返済不要の助成金。もらえる条件と申請の現実

「返済不要のお金がもらえる」——助成金は、そう説明されることがあります。返済不要なのは事実ですが、誰でも簡単にもらえるわけではありません。
結論から言うと、助成金の多くは雇用関連で、従業員を雇っていない個人事業主が使える範囲は限られます。そして、あと払いで、書類の負担が大きい。この記事では、現実的な使い方を整理します。制度は改正が頻繁なため、必ず最新の要件を確認してください。
- 助成金と補助金の違い
- 個人事業主が使える範囲
- よくある雇用関連助成金の型
- 申請の手間と負担
- もらえる前提で計画しない
- 「助成金がもらえます」という勧誘への注意
- よくある質問
- 対象かどうかを、最初に確認する
助成金と補助金の違い
助成金(主に厚生労働省系) - 要件を満たせば、原則として受給できる(審査で落とされる性質のものは少ない) - 雇用・労働環境の改善が目的 - 財源は雇用保険(雇用保険の適用事業所であることが前提のものが多い) - 通年で申請できるものが多い
補助金(主に経済産業省系・自治体) - 審査があり、採択されないことがある - 設備投資・販路開拓・IT導入などが目的 - 公募期間が限られる(持続化補助金の使い方・IT導入補助金は個人事業主でも使えるか)
この違いが、使い方を分けます。助成金は「要件を作れば取れる」、補助金は「計画で競う」。
助成金の多くは雇用保険が財源。だから、人を雇っていない事業者が使える範囲は最初から限られる。「返済不要」の前に「対象かどうか」を見る。
個人事業主が使える範囲
①従業員を雇っていない場合: 雇用関連の助成金は、ほとんど対象外です。雇用保険の適用事業所であることが要件のものが多いため。
②従業員を雇っている場合: 対象が広がります。雇用の維持、正社員化、教育訓練、育児・介護との両立、職場環境の改善などに関する助成金があります[要確認: 現行の制度名と要件]。
③創業関連: 自治体や公的機関が独自に設けている創業支援の助成がある場合があります(商工会議所の創業支援・福岡の創業支援制度)。
つまり、「ひとりで開業する個人事業主」が使える助成金は、実際には多くありません。
この事実を先に知っておくと、計画が現実的になります。
よくある雇用関連助成金の型
①正社員化(有期雇用の従業員を正社員に転換した場合)。②教育訓練(従業員に研修を受けさせた場合)。③両立支援(育児休業の取得、職場復帰の支援)。④職場環境の改善(労働時間の短縮、生産性向上の設備導入)。⑤特定の求職者の雇入れ(就職困難者、高年齢者など)。
共通する要件: ①雇用保険の適用事業所であること ②労働関係法令を遵守していること ③就業規則等の整備 ④取り組みの前後で、所定の記録・書類を残していること。
④が実務上の負担です。「やった後に申請」ではなく、「計画を出してから実施し、記録を残して申請」という流れのものが多い。
申請の手間と負担
①要件の確認(かなり細かい)。②計画の届出(事前に必要なものが多い)。③実施。④記録の保存(出勤簿、賃金台帳、就業規則、雇用契約書)。⑤支給申請。⑥審査。⑦支給。
②から⑦まで、半年〜1年以上かかることがあります。
社労士に依頼する場合、報酬が発生します(成功報酬型のことが多い)。受給額と報酬を比較してください(社労士の開業準備の逆側の視点です)。
もらえる前提で計画しない
理由は3つ。
①あと払い。先に支出し、後から受給します。当座の資金にはなりません(運転資金は何ヶ月分必要か)。
②要件を満たさないと出ない。細かい要件があり、書類の不備で不支給になることがあります。
③制度が変わる。助成金は年度ごとに改廃されます。計画時点であった制度が、実施時にはないことがあります。
だから、資金繰りの土台は自己資金と融資で組む——これが原則です(公庫の創業融資・開業資金の内訳の作り方)。
必要な資金と手取りはライフプラン逆算で先に計算してください。
「助成金がもらえます」という勧誘への注意
助成金を前提にした商材・サービスの勧誘があります。
確認すべきこと: ①その助成金が実在し、現行の制度か ②自分が要件を満たすか ③受給できなかった場合の費用負担 ④不正受給にならないか。
④は重大です。実態のない取り組みで申請すると、不正受給として返還・制裁の対象になります。「形だけ整えれば取れる」という提案は、慎重に判断してください。
よくある質問
Q. ひとりで開業する場合、使える助成金はありますか?
雇用関連は対象外のことが多い。自治体の創業支援制度を確認してください。
Q. 補助金と併用できますか?
目的が違えば併用できる場合があります(同一経費への重複は不可)。
Q. 社労士に頼むべきですか?
要件が細かいため、依頼する事業者は多い。報酬と受給額を比較してください。
Q. どこで調べられますか?
厚生労働省の助成金一覧、福岡労働局、自治体の産業振興部門。制度名と要件は毎年変わります。
対象かどうかを、最初に確認する
助成金は返済不要ですが、多くは雇用関連であり、ひとりで開業する事業者が使える範囲は限られます。まず「自分が対象か」を確認し、対象なら要件を満たす形で実施する。もらえる前提で資金計画を組まない——この2点を守れば、制度は有効に使えます。
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