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サービス残業が当たり前の会社。違法性と抜け出し方

寺木 健人
監修:寺木 健人転職・キャリア担当・人材業界出身

定時でタイムカードを押してから作業を続ける。申請できる残業時間に上限がある。持ち帰って自宅でやる——これが常態化している職場は、実際にあります

結論から言うと、労働時間に対して賃金が支払われていない状態は、法的に問題があります。そして、改善を求めるにも、辞めるにも、記録が土台になります。この記事では、記録の取り方と、対処の順番を整理します。

このコラムでわかること
  1. 何が問題なのか
  2. 記録の残し方
  3. 請求できる範囲と時効
  4. 社内で改善を求める順番
  5. 環境を変える判断基準
  6. 時間あたりで比較する
  7. よくある質問
  8. 記録が、すべての選択肢の土台になる

何が問題なのか

労働基準法上、使用者は労働時間に応じた賃金(時間外なら割増賃金)を支払う義務があります。「みなし」「固定残業代」があっても、定められた時間を超えた分の支払い義務は残ります

よくある誤解: ①「うちは裁量労働だから」——裁量労働制には適用対象の業務と手続きの要件があり、すべての職種に適用できるわけではありません②「管理職だから残業代は出ない」——労働基準法上の「管理監督者」に該当するかは、役職名ではなく実態で判断されます。③「固定残業代に含まれている」——定められた時間を超えた分は別途支払いが必要です。

判断に迷う場合は、労働局の総合労働相談コーナーで相談できますパワハラをどこに相談するかで窓口の使い分けを整理しています)。

POINT

サービス残業の問題は、我慢の是非ではなく賃金の未払い。だから最初にやるのは交渉でも退職でもなく、記録を残すこと。

記録の残し方

会社の勤怠記録が実態と違う場合、それは証拠になりません自分で残す必要があります

有効な記録: ①PCのログオン・ログオフの時刻 ②入退館の記録 ③業務用チャット・メールの送信時刻 ④交通系ICカードの利用履歴 ⑤自分でつけた日次のメモ(日付、始業、終業、業務内容)⑥家族への連絡の記録

⑤だけでも意味があります継続して、リアルタイムに近い形でつけられていることが重要です。

保存場所: 個人の端末・クラウド会社の端末だけに置くと、退職時にアクセスできなくなります

請求できる範囲と時効

未払いの賃金には時効があります過去にさかのぼって請求できる期間には限りがあるため、気づいた時点で記録を始めることが重要です[要確認: 現行の時効期間]。

退職後でも請求は可能です。ただし、記録が手元にあることが前提になります。

具体的な請求は、労働局・弁護士に相談してください。金額が大きい場合、労働審判や訴訟という手段があります。

社内で改善を求める順番

①記録を続ける(1〜3ヶ月)。②上司に相談する。感情ではなく数字で。「今月の実労働時間は◯時間、申請できたのは◯時間です」。

③人事・コンプライアンス窓口④労働組合(ある場合)。

⑤社外の窓口: 労働局の総合労働相談コーナー(無料)、労働基準監督署(法令違反として申告できます。匿名での情報提供も可能)。

⑥弁護士(請求を行う場合)。

②で改善しない、あるいは相談自体が不利益につながる懸念があるなら、⑤へ

環境を変える判断基準

①会社が是正の意思を示さない②長時間労働が常態化している残業100時間)。③体調に影響が出ている④他の社員も同じ状態で、変わる見込みがない

このいずれかなら、在職のまま転職活動を始めるのが定石です(在職中の転職活動)。

転職先の選定では、労働時間の実態を必ず確認してください。求人票の「残業月20時間」は自己申告なので、面接で「直近1年の平均残業時間と、繁忙期の実績」を聞く(オファー面談のチェックリスト)。業種別の傾向は残業の実態データで確認できます。

時間あたりで比較する

サービス残業がある職場では、額面の年収と実質の時給が大きく乖離します

年収400万円・月30時間のサービス残業と、年収380万円・残業なしでは、時間あたりでは後者のほうが高い

転職を検討する際は、必ず時間あたりで比較してください(賃金チェッカー業種別年収マップ)。

よくある質問

Q. 記録がないと請求できませんか?

難しくなります。だから、いまから始めてください。同僚の証言や、業務量の客観的な資料が補強材料になることもあります。

Q. 申告すると会社に自分だと分かりますか?

労基署への申告では、申告者が特定されないよう配慮される運用が基本です。不安があれば、まず労働局で進め方を相談してください。

Q. 退職してから請求できますか?

可能です。ただし時効があるため、早いほうが有利です。

Q. 固定残業代があるので仕方ないのでは?

定められた時間を超えた分は、別途支払いが必要です。何時間分が含まれているかを、雇用契約書で確認してください。

記録が、すべての選択肢の土台になる

サービス残業が常態化した職場では、我慢するか辞めるかの二択に見えます。ですが、記録があれば、改善を求める、請求する、条件を整えて辞める——選択肢が増えます。まず、今日から記録を始めてください。

自分の状況で何ができるか。転職ありきではない立場で、無料で相談に乗ります。

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