベースアップの違い
- 判定の基準
- 昇給が止まる会社の見分け方
- 昇給の限界と、年収の天井
- 上げるための3つの手段
- 昇給が少なくても残る判断
- よくある質問
- 率と10年後で判定する
定期昇給とベースアップの違い
①定期昇給(定昇): 年齢や勤続年数、評価に応じて、個人の給与が上がる仕組み。会社の給与テーブル自体は変わりません。
②ベースアップ(ベア): 給与テーブル全体を引き上げること。物価や業績を反映します。
「昇給あり」と書かれていても、①のみで②がない会社は多い。①だけだと、物価上昇に追いつかないことがあります。
確認すべきは、「過去3年で、ベースアップがあったか」です。
昇給の判定は「いくら上がったか」ではなく「率」と「10年後の到達点」。月3,000円の昇給を10年続けても、月3万円しか変わらない。
判定の基準
①率で見る。昇給額 ÷ 現在の月給。月給25万円で3,000円なら1.2%。
②物価上昇と比べる。物価上昇率を下回る昇給は、実質的には減給です。
③10年後を計算する。現在の昇給ペースが続いた場合、10年後の月給はいくらか。月3,000円なら、10年で月3万円増。これが自分の想定と合っているか。
④同業・同規模と比べる。賃金チェッカーで自分の業種・年齢・企業規模の水準を確認し、現在の年収がその水準に対してどこにいるかを見る。昇給額そのものより、到達している水準のほうが重要です。
昇給が止まる会社の見分け方
①業績が数年低迷している。②昇給の基準が明示されていない。③評価制度が形骸化している(全員が同じ評価)。④若手の離職が続いている。⑤役職に空きがない(昇格による昇給が見込めない。同期が先に出世して焦る)。
②が実務的に重要です。「次の等級に上がる条件」を上司に聞いたことがあるか——聞いていないなら、まず聞いてください。基準がない会社なら、それ自体が情報です。
昇給の限界と、年収の天井
多くの会社で、昇給には天井があります。等級ごとの上限、役職に紐づく給与レンジ。
だから、「昇給を積み重ねて年収を上げる」には限界がある。大きく上げるには、①昇格 ②業種・企業規模の変更 ③職種の変更のいずれかが必要です(業種別年収マップ・大企業 vs 中小企業)。
上げるための3つの手段
①社内で昇格を目指す。基準を聞き、成果を可視化し、手を挙げる(同期が先に出世して焦る)。
②社内で交渉する。評価面談で、市場水準の資料を持って相談する。日本の職場では珍しいが、不可能ではありません。
③転職する。もっとも上げ幅が大きい手段です。ただし、現職が相場より高い場合は下がるので、まず自分の市場価値の調べ方で実測してください。
判断の順番: ①相場を測る → ②現職が相場より低ければ③、相場並みなら①②。
昇給が少なくても残る判断
昇給が少なくても、残る合理性がある場合もあります。
①労働時間が短い(時間あたりでは高い)。②退職金・企業年金が手厚い。③安定性が高い。④通勤が近い。⑤仕事の内容に価値を感じている。
年収だけで判断せず、時間あたりと、金銭以外の要素も含めて判断してください(残業の実態データ・ライフプラン逆算)。
よくある質問
Q. 昇給がない年があるのは普通ですか?
業績連動の会社では起こり得ます。数年続くなら、構造の問題です。
Q. 昇給額を人事に聞いてもいいですか?
平均や基準を聞くのは自然な質問です。個人の額を他人と比較するのは避けてください。
Q. 転職すると必ず上がりますか?
上がりません。現職が相場より高ければ下がります。まず実測を(賃金チェッカー)。
Q. 中小企業だから仕方ないのでは?
企業規模による差はありますが、同じ規模の中でも差があります(大企業 vs 中小企業)。規模で諦める前に、相場を確認してください。
率と10年後で判定する
昇給が少ないかどうかは、額では判断できません。率で見て、10年後の到達点を計算し、業界水準と比べる。この3つで判定すれば、いまの会社に残るべきか、動くべきかが数字で見えてきます。
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