個人コンサルとして起業する。商品設計と顧客獲得

コンサルティングは、在庫も設備も要らず、経験がそのまま商品になる——独立の形としては、もっとも参入しやすいものの一つです。
一方、「何を、誰に、いくらで売るのか」が曖昧なまま始めると、まったく受注できません。この記事では、商品化の手順と、最初の顧客の作り方を整理します。
- まず、商品を定義する
- 前職の経験から商品を作る
- 提供形態と単価の設計
- 最初の顧客の作り方
- 実績がない段階の突破方法
- 実務の準備
- 固定費を持たない
- よくある質問
- 狭く定義して、前職の関係から始める
まず、商品を定義する
「経営コンサルタント」では売れません。抽象的すぎて、相手が何を頼めるか分からないからです。
商品の定義に必要な3要素: ①誰の ②どんな課題を ③どう解決するか。
例: - ×「中小企業の経営支援」 - ○「福岡の建設業向けに、施工管理の工程を標準化して、残業時間を減らす支援」 - ○「飲食店の原価管理を仕組み化して、粗利率を改善する支援」
狭いほど売れます。「自分に頼めばいい」と相手が判断できるか——ここが基準です(自分の強みがわからない)。
コンサルで最初に売れないのは、能力が足りないからではなく、何を頼めるかが伝わっていないから。商品は狭く定義するほど売れる。
前職の経験から商品を作る
①前職で「相談された」ことを書き出す。他人がわざわざ聞きに来たこと——それが市場のある知識です。
②解決した問題を並べる。「◯◯を改善して、△△が□□になった」。
③その問題を抱えている会社が、他にもあるかを確認する。
④再現できる形にする(手順、チェックリスト、フレームワーク)。
④が「商品」になります。毎回ゼロから考えるのではなく、型を持つ。これが単価と再現性を作ります。
提供形態と単価の設計
①スポット相談(1回2〜5時間): 3〜10万円。入口として使う。
②プロジェクト型(3〜6ヶ月で課題を解決): 数十万〜数百万円。
③顧問契約(月◯回の訪問・面談): 月3〜20万円。もっとも安定する形。
④研修・講座: 単発または連続。
⑤成果報酬型: リスクが大きく、成果の定義で揉めやすいため、初期は避けるのが無難。
設計の順番: ①で入口を作り、③に移す。顧問契約が5〜10社あれば、事業として成立します(社労士の開業準備の顧問契約の考え方と共通です)。
必要な件数はライフプラン逆算から逆算してください。
最初の顧客の作り方
①前職の関係。取引先、同業者、元同僚。もっとも確度が高い。「独立しました」の連絡が、そのまま営業になります。
②紹介。1件目の成果が出たら、必ず紹介を依頼する。
③商工団体・異業種の集まり(商工会議所の創業支援)。福岡は事業者の距離が近く、対面の関係が作りやすい(福岡で起業する)。
④発信(記事、SNS、セミナー)。「この分野の人だ」と認識されると、問い合わせが来るようになります。
⑤士業との連携。税理士、社労士、行政書士。顧問先の課題を聞いている立場なので、紹介が発生します(行政書士で独立する現実)。
⑤が地方では特に有効です。
実績がない段階の突破方法
①無償または低額で1件やる。期間を区切って(3ヶ月など)、成果を出す。その事例が、次の営業資料になります。
②前職の実績を、自分の実績として語る(守秘義務の範囲内で)。「前職で◯◯を担当し、△△という成果を出しました」。
③公開できる形の成果物を作る(記事、資料、チェックリスト)。「この人は分かっている」と伝わる材料。
④セミナー・勉強会を開く。参加者が最初の顧客になることがあります。
①が最短です。ただし、無償は1〜2件まで。それ以上続けると、有償への切り替えが難しくなります。
実務の準備
①開業届・青色申告(個人事業主の始め方)。②契約書(業務範囲、期間、報酬、守秘義務、成果の定義)。③守秘義務(前職と現在の顧客、両方)。④賠償責任(助言に基づく損害。契約で範囲を明示)。⑤インボイス(法人顧客が中心なら登録を検討。個人事業主はインボイス登録すべきか)。
②の「成果の定義」は重要です。何をもって完了とするかを書いておかないと、終わらない案件になります。
固定費を持たない
コンサルは、自宅とPCがあれば始められます(ひとり起業に向く業種)。
オフィスを借りる必要はありません。打ち合わせは客先かオンライン。固定費が軽いから、受注がゼロの月でも耐えられます(起業前の貯金はいくら必要か)。
よくある質問
Q. 資格は必要ですか?
不要です。ただし、中小企業診断士や士業の資格は、信頼の材料になります。
Q. 実績がないと売れませんか?
前職の実績が使えます。守秘義務の範囲内で、数字を含めて語ってください。
Q. 会社員のまま始められますか?
可能です。就業規則と競業の確認を(会社員のまま起業する)。
Q. 単価はどう上げますか?
①スポットから顧問へ ②成果を数字で示す ③領域を狭めて専門性を上げる。
狭く定義して、前職の関係から始める
個人コンサルで受注できないのは、能力の問題ではなく商品が定義されていないことが原因です。誰の、どんな課題を、どう解決するか——これを一言で言えるようにして、前職の関係から声をかける。そこから始まります。
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