履歴書の本人希望欄に書いていいこと・書かないほうがいいこと

履歴書の最後にある「本人希望記入欄」。何か書くべきなのか、書いたら印象が悪くなるのか、年収や勤務時間の希望はここに書いていいのか——小さな欄のわりに、手が止まりやすい場所です。
結論から言うと、本人希望欄は、特に条件がなければ「貴社の規定に従います。」の一文で足ります。書くのは「これが満たされないと働けない」という外せない条件だけです。具体的には、複数の職種・勤務地を募集している求人での希望、時短や勤務時間の制約、通院や介護など事情がある場合の条件です。逆に、希望年収の金額や待遇の要望を並べるのは、原則として避けたほうが得です。空欄のまま出すのも勧めません。この線引きを、状況別の記入例とあわせて整理します。
- 本人希望欄は「外せない条件」を伝える場所
- 「貴社の規定に従います」の使いどころ
- 書いたほうがよい希望と記入例
- 年収・勤務地・時短の書き方
- 書かないほうがいいこと
- 空欄はNGか
- よくある質問
- 書く前に確認したい3つのこと
本人希望欄は「外せない条件」を伝える場所
市販の履歴書の多くは、この欄を「給料・職種・勤務時間・勤務地・その他についての希望などがあれば記入」と案内しています。この案内を見ると、希望を自由に書いてよい欄に見えます。しかし、採用側の読み方は少し違います。
採用担当者はこの欄を、「この条件を受け入れられるかどうか」を判断する材料として読んでいます。書かれた条件は、そのまま選考の前提になります。つまり、本人希望欄に書く項目が増えるほど、「この条件なら採れない」と判断される余地も増えるということです。
だからこそ、書く基準は「希望があるか」ではなく「外せないか」です。入社後に満たされなければ働き続けられない条件は、最初に書いておくほうがお互いのためになります。一方で、「できれば残業が少ないほうがいい」「休みは多いほうがいい」といった、誰にでもある程度の希望は、この欄には書きません。
「貴社の規定に従います」の使いどころ
外せない条件が特にない場合は、「貴社の規定に従います。」と書けば完成です。給与・勤務時間・勤務地などを会社の定めに任せる、という意思表示として広く使われている定型です。手抜きに見えるのではないかと心配する人もいますが、読み手にとっては「条件面で調整の必要がない応募者」という、むしろ判断しやすい情報になります。
条件がある場合も、この一文は使えます。外せない条件を書いたあと、最後に「その他は貴社の規定に従います。」と添えると、ここに書いた以外は柔軟に対応できるという意味がはっきりします。条件だけが並んで終わる書き方より、受け取る側の印象が落ち着きます。
なお、書面では「貴社」、面接など話し言葉では「御社」を使います。本人希望欄は書面なので「貴社」です。文体は志望動機と同じく、ですます調でそろえてください。
本人希望欄は、条件がなければ「貴社の規定に従います。」の一文で足りる。書くのは、満たされないと働けない外せない条件だけ。条件を書いた場合も、最後に「その他は貴社の規定に従います。」と添えると、それ以外は柔軟だと伝わる。
書いたほうがよい希望と記入例
次の場面に当てはまるなら、定型だけで済ませずに具体的に書いたほうがよいケースです。以下の記入例はすべて架空のものです。
① 複数の職種・勤務地を募集している求人
一つの求人で「営業職・企画職」や「福岡本社・北九州支店」のように複数の枠を募集している場合、希望を書かないと採用側は配属先を判断できません。「営業職を希望いたします。」「勤務地は福岡本社を希望いたします。その他は貴社の規定に従います。」のように、どの枠への応募かを明記します。求人に職種番号や募集コードがあれば、それも書き添えると確実に伝わります。
② 時短・勤務時間に制約がある
育児などで勤務できる時間帯が決まっている場合は、時間を数字で書きます。「子の保育園送迎のため、9時30分〜16時30分の勤務を希望いたします。その他は貴社の規定に従います。」——理由は一言で十分です。
③ 定期的な通院がある
「月1回、平日に通院のため半休を頂きたく存じます。業務への支障はございません。」のように、頻度と形で書きます。「体調に配慮いただけると幸いです」のような漠然とした書き方は、どこまで配慮が必要か読めず、かえって不安を残します。病名を書く必要はありません。療養歴がある場合の書き方全体は病気療養の期間の書き方で詳しく扱っています。
④ 家族の介護をしている
「家族の介護のため、週2回程度は18時までの退勤を希望いたします。その他は貴社の規定に従います。」のように、制約がかかる曜日・時間・頻度を具体的に書きます。介護は先の見通しが立ちにくいため、現時点で分かっている範囲を書けば十分です。
このほか、在職中の人は「現在在職中のため、入社は12月1日以降を希望いたします。」「平日日中は電話に出られないため、ご連絡はメールでいただけますと幸いです。」といった、入社時期と連絡方法を書くこともよくあります。どちらも採用側の手間を減らす情報なので、書いて損はありません。
年収・勤務地・時短の書き方
迷いやすい3つの項目について、書き方と注意点を表にまとめます。
| 項目 | 書く場合の記入例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 年収 | 「前職の年収(480万円)を考慮いただけますと幸いです。」 | 原則は書かない。求人で記入を求められたときだけ |
| 勤務地 | 「家族の事情により、福岡市内での勤務を希望いたします。」 | 転勤の可否が外せない条件なら書く |
| 時短 | 「子が小学校に上がるまでの間、9時30分〜16時30分の勤務を希望いたします。」 | 時間を数字で。期間限定ならその期間も |
年収は、原則として書きません。金額を書いた時点で、書類の評価が「この人の経験」から「この金額を出せるか」に移ってしまうからです。相場より高ければその場で見送られ、低く書けば内定後にその金額が上限として扱われかねません。年収は、書類選考を通ってから面接や内定後に扱うほうが有利に進められます。いつ、誰に、どう切り出すかは転職の年収交渉にまとめています。
ただし、求人や応募フォームで「希望年収を記入してください」と指示されている場合は、空けずに書きます。その際は、前職の年収を根拠として添えるか、「〇万円以上」と下限で書くのが無難です。書く前に、自分の職種・年代・企業規模で相場がどのあたりかを福岡の年収相場チェッカーで確かめておくと、相場から外れた金額を書いてしまう失敗を避けられます。
勤務地は、転勤の可否が外せない条件かどうかで決めます。福岡に本社を置き、九州各県や全国に拠点を持つ会社では、総合職に転勤の可能性があることも珍しくありません。家族の事情で福岡を離れられないなら、それは外せない条件なので書いておきます。転勤も検討できるなら、書かずに定型で済ませてかまいません。
時短は、時間帯と期間を数字で書きます。「時短勤務を希望」とだけ書くと、何時から何時までなのか、いつまで続くのかが読めません。福岡でも時短正社員の求人は少しずつ増えていますが、探し方には少しコツがあります。実例は福岡で時短正社員として働くを参照してください。
書かないほうがいいこと
外せない条件以外で、本人希望欄に書くと損をしやすいものもあります。
待遇への要望を並べる——「残業なし」「土日祝休み」「賞与年2回以上」のように条件を並べると、仕事の中身より待遇を重視している印象を与えます。求人票に書かれている条件なら、なおさら書く必要はありません。
前職への不満から出た希望——「前職で残業が多かったため、残業の少ない職場を希望します」は、希望の形をとった退職理由です。不満を書面に残すことになり、読み手は別の心配を始めます。
長い事情説明——空白期間の経緯や家庭の事情を、この欄で何行も説明する必要はありません。書くのは条件そのものと一言の理由までで、詳しい事情は面接で聞かれたときに話せば足ります。
空欄はNGか
空欄のまま提出するのは避けてください。本人希望欄が空いていると、読み手には「書き忘れ」なのか「希望がない」のか区別がつきません。履歴書全体が未完成な印象にもなります。
条件がなければ「貴社の規定に従います。」の一文を書く。これだけで、空欄の問題は解消します。Web応募フォームの任意の自由記入欄も同じ考え方で、外せない条件がなければ定型の一文を入れておけば十分です。
よくある質問
Q. 「貴社の規定に従います」と書いたら、あとで条件の相談ができなくなりますか?
なりません。書類は選考の入口で、給与や勤務条件は内定後のオファー面談などで改めて確認・相談できます。ただし、応募の時点で分かっていた外せない条件を隠して入社直前に持ち出すと、話がこじれやすくなります。外せない条件は書類に、細かな条件の確認はオファー面談に、と分けて考えてください。確認すべき項目はオファー面談のチェックリストにまとめています。
Q. 希望する職種が2つある場合はどう書けばいいですか?
第一希望を明記したうえで、もう一方も検討できることを添えます。「営業職を希望いたします。企画職での配属も検討可能です。」のように書けば、採用側は配属の幅を判断材料にできます。どちらでもよい場合は「営業職・企画職のいずれも希望いたします。」でかまいません。
Q. 条件を書いたせいで、書類選考で落ちることはありますか?
あります。ただしそれは、入社後に働き続けられない職場を最初の段階で避けられた、ということでもあります。通過したい気持ちから条件を伏せて入社し、勤務時間が合わずに早期離職するほうが、キャリアへの影響は大きくなります。外せない条件は書く、それ以外は書かない、という線引きを守ってください。
Q. 本人希望欄がない様式や、Web応募フォームではどうしますか?
備考欄や自由記入欄があれば、そこに同じ考え方で外せない条件だけを書きます。記入する場所がない場合は、応募時のメッセージや面接の冒頭で伝えれば十分です。
書く前に確認したい3つのこと
最後に、本人希望欄を書く前の確認を3つに整理します。
1. その条件は外せないか——満たされなければ働けない条件だけを残し、「できれば」の希望は消します。
2. 数字や頻度になっているか——時間帯、曜日、回数、期間。読み手が受け入れ可否を判断できる形になっているかを見直します。
3. 求人票ですでに満たされていないか——求人票に「9時〜16時の時短可」と書かれているなら、同じ条件を改めて書く必要はありません。
この3つを通った条件だけを書き、最後に「その他は貴社の規定に従います。」で締めれば、本人希望欄は完成です。実際に書き始めるなら、履歴書・職務経歴書の作成ツールの本人希望記入欄にそのまま入力して、印刷イメージで確認できます。どこまでを外せない条件とするかは、家族の事情や今後の働き方の見通しによって人それぞれです。自分ひとりで決めきれないときは、第三者と一緒に条件を整理するのもひとつの方法です。
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