← コラム一覧

個人で使えるリスキリング補助金。講座費用の戻し方

寺木 健人
監修:寺木 健人転職・キャリア担当・人材業界出身

スキルを身につけたいが、講座は数十万円する。会社が出してくれるわけでもない——ここで諦める人が多いのですが、個人が自分で使える公的な給付制度があります。

結論から言うと、雇用保険の教育訓練給付制度を使えば、指定講座の受講費用のかなりの割合が戻ります。区分によって給付率が大きく異なり、専門実践教育訓練では最大で7割前後が支給される仕組みです[要確認: 現行の給付率と上限額]。この記事では、制度の区分、対象講座の探し方、そして講座選びの基準を整理します。金額と要件は改正されるため、申請前にハローワークで最新のものを確認してください。

このコラムでわかること
  1. 3つの区分と給付率
  2. 受給の要件
  3. 対象講座の探し方
  4. 「取っても意味がない資格」を避ける
  5. 会社の制度と併用する
  6. 学び直しで年収は上がるか
  7. よくある質問
  8. 制度は、使う人だけが得をする

3つの区分と給付率

教育訓練給付は、講座のレベルによって3つに分かれます。

①一般教育訓練給付。対象が広く、給付率は費用の2割程度(上限あり)。簿記、TOEIC、ITパスポートなど。

②特定一般教育訓練給付。速やかな再就職・早期のキャリア形成に資するとされる講座。給付率は4割程度

③専門実践教育訓練給付。看護師・介護福祉士・保育士などの資格養成課程、専門的なIT講座、大学院のMBAなど期間の長い本格的な訓練。給付率は5割程度、資格取得+就職などの条件を満たすと合計で7割程度まで上がる設計です。

同じ「補助金」でも、①と③では戻る額が桁違いです。だから講座を選ぶときは、内容と同時にどの区分の指定講座かを確認してください。

受給の要件

主な要件は雇用保険の被保険者期間です。区分によって必要な期間が異なり(初回はより短い期間で可となる場合があります)、離職後一定期間内なら在職していなくても対象になり得ます[要確認: 現行の被保険者期間要件]。

③専門実践教育訓練は、受講開始前にハローワークで訓練前キャリアコンサルティングを受け、受給資格確認の手続きをする必要があります。受講を始めてからでは間に合わないので、ここが最大の落とし穴です。

対象講座の探し方

厚生労働省の教育訓練講座検索システムで、地域・分野・区分から検索できます。福岡県内の講座、通信講座、オンライン完結の講座も対象に含まれます。

探すときの順番は、①区分(③→②→①の順に給付率が高い)→ ②福岡で求人がある分野か → ③通える形式か

「取りたい資格」から入るより、「福岡で求人がある職種」から逆算するほうが投資として合います(有効求人倍率の読み方求人動向のデータ)。

POINT

給付率だけで選ぶと使わない資格が残り、興味だけで選ぶと費用が戻らない。区分と求人数の両方を満たす講座を探す。

「取っても意味がない資格」を避ける

学び直しで失敗する典型は、資格を取ったが、それを求める求人が無かったというケースです。避ける基準は3つ。

①その資格を応募要件にしている求人が、福岡で継続的にあるか。求人サイトで資格名を検索して件数を数えてください。ゼロに近ければ、その資格は転職の武器になりません

②実務経験とセットで要求されていないか。「資格+実務3年」が要件なら、資格だけでは届きません。

③今の仕事と接続するか。まったくの異分野は、資格があっても未経験扱いになります。現職の経験に一枚足す形のほうが、投資対効果が高い。

会社の制度と併用する

企業側にも、人材開発支援助成金などを使った研修制度があります。まず会社の制度を確認してください。会社が費用を負担する場合、個人の教育訓練給付は使えません(重複受給はできません)。

一方、会社の制度が使えない領域(転職を見据えたスキル、副業に使うスキル)は、個人の給付を使うという整理になります。就業規則上の副業規定は事前に確認してください(会社員のまま起業する)。

学び直しで年収は上がるか

正直に書くと、資格そのものが年収を上げるわけではありません。上がるのは、資格によって応募できる求人の範囲が広がったときです。

だから順番としては、①いまの自分の市場価値を測る → ②届かない求人の要件を見る → ③その要件を埋める講座を選ぶ。この順で選べば、講座は「学び」ではなく「求人要件の充足」になります(自分の市場価値の調べ方賃金チェッカー)。

よくある質問

Q. 在職中でも使えますか?

雇用保険の被保険者であれば対象です。離職者だけの制度ではありません

Q. 申請はいつすればいいですか?

①②は受講開始前の手続きが不要な場合もありますが、③は受講開始前の手続きが必須です。まずハローワークに確認してください。

Q. オンライン講座も対象ですか?

指定講座であれば対象です。検索システムで通信・オンラインの絞り込みができます。

Q. 何度でも使えますか?

前回の受給から一定期間を空ける必要があります。回数制限と間隔の要件を確認してください。

制度は、使う人だけが得をする

教育訓練給付は申請主義です。知らなければ全額自己負担、知っていれば数割が戻る——その差は情報だけです。そして、講座選びで効くのは給付率より「福岡でその求人があるか」。この2つを押さえれば、学び直しは投資として成立します。

自分の職種なら、どの分野に一枚足すのが効くか。転職ありきではない立場で、無料で相談に乗ります。

NEXT READ悩み・キャリアサービス残業が当たり前の会社。違法性と抜け出し方悩み・キャリア社会人の学び直しは何から始めるか。目的別ロードマップ悩み・キャリア仕事のミスで落ち込んだときの切り替え方。引きずる人の特徴