← コラム一覧

適応障害と診断されたら。休職・復職・転職の考え方

寺木 健人
監修:寺木 健人転職・キャリア担当・人材業界出身

病院で「適応障害」と言われた。診断名がついたことに少しほっとした一方で、この先どうすればいいのかが分からない。休むべきなのか、続けられるのか、辞めるべきなのか——。

結論から言うと、適応障害は「特定のストレス要因への反応」とされる点が、判断のうえで重要です。原因が環境側にあると考えられるため、環境を変えると改善しやすいという特徴があります。この記事では、診断後に確認すべき制度と、休む・続ける・変えるの判断材料を整理します。

このコラムでわかること
  1. まず、主治医に3つ確認する
  2. 会社側で確認する制度
  3. 休むか、続けるかの判断材料
  4. 続ける場合——環境調整をどう頼むか
  5. 転職を選ぶ場合のタイミング
  6. 再発を防ぐ条件
  7. よくある質問
  8. 直すのは自分ではなく、環境との距離

まず、主治医に3つ確認する

診断を受けた直後、確認しておくと後の選択が楽になる項目があります。

①いま就業が可能な状態か(就業可、条件付き可、休養が必要)。②診断書を出してもらえるか(会社に業務調整や休職を申し出るときに必要になります)。③どの程度の期間を見込むか(おおよそでも聞けると、生活と仕事の段取りが立ちます)。

診断書があると、会社との話が「相談」から「手続き」に変わります。言いにくいことを、制度に乗せて伝えられるというのが実務上の最大の利点です。

会社側で確認する制度

①休職制度(期間、給与の扱い、期間満了時の扱い、復職の判定方法)。就業規則で確認できます。②傷病手当金(健康保険から、条件を満たせば標準報酬日額のおおむね3分の2程度が支給されます)[要確認: 現行の要件]。③産業医面談④業務調整・配置転換の相談ルート(人事)。

制度の詳細は休職したらキャリアは終わりなのかにまとめました。「休職=収入ゼロ」ではないことを知らないまま我慢する人が多いので、ここは先に確認してください。

休むか、続けるかの判断材料

主治医の判断が第一ですが、そのうえで自分が整理しておくと話が早い材料があります。

①ストレス要因が特定できているか。特定の上司、特定の業務、労働時間、通勤。特定できているなら、それを外せるかどうかが分岐点です。

②要因を外す方法が、休職以外にあるか。配置転換、業務量の調整、在宅勤務、時短。環境調整で足りるなら、休職せずに済むこともあります

③調整を申し出られる関係があるか。上司が要因そのものである場合、産業医や人事という別ルートを使います(理不尽な上司に耐えられない)。

④生活の維持に必要な収入。傷病手当金の水準で当面まかなえるか。

POINT

適応障害の場合、直すべきは自分の耐性ではなく、ストレス要因との距離。距離の取り方は、休職・異動・時短・転職と複数ある。

続ける場合——環境調整をどう頼むか

続ける選択をするなら、同じ環境のまま続けるのは避けてください。原因が残っていると、症状も残ります。

申し出の順番は、①産業医(いる場合)②人事 ③上司。診断書があるなら、それを添えて具体的に依頼します。「体調が悪いので配慮してほしい」ではなく、「主治医から○○を避けるよう指示がありました。△△の業務を一時的に外していただけませんか」という形にすると、会社側も動きやすい。

配慮の内容は、残業の免除、出張の免除、担当替え、在宅勤務、時短勤務など。期間を区切って提案する(まず3ヶ月)と受け入れられやすくなります。

転職を選ぶ場合のタイミング

環境調整も異動も見込めない場合、環境を変えるのが根本的な解決になります。ただしタイミングが重要です。

原則は、症状が落ち着いてから活動すること。理由は2つ。ひとつ、選考のパフォーマンスに影響するから。ふたつ、症状が重い時期の判断は、条件を軽視しやすいから。「ここから出られるならどこでもいい」という状態で決めた転職は、同じ問題を繰り返しやすい。

主治医が就業可能と判断してから、在職または休職の状態で活動するのが安全です。伝え方は休職したらキャリアは終わりなのか、選考での確認事項はオファー面談のチェックリストを参照してください。

再発を防ぐ条件

環境を変えた後にやるべきことがあります。①何が要因だったかを言語化する(長時間労働なのか、対人関係なのか、裁量のなさなのか)。②次の環境でその要因を確認する(面接で聞く)。③早めのサインを決めておく(睡眠が乱れたら、というような自分の指標)。

要因が特定できていないまま環境を変えると、同じ条件の職場を選んでしまうことがあります。言語化は再発予防の中心です。

よくある質問

Q. 診断名を会社に伝えたくありません。

診断書には病名が記載されるのが一般的ですが、産業医は守秘義務を負っており、事業者に伝えるのは就業上の措置に必要な範囲とされています。伝える範囲について、主治医・産業医に相談してください。

Q. 休職すると復職しづらくなりませんか?

復職の可否は主治医と産業医の判断です。原因を手当てせずに復職するほうが再発しやすいため、期間より条件を重視してください。

Q. 診断されたことは転職で不利になりますか?

回復して就業に支障がなければ、必ずしも不利にはなりません。健康情報はセンシティブな個人情報であり、不当な扱いは適切ではありません。伝え方の枠組みはブランク期間の書き方も参考になります。

Q. 仕事を辞めれば治りますか?

要因が仕事に由来するなら改善が期待できますが、収入が途絶えること自体が新しいストレス要因になります。休職という中間の選択肢を先に検討してください。

直すのは自分ではなく、環境との距離

適応障害の診断でつらいのは、「自分が弱いからだ」と受け取ってしまうことです。ですが、この診断の枠組みそのものが、要因が環境の側にあることを前提にしています。だから打ち手は、耐性を上げることではなく、要因との距離を取ることです。

制度の使い方、会社への切り出し方、転職のタイミング。転職ありきではない立場で、無料で相談に乗ります。

NEXT READ悩み・キャリア無料の適職診断は当たるのか。結果の正しい使い方悩み・キャリア天職の見つけ方。運命の仕事論を疑うところから悩み・キャリア転職の相談は誰にすべきか。家族・友人・プロの使い分け