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サービス残業が当たり前の会社。違法性と抜け出し方

寺木 健人
監修:寺木 健人転職・キャリア担当・人材業界出身
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定時でタイムカードを押してから作業を続ける。申請できる残業時間に上限がある。持ち帰って自宅でやる——これが常態化している職場は、実際にあります。 結論から言うと、労働時間に対して賃金が支払われていない状態は、法的に問題があります。そして、改善を求めるにも、辞めるにも、記録が土台になります。この記事では、記録の取り方と、対処の順番を整理します。 ## 何が問題なのか 労働基準法上、使用者は労働時間に応じた賃金(時間外なら割増賃金)を支払う義務があります。「みなし」「固定残業代」があっても、定められた時間を超えた分の支払い義務は残ります。 よくある誤解: ①「うちは裁量労働だから」——裁量労働制には適用対象の業務と手続きの要件があり、すべての職種に適用できるわけではありません。②「管理職だから残業代は出ない」——労働基準法上の「管理監督者」に該当するかは、役職名ではなく実態で判断されます。③「固定残業代に含まれている」——定められた時間を超えた分は別途支払いが必要です。 判断に迷う場合は、労働局の総合労働相談コーナーで相談できます(パワハラをどこに相談するかで窓口の使い分けを整理しています)。 > サービス残業の問題は、我慢の是非ではなく賃金の未払い。だから最初にやるのは交渉でも退職でもなく、記録を残すこと。 ## 記録の残し方 会社の勤怠記録が実態と違う場合、それは証拠になりません。自分で残す必要があります。 有効な記録: ①PCのログオン・ログオフの時刻 ②入退館の記録 ③業務用チャット・メールの送信時刻 ④交通系ICカードの利用履歴 ⑤自分でつけた日次のメモ(日付、始業、終業、業務内容)⑥家族への連絡の記録。 ⑤だけでも意味があります。継続して、リアルタイムに近い形でつけられていることが重要です。 保存場所: 個人の端末・クラウド。会社の端末だけに置くと、退職時にアクセスできなくなります。 ## 請求できる範囲と時効 未払いの賃金には時効があります。過去にさかのぼって請求できる期間には限りがあるため、気づいた時点で記録を始めることが重要です。賃金の請求権の時効は、法律上は5年ですが、当分の間は3年とされています(2026年9月時点)。 退職後でも請求は可能です。ただし、記録が手元にあることが前提になります。 具体的な請求は、労働局・弁護士に相談してください。金額が大きい場合、労働審判や訴訟という手段があります。 ## 社内で改善を求める順番 ①記録を続ける(1〜3ヶ月)。②上司に相談する。感情ではなく数字で。「今月の実労働時間は◯時間、申請できたのは◯時間です」。 ③人事・コンプライアンス窓口。④労働組合(ある場合)。 ⑤社外の窓口: 労働局の総合労働相談コーナー(無料)、労働基準監督署(法令違反として申告できます。匿名での情報提供も可能)。 ⑥弁護士(請求を行う場合)。 ②で改善しない、あるいは相談自体が不利益につながる懸念があるなら、⑤へ。 ## 環境を変える判断基準 ①会社が是正の意思を示さない。②長時間労働が常態化している(残業100時間)。③体調に影響が出ている。④他の社員も同じ状態で、変わる見込みがない。 このいずれかなら、在職のまま転職活動を始めるのが定石です(在職中の転職活動)。 転職先の選定では、労働時間の実態を必ず確認してください。求人票の「残業月20時間」は自己申告なので、面接で「直近1年の平均残業時間と、繁忙期の実績」を聞く(オファー面談のチェックリスト)。業種別の傾向は残業の実態データで確認できます。 ## 時間あたりで比較する サービス残業がある職場では、額面の年収と実質の時給が大きく乖離します。 年収400万円・月30時間のサービス残業と、年収380万円・残業なしでは、時間あたりでは後者のほうが高い。 転職を検討する際は、必ず時間あたりで比較してください(賃金チェッカー・業種別年収マップ)。 ## よくある質問 Q. 記録がないと請求できませんか? 難しくなります。だから、いまから始めてください。同僚の証言や、業務量の客観的な資料が補強材料になることもあります。 Q. 申告すると会社に自分だと分かりますか? 労基署への申告では、申告者が特定されないよう配慮される運用が基本です。不安があれば、まず労働局で進め方を相談してください。 Q. 退職してから請求できますか? 可能です。ただし時効があるため、早いほうが有利です。 Q. 固定残業代があるので仕方ないのでは? 定められた時間を超えた分は、別途支払いが必要です。何時間分が含まれているかを、雇用契約書で確認してください。 ## 記録が、すべての選択肢の土台になる サービス残業が常態化した職場では、我慢するか辞めるかの二択に見えます。ですが、記録があれば、改善を求める、請求する、条件を整えて辞める——選択肢が増えます。まず、今日から記録を始めてください。 自分の状況で何ができるか。転職ありきではない立場で、無料で相談に乗ります。

出典
寺木 健人
この記事の監修者寺木 健人金融・人材会社で法人営業を経験後、福岡のスタートアップで事業開発とHRコンサルティングに従事。転職を決める前の選択肢の整理が専門。

「辞めるべきか、残るべきか。その手前の整理から一緒にやります。」

残って改善を求めるか離れるかを、次の選択肢と合わせて一緒に整理できます(未払い分の請求そのものは労働基準監督署や弁護士の領域です)。

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