← コラム一覧

仕事も人生もつまらないと感じたら。閉塞感の抜け出し方

寺木 健人
監修:寺木 健人転職・キャリア担当・人材業界出身

特に不満があるわけではない。給料も人間関係も、ひどくはない。それなのに、朝から夜までがただ過ぎていくだけで、何も面白くない——。

この感覚は「贅沢な悩み」として扱われがちですが、放っておくと数年単位で消耗します。結論から言うと、つまらなさの正体は「予測可能性が上がりすぎた状態」です。何が起きるか全部わかる毎日には、新しい情報が入ってこない。だから記憶にも残らず、時間だけが速く過ぎる。この記事では、その構造の解き方を、小さく試せる形で整理します。

このコラムでわかること
  1. つまらなさは「不満」ではなく「予測可能性」の問題
  2. 順番: 生活の変数から動かす
  3. 仕事の中で変えられること
  4. 仕事そのものを変えるべきかの判断
  5. 福岡という条件を使う
  6. よくある質問
  7. 決断の前に、実験を

つまらなさは「不満」ではなく「予測可能性」の問題

不満があるとき、人は動けます。嫌なことから逃げるのは分かりやすい。困るのは、逃げる理由がないのに満たされない状態です。

この状態を分解すると、たいてい次のどれかです。①仕事の内容が完全に手の内に入っている(習熟しきって、新しい学びがない)。②裁量がない(決められたことをやるだけで、自分の判断が結果に影響しない)。③フィードバックがない(誰の役に立ったか見えない)。④生活の変数が少ない(仕事と家の往復で、出会う人も情報も固定されている)。

この4つはどれも「悪いこと」ではありません。むしろ安定の裏返しです。だから問題として認識しづらく、気づいたら数年経っている。

順番: 生活の変数から動かす

対処の順番として、いきなり仕事を変えないことを勧めます。理由は、④の生活側のほうが、変えるコストが圧倒的に低いからです。しかも効果が出るのが早い。

具体的には、行ったことのない場所に行く、会ったことのない人と会う、やったことのない作業をする。福岡は都市機能が中心部に集約されていて、平日の夜でも動けます。異業種の勉強会、地域のコミュニティ、副業の入口としての小さな受注(副業の始め方)。

これは気晴らしの話ではありません。判断材料を増やす作業です。閉塞感の中にいるとき、人は「他にどんな選択肢があるか」を知らないまま「変わらない」と結論しています。変数を増やすと、比較対象ができる。

POINT

つまらなさは、選択肢が無いのではなく、選択肢を見ていない状態のことが多い。だから最初にやるのは決断ではなく、材料集め。

仕事の中で変えられること

仕事を辞めずに①〜③を動かす方法もあります。

①習熟しきった問題には、やったことのない領域を業務内で取りに行く。新しいツール、隣の部署の仕事、後輩の育成。「今の仕事の中で、まだ自分ができないこと」を一つ探すだけで、情報の流れは変わります。

②裁量の問題には、小さくても決定権のある仕事を持つ。改善提案、プロジェクトの一部の設計、勉強会の運営。裁量は与えられるより取りに行くほうが早いことが多い。

③フィードバックの問題には、成果の受け取り手に近づく。顧客の声を直接聞ける場所に一歩寄る。間接部門なら、社内の利用者にヒアリングしてみる。

これらは転職に比べれば小さな動きですが、「動かせる」という感覚自体が閉塞感の解毒剤になります。

仕事そのものを変えるべきかの判断

上の実験を3ヶ月ほど続けても手応えがないなら、環境側の問題である可能性が高い。判断の基準は3つです。

①その会社で、あと5年やる仕事の中身が想像できて、それが面白くない。想像がついてしまうこと自体が答えです。②新しいことを取りに行こうとしたときに、構造的に止められる(役割が固定されている、決裁が下りない)。③尊敬できる人・学べる人が社内にいない

このいずれかが該当するなら、転職や起業を選択肢に入れる段階です。ただし、閉塞感を理由に転職すると、条件面を軽視した選択になりがちなので、やりたいことが見つからないとき自分の強みがわからないときの整理を先に通してください。

福岡という条件を使う

福岡は、この種の実験がやりやすい都市です。中心部が徒歩圏でまとまっていて、異業種の集まりも、副業の受注先も、起業の相談窓口も距離が近い(福岡の創業支援制度)。通勤時間が短い分、平日の可処分時間も取りやすい。

同じ「動いてみる」でも、移動コストが低いほど試行回数を稼げます。閉塞感の解消は一発の決断ではなく試行回数の問題なので、これは実質的な有利さです。

よくある質問

Q. 趣味を持てばいいという話ですか?

趣味そのものより、新しい情報が入る経路を増やすことが目的です。結果として趣味になることもありますが、義務にすると逆効果です。

Q. つまらないのは自分の心の問題では?

心の問題として扱うと、対処が「気の持ちよう」しか残りません。環境の変数として扱えば、動かせる部分が見つかります。ただし、気分の落ち込みや意欲低下が続いている場合は、閉塞感とは別の状態です(やる気が出ないとき)。

Q. 転職しても同じ気持ちになりませんか?

原因が①〜③(仕事の構造)なら変わり、④(生活の変数)だけなら転職しても同じことが起きます。だから順番として生活側から試すほうが安全です。

Q. 何をやっても興味が湧きません。

興味が全般的に湧かない状態が続くなら、閉塞感ではなく消耗のサインかもしれません(燃え尽き症候群かもしれないとき)。

Q. 「福岡という条件を使う」とは具体的に何ですか?

生活コストの低さを、選択肢の広さに変換することです。福岡県の平均年収は437.7万円で東京の546.5万円より109万円低い一方、生活コストは東京の83%。生活コストで割り戻した実質では福岡527・東京547とほぼ並びます(福岡 vs 他都市)。同じ手取りでも固定費が軽いぶん、収入を下げて時間を買う、副業を試すといった実験がしやすくなります。

決断の前に、実験を

つまらなさに対する最悪の対処は、「そのうち何とかなる」と思って数年放置することです。次に悪いのは、勢いで大きく変えて、条件を落とすこと。間にあるのが、小さく試して材料を集めるという選択です。

何から試すか、どこまで来たら動くべきか。転職ありきではない立場で、無料で相談に乗ります。答えが「今の会社に残る」でも構いません。

NEXT READ悩み・キャリア仕事のやる気が出ない。気合以外の対処法悩み・キャリア職場で孤立していると感じたら。原因と現実的な立て直し方悩み・キャリア一人で生きていくと決めた女性のキャリア設計