開業届を出さないとどうなるか。罰則と実際の不利益

副業や個人事業を始めたが、開業届を出していない——という人は実際に多い。「出さないと違法なのか」「後から困るのか」が分からず、そのままになっているケースです。
結論から言うと、開業届の未提出に罰則はありません。ただし、青色申告が使えないという不利益は大きい。この記事では、実際に何が起きるかを整理します。
- 罰則はない
- 出さないことによる不利益
- 「出さないほうがいい」ケース
- 後から出せるか
- いつ出すべきか
- よくある質問
- 罰則はないが、損はしている
罰則はない
開業届は所得税法上、事業開始から1か月以内の提出が定められています。ただし、提出しなかった場合の罰則規定はありません。
だから「出していないから違法」ではありません。実際、提出していない事業者は存在します。
ただし、混同してはいけないのは、所得の申告義務は別だということです。開業届を出していなくても、所得があれば確定申告の義務があります(副業の確定申告)。
開業届を出さないことは違法ではない。しかし、青色申告という最大の節税手段を自分から放棄していることになる。
出さないことによる不利益
①青色申告が使えない。これが最大の不利益です。青色申告承認申請書は、開業届と併せて提出するのが通常の流れ。白色申告のままだと、青色申告特別控除(最大65万円)、赤字の繰越(3年)、少額減価償却資産の特例、家族への給与——これらがすべて使えません(青色申告のメリット)。
②屋号名義の銀行口座が作れない。多くの金融機関で、開業届の控えが必要書類になっています。
③融資の申込みで支障が出る。事業実態の証明として求められることがあります(公庫の創業融資)。
④補助金・助成金の申請ができない場合がある。開業届の控えが要件になっていることがあります(補助金・助成金)。
⑤保育園の入園申請で不利になることがある。自営業者の就労証明として使われます。
⑥法人口座・事業用カードの審査。
⑦小規模企業共済に加入できない(事業所得があることの証明が必要)。
①③⑤が、実務で効いてくる場面です。
「出さないほうがいい」ケース
一方、出さないほうがよい、または出すタイミングを考えるべきケースもあります。
①失業給付を受ける予定がある。開業届を出すと「事業を開始した」と扱われ、受給要件に影響することがあります。ハローワークで先に確認してください(ハローワーク福岡の使い方)。
②家族の健康保険の扶養に入っている。健康保険組合によっては、自営業を営んでいることが扶養の判断に影響する場合があります。
③所得が少なく、記帳の手間に見合わない。青色申告(65万円控除)には複式簿記が必要です。年数万円の所得なら、手間のほうが大きいことがあります。
④事業として継続する意思がまだない(一時的・単発の収入)。
①②は、順序を間違えると不利益が出ます。先に確認してから出してください(副業でも開業届は必要か)。
後から出せるか
出せます。期限を過ぎても受理されます。
ただし、青色申告の承認は申請した年からの適用で、遡れません。「3年前から事業をしていたので、遡って青色にしたい」はできない。
だから、早く出すほど有利という構造になっています。
いつ出すべきか
必要な所得規模はライフプラン逆算で確認できます。①事業として継続する意思がある、②所得が年数十万円以上になりそう、③屋号や口座、融資、補助金を使う可能性がある——このいずれかに当てはまるなら、出してください。
逆に、①②③のいずれにも当てはまらないなら、急ぐ必要はありません。ただし、失業給付と扶養の確認は先に済ませておいてください。
書き方は開業届の書き方、全体の流れは個人事業主の始め方にまとめました。
よくある質問
Q. 何年も出していませんでした。
いま出せば問題ありません。ただし、青色申告は申請年からの適用です。過去分の所得の申告は別途必要です。
Q. 出したら税務署に目をつけられますか?
そうした事実はありません。申告義務は、開業届の有無に関わらず発生します。
Q. 副業でも出したほうがいいですか?
所得の規模と、失業給付・扶養の状況で判断してください(副業でも開業届は必要か)。
Q. 廃業するときは?
廃業届を出します。出さないと、税務署の記録上は事業が継続していることになります。
罰則はないが、損はしている
開業届を出さないことに罰則はありません。ただ、青色申告という最大の節税手段を使えないという形で、静かに損をしています。所得が積み上がってきたなら、出すタイミングです。ただし、失業給付と扶養の確認だけは先に。
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