福岡の賃金はどれだけ上がったか。2026年春闘は5.05%、平均の月給は7月に前年比4.1%増

「今年も5%の賃上げ」というニュースを見て、自分の給与明細と比べて首をかしげた人は少なくないと思います。報道される賃上げ率と、自分の昇給の実感が合わないのには理由があります。
結論から言うと、連合福岡がまとめた2026年の春闘(春季生活闘争)の最終集計では、賃上げ率は5.05%で、3年連続で5%を超えました。一方で、福岡県で働く人全体の平均の月給(残業代を含まない所定内給与)の伸びは、毎月勤労統計調査で見ると2025年は前年比2.0%でした。2026年に入ってからは4月以降に伸びが強まり、7月は前年同月比4.1%です。この記事では、2つの数字がなぜ違うのかと、自分の昇給が世間並みかを確かめる方法を整理します。
- 2026年春闘の数字(連合福岡)
- 「5%」と実感がずれる3つの理由
- 働く人全体の平均給与は、2025年に2.0%増
- 2025年は、小さな事業所のほうが伸びた
- 2026年は4月から伸びが強まった
- 物価を差し引いた「実質賃金」は
- 最低賃金は10月に57円上がる
- 自分の昇給が世間並みかを確かめる
- よくある質問
- ニュースの数字と、自分の数字を分けて見る
2026年春闘の数字(連合福岡)
連合福岡が2026年7月6日に公表した最終集計(第7回)の数字です。定期昇給にあたる分を含めた賃上げ額・賃上げ率で、組合員数で重みづけした平均です。
| 区分 | 賃上げ額 | 賃上げ率 |
|---|---|---|
| 全体(130組合) | 1万5,662円 | 5.05% |
| 300人未満の組合(74組合) | 1万3,287円 | 4.89% |
| 300人以上の組合(56組合) | 1万5,928円 | 5.07% |
| 参考: ベースアップ分が明確な組合(96組合) | 1万1,826円 | 3.81% |
全体の賃上げ率は前年より0.58ポイント下がったものの、5%台を保ちました。300人未満の中小の組合の賃上げ率は、2022年の2.18%から、2023年3.42%、2024年4.55%、2025年5.17%と上がり、2026年は4.89%でした。連合本部の全国集計では、300人未満は4.69%なので、福岡の中小の組合は全国を上回っています。
ただし、この集計の対象は労働組合のある130組合・約7万8,000人だけです。福岡県で働く常用労働者は約200万人いるので、そのごく一部の数字だということは押さえておく必要があります。
「5%」と実感がずれる3つの理由
春闘の5%と、自分の昇給の実感がずれやすい理由は3つあります。
1. 定期昇給が含まれている。春闘の5.05%には、年齢や勤続年数に応じて毎年上がる「定期昇給」の分が含まれています。ベースアップ(給与表そのものの引き上げ)が明確な組合に限ると、賃上げ率は3.81%です。定期昇給は、会社全体で見れば、上がる人と退職する人が入れ替わるため、平均の給与水準を押し上げる効果は小さくなります。
2. 労働組合のある会社は一部。春闘の集計は、主に労働組合のある比較的規模の大きい会社の数字です。労働組合のない中小企業の多くは、この集計に入っていません。
3. 平均には新しく入った人も含まれる。働く人全体の平均給与は、若い人や非正規で働く人が増えると、個々の人の給与が上がっていても伸びが小さく出ます。
働く人全体の給与の動きを見るには、事業所の給与台帳から集計する毎月勤労統計調査のほうが実態に近くなります。
働く人全体の平均給与は、2025年に2.0%増
福岡県の毎月勤労統計調査(事業所規模5人以上、パートタイム労働者を含む)の2025年の平均は、次のとおりです。
| 項目 | 2025年の月平均 | 前年比(福岡) | 前年比(全国) |
|---|---|---|---|
| 現金給与総額(賞与などを含む) | 32万7,037円 | 3.0%増 | 2.3%増 |
| きまって支給する給与(残業代を含む月給) | 26万5,610円 | 2.4%増 | 2.0%増 |
| 所定内給与(残業代を含まない月給) | 24万7,196円 | 2.0%増 | 2.0%増 |
月給の伸び(所定内給与)は2.0%で全国と同じ、ボーナスなどを含めた現金給与総額は3.0%で全国(2.3%)を上回りました。
もう少し長い目で見ると、福岡県の所定内給与の指数(2020年を100とする)は、2021年102.2、2022年104.9、2023年105.8、2024年107.0、2025年109.1と推移しています。2020年から5年で約9%上がったことになります。
2025年は、小さな事業所のほうが伸びた
2025年の伸びを事業所の規模で分けると、意外な結果が出ます。
| 事業所の規模 | 所定内給与(2025年の月平均) | 前年比 |
|---|---|---|
| 30人以上 | 26万3,771円 | 1.4%増 |
| 5〜29人 | 22万3,445円 | 3.0%増 |
所定内給与の伸びは、30人以上の事業所が1.4%だったのに対し、5〜29人の事業所は3.0%でした。給与の水準そのものは30人以上の事業所のほうが約4万円高いものの、伸び率では小さな事業所が上回っています。人手不足の中で人を確保するために、小さな事業所ほど給与を上げざるを得なくなっていることがうかがえます。
「中小企業は給与が上がらない」とひとくくりにはできない、ということです。転職先を検討するときは、会社の規模だけで判断せず、その会社が直近で給与をどれだけ上げてきたかを確かめる価値があります。面接で「直近の昇給の実績」を聞くのは、失礼な質問ではありません。
2026年は4月から伸びが強まった
2026年に入ってからの動きを、所定内給与の前年同月比で見ます。フルタイムの「一般労働者」だけの数字もあわせて載せます。
| 月 | 所定内給与(全体) | うち一般労働者(フルタイム) |
|---|---|---|
| 1月 | 0.7%減 | 0.9%増 |
| 2月 | 0.1%増 | 1.1%増 |
| 3月 | 0.6%減 | 0.5%減 |
| 4月 | 1.9%増 | 3.2%増 |
| 5月 | 2.3%増 | 3.4%増 |
| 6月 | 2.9%増 | 3.4%増 |
| 7月 | 4.1%増 | 4.7%増 |
1〜3月は前年とほぼ同じ水準でしたが、新年度の賃上げが反映される4月から伸びが強まり、7月は全体で4.1%、フルタイムの一般労働者では4.7%に達しました。7月の所定内給与は25万8,538円です。
ここで所定内給与を使っているのは、6月・7月は夏のボーナスが支給される月で、ボーナスを含む現金給与総額は大きく振れるためです。また、月ごとの数字は調査の対象事業所の入れ替えなどで振れることがあるので、1か月の数字だけで判断せず、数か月の流れで見るのが安全です。
物価を差し引いた「実質賃金」は
給与が上がっても、物価がそれ以上に上がれば、暮らしは楽になりません。物価の影響を差し引いた実質賃金は、福岡県の2025年平均で現金給与総額が0.7%減、きまって支給する給与が1.2%減でした(福岡市の消費者物価指数で計算)。給与は上がったものの、物価の上昇に追いついていなかったことになります。
2026年7月は、実質賃金指数が前年同月比で1.3%増とプラスになりました。4月以降の賃上げが、ようやく物価の上昇を上回り始めた形です。ただし、これも1か月の数字なので、年間でプラスになるかどうかは今後の数字を見る必要があります。
最低賃金は10月に57円上がる
パートやアルバイトで働く人にとって大きいのは、最低賃金の引き上げです。福岡県の最低賃金は、2026年10月4日から1,057円から1,114円へ、57円(約5.4%)引き上げられます。最低賃金で月160時間働く人なら、月給にして約9,100円(57円×160時間)の増加です。月給制の人も、時給に換算して最低賃金を下回っていないかを確かめておく必要があります。確かめ方は福岡県の最低賃金で詳しく解説しています。
実際に、パートタイム労働者の所定内給与は、2026年7月に前年同月比8.6%増と、フルタイムより大きく伸びています。人手不足で時給が上がっていることがうかがえます。
自分の昇給が世間並みかを確かめる
自分の昇給が世間並みかどうかは、次の順番で確かめると判断しやすくなります。
1. 同じ条件で比べる。去年の同じ月の給与明細と、今年の給与明細の「基本給+毎月決まって出る手当」を比べます。残業代やボーナスは除きます。
2. 物差しを選ぶ。労働組合のある会社で働いているなら春闘の5%前後、そうでなければ毎月勤労統計の数字(2025年は2.0%、2026年7月は一般労働者で4.7%)が物差しになります。定期昇給のある会社かどうかでも、比べる数字は変わります。
3. 物価と比べる。昇給率が物価の上昇率を下回っていれば、実質的には給与が下がっています。
昇給が物差しを大きく下回る状態が続くなら、今の会社の給与水準を、同じ業種・規模の相場と比べてみる価値があります。自分と同じ条件の年収の水準は賃金チェッカーで確かめられます。福岡の年収の全体像は福岡の平均年収にまとめています。
よくある質問
Q. 福岡の2026年の賃上げ率はどのくらいですか?
連合福岡の2026年春闘の最終集計では、定期昇給分を含めて5.05%(1万5,662円)です。ただし、これは労働組合のある130組合の数字です。働く人全体の平均の月給(所定内給与)は、2026年7月に前年同月比4.1%増でした。
Q. 自分の給料が5%上がっていないのはおかしいですか?
おかしいとは限りません。春闘の5%には定期昇給の分が含まれ、対象も労働組合のある会社に限られます。働く人全体の月給の伸びは、2025年は2.0%でした。自分の昇給を比べるなら、同じ業種・規模の会社の動きと比べるのが適切です。
Q. 福岡の実質賃金は上がっていますか?
2025年の年平均では、現金給与総額で0.7%減と、物価の上昇に追いついていませんでした。2026年7月は前年同月比1.3%増とプラスになっていますが、年間でどうなるかはこれからの数字次第です。
Q. パートの時給は上がっていますか?
毎月勤労統計では、パートタイム労働者の所定内給与は2026年7月に前年同月比8.6%増でした。10月4日からは福岡県の最低賃金も1,114円に上がります。
ニュースの数字と、自分の数字を分けて見る
賃上げのニュースで目にする5%は、労働組合のある会社の、定期昇給を含んだ数字です。働く人全体の平均の月給は、2025年に2.0%、2026年に入ってからは4月以降に2〜4%台(フルタイムでは3〜4%台)の伸びになっています。
大切なのは、ニュースの数字に一喜一憂することではなく、自分の昇給を適切な物差しで測ることです。物差しと比べて自分の昇給が見劣りするなら、それは今の職場を見直すひとつのきっかけになります。

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